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(更新: ORICON NEWS

ラテ欄で輝きを放つサスペンスドラマ「サブタイトル」の作り方 プロデューサーに聞く

 視聴者にひと時のスリルと刺激を与えてくれる2時間サスペンスドラマ。そこには、ユニークな「サブタイトル」が付けられていることをご存知だろうか。たとえば、先月14日に放送された『科捜研の女スペシャル』(テレビ朝日系)での「マリコVS謎の誘拐犯…身代金は五重の塔!? 人質殺害まで24時間、決死の救出作戦!完全密室の盲点を透視するレーザーと海ブドウ」。前半ではサスペンスということもあって、想定内の言葉が並んでいるが、締めに用いられているのは「海ブドウ」。突如食材が出てくることで、ドラマへの興味を掻き立てられる。同枠のみならず、過去には「土曜ワイド劇場」など、これまで多くのサブタイトルを生み出してきたテレビ朝日の関拓也ゼネラルプロデューサー(以下、関GP)に話を聞いた。

先輩たちにダメ出しされた経験が糧に

 そもそも、「サブタイトル」が決まるまでどのような過程を経ているのかを聞いたところ、「練る」期間が長いことがわかった。

関GP「2時間枠だと、2週間近く前から“案出し”は始めますね。それもやはり新聞ラテ欄の“文字制限”が大きく、2時間枠だとかなりの文字数を考える必要があります。『良い感じだな』と浮かんだものでも、時間を置いて見てみるとしっくりこないことがあるため、期間は長めに取っています」

 ちなみに、通常は放送の数日前にサブタイトルを付けているが、関GPが以前担当していた『土曜ワイド劇場』のころは、編集作業をする前にサブタイトルをつけていたとのこと。数多くの作品を作り出してきた関GPだが、どのようにタイトリングの方法を学んでいったのだろうか?

関GP「やっぱり『土曜ワイド劇場』での経験が大きいですね。サブタイトルを出し合って、制作陣と叩いていくという会議を毎週やっていたのですが、当初は先輩たちからは毎週のようにダメ出しされて……10年以上やる中で、徐々にコツを掴んでいきました」

食材やカタカナ……「キャッチーなワード選び」が重要

 そして触れて置かなければならないのが、「海ブドウ」や気になるワードが添えられていること。サブタイトルをつける際にはどんなルールを設けているのか?

関GP「まさに、パッと見て目を引くキャッチーな言葉は必ず入れるように意識しています。食材を入れるのも、カタカナが多いのも、そういった意識からです。ラテ欄は“一枚の絵”のように、デザインするスペースだと考えています。文字全体を見た時、頭に映像が浮かんでくれれば。過去に付けた『帰って来た最強の刑事VS絶対に捕まらない殺人犯!首都高を完全封鎖…時速15キロで脱出した美女とムササビ』『死を呼ぶレジ係コンテスト!!温度差80℃の冷凍死体と鍋焼きうどんの謎』なんていうサブタイトルは、お気に入りです(笑)」

 サスペンスドラマ自体、「暗め」「ちょっと怖い内容」というイメージを持たれやすいため、こうしたサブタイトルのキャッチーな言葉は、「何だかわからないけど、面白そうだから見てみようかな」という好奇心をくすぐってくれる。

関GP「デザインということでいえば、ラテ欄の“折れ”も気にしていますね。新聞のラテ欄は、10文字で折れて(=行が変わって)しまいます。なので、折れてもすぐに読める単語なのか、折れると読みにくくなる単語になるのか、キーワード選びは重要です」

文字制限があるからこそ生まれる工夫

 サブタイトルひとつに蓄積されたノウハウが秘められているが、他にも大事なポイントはあるのか。

関GP「“瞬間移動”させるのはパターン化しているかもしれません。以前、『空飛ぶ注射針トリック!?殺人犯を透視する女の罠』というサブタイトルを付けたのですが、一見『注射針が空を飛ぶってどういうことだろう…』と思うじゃないですか。実は、飛び降り自殺する人のポケットに注射器が入っていたということなんです。これもキャッチーな言葉選びと同様、映像を想起させることに一役買っています。という意味では、“大嘘はつかないこと”も大切なことですね」

 若手の頃は、「コピーライターが読むような“コピーの付け方”のような教則本も読んでいた」という関GP。なにかヒントを得ようと奔走していた時期も、いまでは決して無駄ではなかったと感じている。

関GP「サブタイトルを作っていて思うのが、文字制限があるからこそ生まれる工夫があるということ。制限なく書けるからといって様々な要素を入れ過ぎたら、結局何を伝えたいのか全然分からなくなってしまう。そう考えると、サブタイトルもコピーの基本と同じく『シンプル』で『わかりやすい』ことが重要です。いま、若いプロデューサーたちから、送られてきたサブタイトル案をビシビシダメ出ししていますが、『簡潔に表現できる』というのは、ドラマプロデューサーにとって非常に重要な資質であると思います。簡潔に表現するというのは、ドラマに出てくるセリフと同じく、視聴者に情報を伝える上で非常に重要な要素であると思います」

 このように、サブタイトルに込めた想いを語ってくれた関GP。現在担当する明日18日(日)夜9時放送の「法医学教室の事件ファイル・スペシャル」のラテは「理解し合えない夫婦は殺される!?雷を自在に操る妻vs7回死んだ夫…電流で凍った遺体の謎を高級フレンチと日本3大珍味が解く」。やはり今回も「雷を自在に操る妻」「高級フレンチ」「3大珍味」など、映像が浮かぶワードが次々と並ぶ。どんなストーリーになっているのか予想しながら見ると、また一味違った楽しみ方ができるはずだ。

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