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なぜ今『ポケモン GO』が再ブーム? 開発者が語る“消費されない仕掛け”とは

 2016年7月のリリースから2年。社会現象を巻き起こしたスマートフォン向けゲームアプリ『ポケモン GO』が再ブームの兆しを見せている。街中のある一定の場所で、配信開始当時に見られたスマホに集中する老若男女の人だかりを、再び目にしている読者も多いだろう。神奈川県横須賀市で2018年8月29日から5日間にわたって行われたイベント「ポケモン GO サファリゾーン in 横須賀」では、約20万人が集まったとされている。なぜ『ポケモン GO』は再び人気を取り戻したのだろうか。同アプリを開発した米ナイアンティック社のアジア統括マーケティングマネージャーを務める須賀健人氏に明かしてもらった。

新バトルや地方イベントなど2年間でいろいろな仕掛け増やす

 そもそも『ポケモン GO』は、米ナイアンティック社とポケモン社が共同開発したもの。スマホの全地球測位システム(GPS)を活用して、現実世界のいろいろな場所を歩き回ってポケモンを探し、ゲットするゲームだ。2016年7月6日にオーストラリアとニュージーランドでリリース後、日本には同年7月22日に上陸。現在、世界150カ国以上で配信されており、DL数は8憶5000万回以上に上るとみられている。同社によると、とくに今年はDL数が伸びているのだという。その理由について、須賀氏は「2年間でいろいろな仕掛けを増やしてきたのが活きてきた」と語る。
 まず一つ目は、2017年6月に実装された「レイドバトル」だ。ジムと呼ばれるスポットで開催されるバトルで、1グループ最大20人が同時に参加でき、強敵のポケモンを倒して、運が良ければ捕獲することができるというもの。連日、多くのトレーナー(『ポケモン GO』のプレーヤー)が「ミュウツー」や「ギラティナ」といった伝説のポケモンを求めて挑んでいる。

 二つ目は、イベントの増加だ。鳥取砂丘で昨年11月下旬に行われた「ポケモン GO サファリゾーン in 鳥取砂丘」では、海外エリアにのみ生息するポケモンが日本に飛来。希少なポケモンを求めて約8万7000人のトレーナーが集結した。一方、今年の横須賀のイベントでは、通信や交通網の問題を考慮し、参加者を6万5000人と限定し、抽選式で開催。だが同社によると、5日間を通じて約20万人が横須賀市に集まったという。須賀氏は「抽選に外れたけれど、イベントの雰囲気を味わいたいというトレーナーが多かった。また参加者に声をかけて、レアなポケモンを交換するなど、そこで新たなコミュニケーションも生まれていた」と振り返る。
 また2018年1月から始まった「コミュニティ・デイ」も、人気イベントの一つ。「ピカチュウ」や「ヒノアラシ」など、ある特定のポケモンが大量発生するため、何十匹も捕まえて進化させたりすることができるという。さらに同年3月には毎日ノルマを楽しめる「ポケモンリサーチ」が開始され、6月には待望のポケモン交換やギフト贈りといった「フレンド機能」が改善されるなど、2年間でいろいろな仕掛けが増加した。

“ながらスマホ”改善としての「いつでも冒険モード」

 一方、配信当時から問題になっているのが、歩行中や運転中にプレーするいわゆる“ながらスマホ”だ。現在、『ポケモン GO』では一定速度以上で移動すると一部操作が不能になるが、それでも愛知県で今年4月、同ゲームを見ながら運転し、女性をはね死亡させる事故が起きた。それに対し須賀氏は「運転中はもちろん、歩行中でも、画面を注視しながらプレーするのは危険であり、やってはいけないこと。そうさせない機能の改善を日夜繰り返している」と話す。

 そこで期待されている新機能が、先日実装された「いつでも冒険モード」だ。これはアプリを開いていない状態でも移動した距離を記録できるもの。この機能によって相棒のポケモンがアメを獲得したり、タマゴをふ化させることが可能になっただけでなく、指定される1週間のノルマを達成することで報酬を得られるボーナス要素も加わった。

 「いつでも冒険モード」について、須賀氏は“ながらスマホ”改善の一役を担うことができると話す。「歩数計やスマホのヘルスケアを使っている感覚と同じなので、画面を見なくても楽しんでもらえる仕様になっている。通勤通学やランニングなど、日常生活に自然なかたちで『ポケモン GO』が溶け込んでいってくれれば」

ゲームソフト『ポケモン ピカ・ブイ』が追い風となるか

 11月16日には、「ニンテンドースイッチ」用のゲームソフト『ポケットモンスター Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ』が発売される予定だ。須賀氏は同ゲームの発売が、さらなるユーザー増の追い風になると予想する。「『ポケモン GO』と同ゲームを接続しないと捕まえられない幻のポケモン『メルタン』など、いろいろな連携要素があるので、双方で楽しむことができると思う」

 また須賀氏は『ポケモン GO』を通して、発見と運動、そして交流を体験してほしいと語る。「ただポケモンを捕まえるだけでなく、外に出て街を歩き、ポケストップやジムに設定されているスポットなどを訪れ、新たな発見や魅力を探してほしい。またレイドバトルやイベントを通じてトレーナー間の交流を広げ、地域コミュニティの活性化にも繋げてほしいですね」

(文:深津庵)

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