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【ガンプラビフォーアフター】アムロの“遺産” Hi-νガンダムを具現化「外国人作品との共感こそガンプラ革新の鍵」

 11月21日、『機動戦士ガンダム40周年プロジェクト』の始動が発表された。中でも、『THE ORIGIN』TVシリーズ、劇場版『Gのレコンギスタ』、劇場版3部作『閃光のハサウェイ』についてはSNSでも大きな話題となった。世界的なビッグコンテツである「ガンダムブランド」だが、その礎のひとつとなったのは間違いなく1980年代のガンプラブームである。そこで今回、模型雑誌でライターとしても活躍する人気モデラー・nishiさんにインタビューを実施。「ガンプラ」進化の一翼を担ってきたモデラーの匠の技術について、その真髄を聞いた。
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自分の作品と“客観的”に向き合うことが「匠の業(技)」

――ガンプラ歴を教えてください。
nishi初放送時のガンダムは全く知らなかったのですが、その後のガンダムブームの時、友人に誘われたのがガンプラ制作のきっかけです。8歳の頃にガンプラを手にして16歳まで作り続け、その後は26歳から本格的に再始動して現在に至ります。なので、ガンプラ歴はかれこれ28年ほどです。

――ガンプラを制作するうえで、こだわりの造形箇所を教えてください。
nishi基礎的な部分ですが表面処理とそれに伴うエッジの処理でしょうか。最終的に完成度を引き上げるには地味な作業を丁寧に積み重ねる事だと思っています。
  
――おっしゃる通り、nishiさんの作例からは緻密な作業が伺えます。1作にかける費用と期間を教えてください。
nishi原価はキット代と塗料含めた副資材で平均1万円ぐらいでしょうか。制作期間は作業時間を1日6時間として3週間程です。

――塗装に関してはいかがでしょうか。
nishi塗装に関しては一番こだわっている部分かもしれません。気温、湿度、色彩の選択から、塗料の調合、塗料の希釈、コンプレッサーのエア圧調整、トップコートの均一化、コーションデカールのバランスなどなど、どれか一つでも疎かになると自分の納得のいく作品にはなりません。

――中でも、nishiさんのHi-νガンダムは圧巻の完成度です。本キットの魅力は?
nishi一度はMGでキット化されたHi-νガンダムですが、メカニックデザイナーのカトキハジメ氏監修のもと、プロポーションやギミックがアップデートされました。また、HWSを装着できるので迫力も桁が違います。

――アムロ・レイが残した最後の機体でもあります。
nishiアムロ最後の搭乗機であること、さらに自身で設計した機体なので、νガンダム、Hi-νガンダムというのはファンにとって別格の存在です。個人的には、Hi-νガンダムが登場する小説版の『ベルトーチカ・チルドレン』の方が結末としては好きです。いつか映像化してくれたら嬉しいですね。

外国人の“枠を超えた自由さ”と、日本人の“設定に対する緻密さ”の融合がキモ

――ここは他の人に負けない、と思う匠の技はなんですか?
nishi自分の作品に対して、いかに客観的に厳しい目で見られるか、という技です。完成度の高いガンプラを目指す上で、一つの技だけで成し遂げられる事はありません。どの工程も一つひとつ丁寧に手を抜かないようにするのが「匠の成せる業(技)」だと考えています。 
  
――ガンプラは海外でも人気です。外国人の方のガンプラを見て、日本との作例の違いを感じますか?
nishi海外の方の作品は、“枠にとらわれない自由さ”と表現力を外に向かって放出している印象です。日本の作品は、一定の設定内で一個体に対して内に向かって緻密さを増していくストイックさを感じます。

――最近は、『ガンダムビルダーズワールドカップ(GBWC)』を通じて、外国人の方の作品を目にする機会も増えています。
nishi『GBWC』などを通して海外の作品に触れ、個々の世界観を表現するという共通の指標が同じ方向になりつつ、互いの良い部分が混ざりあってきているように思います。

――日本と外国のモデラーが互いに切磋琢磨することで刺激を受けあっているんですね。洋の東西を問わず、モデラーにとって一番必要な技術とは?
nishi個人差が大きく目指す作品によって大きく変わってくると思いますが、自分の目標に見合った技術を習得する事だと思います。
 
――その技はどうすれば習熟できますか?
nishi失敗してもいいから数をこなして経験値を増やすこと。技術の知識ばかりで頭でっかちにならず、ひたすら手を動かすことが大事ではないでしょうか 
       
――最後に、nishiさんにとって『ガンプラ』とは?
nishi自分の人生において最も影響力のあったものです。“ガンプラのない人生”が想像できない異質な関係ですね。
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