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“美女+ニーハイ+水中”が生み出すフェチの世界 「水中ニーソ」作者に聞く魅力

 「水中ニーソ」というフェティッシュな写真のシリーズが、今年の「文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門審査委員会推薦作品」に選出され話題となった。と言われても“?”という人もいるだろうが、「ニーハイソックスを履いた水着姿の女性が、ダイビング器材を装備して、水中で遊泳する様を撮影した作品」のことだ。ニーソも水着も個別なら“アリ”だけど…、と普通は思うが、実際に作品を目の当たりにすると、シュールながらも、真新しい美しさや可愛らしさが感じられるのも事実。水中ニーソの提唱者である古賀学氏に、水中ニーソへの想い、こだわり、制作方法などを聞いた。

魅力は、「一定時間呼吸をこらえることでしか存在し得ない限定的な美しさ」

――「水中ニーソ」写真を撮影しようと思ったきっかけは何ですか?

「もともとは水中撮影のミュージックビデオなどを制作する映像作家をやっていました。2012年の撮影準備中に、水着でスキューバダイビングをしているモデルを練習撮影するのですが、本番衣装のニーハイソックスの透け具合をチェックするため、“水着にニーハイソックスでダイビング”という組み合わせが生まれました」
――「水中ニーソ」全体としてのコンセプトを教えください。

「水着+ニーハイソックス+ダイビング器材という、可愛いスタイリングの女の子を水中撮影した写真作品を中心としたシリーズです。写真集や雑誌の刊行、国内外での作品展示を展開しています。僕自身がニーハイソックスをデザインして、ファッションとして展開することもあります。また、僕以外のクリエイターによる二次的な創作物も面白くて、水中ニーソのイラストや、ウェットスーツ・メーカーから発売されたダイビング用ニーハイソックスなど、ちょっとしたジャンルのように広がっています。すべては把握できていないのですが、中国や台湾などの東アジアでの広がり方も興味深いですね。今年のミス・スキューバ・インターナショナル中国代表の衣装としてダイビング用ニーハイソックスが採用されていました」
――「水中ニーソ」写真の魅力を教えてください。

「“水の中の女の子が可愛い”という僕にとってのテーゼがあります。浮力、圧力、水の粘性、光の拡散などによって、地上とはまったく異なる美しくて可愛い女性像です。また、重たいスキューバ器材をつけるか、一定時間呼吸をこらえることでしか存在し得ない限定的な美しさも重要です。そして、ダイビング用のフィンと脚との一体感を生み出し、水着からフィンの先までの連続性のある美しい造形を生み出してくれているのが、ニーハイソックスです」

――今まで、作品として成立した「水中ニーソ」写真は何点くらいありますか?

「数えられない量ですが、展示作品、写真集掲載作品、雑誌『月刊水中ニーソ』と『月刊水中ニーソR』(今年2月号で休刊)掲載作品を合わせると、発表作品だけで数千点あると思います」

「可愛すぎて“尊い”感じが出るとベストだと思っています」

――1枚あたりにかかる撮影時間はどれくらいでしょうか? また、1枚のOKカットに対して何枚くらい撮影するのでしょうか?

「1回の撮影が5〜6時間で、その中でモデルや衣装を交代させながら撮影します。常に連写で撮影しているので、1日で8,000〜10,000枚撮影し、その後のセレクト作業に1〜2カ月かかることもあります。撮影してそのまま完成という作品は少なく、フォトショップをもちいて、背景やミニチュアを合成し、時間、空間、縮尺をコントロールしている作品も多く制作しています。これも作業に数ヵ月かかります」
――水中撮影で大変な点、気をつけている点は何でしょうか?

「とにかく安全に撮影することです。モデルのスキルや体力を考慮して綿密なタイムスケジュールを組みます。プールにはモデルが休憩中に温まる暖房機材や電気ポットなどを持ち込んでいます。水中では僕以外に最低でも2人のセーフティ・ダイバーを配置してアシストしてもらっています」

――泳げることは当然だと思いますが、モデルを選ぶ基準は何でしょうか?

「撮影回数を重ねることで、モデル自身がスキルアップしていきます。水中での動きのスキルだけではなく、モデルスキルも重要で、ファインダーの中で自分がどのように写っているのか、イメージできる能力が必要です。グラビアやステージダンスの経験が豊富なモデルは撮りやすいですね。世界観やイメージを共有して、継続的に作品制作に参加してもらうのが理想です」
―― “フェティシズム”を感じる作品だと思います。

「僕的には、“誰が見ても可愛い”つもりで制作しています。僕の作品において、フェティッシュなターゲットを意識すると、とても狭い作品になってつまらないと思います。撮影現場では、モデルやスタッフと『尊い!』なんて言いながら盛り上がって撮影しています。オタクっぽい感覚だと思うのですが、可愛すぎて“尊い”感じが出るとベストだと思っています」

「写真に変わる新たな概念をきちんと解説できるような作品を作りたい」

――インスタレーション作品「原宿ダイビング」が、今年の「文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門審査委員会推薦作品」に選出されましたが。

「『原宿ダイビング』は2017年8月に原宿のペーターズギャラリーで開催された『SEXY harajuku/古白米(古賀学+白根ゆたんぽ+米原康正)』という展覧会で展示されたものです。観客がギャラリーまで歩く途中に眺める原宿の風景の記憶を利用した、ある種の拡張現実=ARのような作品で、無人の原宿の空間を水着とニーソの女の子が漂っています。メディア芸術祭の推薦作品に選出されたことは、とてもうれしいです。6月にタイ・バンコクのアートフェア『HOTEL ART FAIR BANGKOK 2018』でも展示したのですが、バンコクの人たちの間でも原宿は有名で作品も人気でした」

――新作写真集『O.D.E.N.』では「おでん」がコンセプトですが。

「去年末『ちくわシュノーケル』を思いついてすぐに撮影したのですが、今年になって海外展開がはじまって発表の機会を逃してしまいました。日本以外では『ちくわ』が通じないローカルなものだからです。国内向けに一冊の企画として膨らませて『おでん』にしました」

――今後、挑戦してみたいことや、目標などはありますか?

「日本語圏以外では『ニーソ』という言葉が通じないので、2018年の夏からは本や展示のタイトルとしての『水中ニーソ』はすでに終了しています。もともと自分の作品を『写真』だとは思っていないので、写真に変わる新たな概念をきちんと解説できるような作品、それも『水の中の女の子』が必然性を持つ作品を作りたいです。あと、東アジア圏での広がりを実感しているので、今後は西洋圏の人にも見てもらえるようになりたいですね」

「月刊水中ニーソR・2018年2月号」スイムウェア:REALISE N-060

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