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“カジサック効果”でキングコングが再評価の兆し? アンチ西野にも影響

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    お笑いコンビ・キングコング

 先日、お笑いコンビ・キングコングの梶原雄太が“カジサック”という名でYouTuberデビュー、19年末までにチャンネル登録者数が100万人に届かなかった場合、芸人を引退すると宣言し話題になった。一方、相方の西野亮廣は、芸人以外の活動で存在感を出し、アンチが多いながらも熱狂的な支持者がいる状況。かつては、『はねるのトびら』(フジテレビ系)で中心メンバーとして活躍、将来を嘱望されていたが、番組終了と共に露出は減っていく。そんな中、YouTuberカジサックの挑戦とともに、改めてキングコング2人の生き方が再評価されつつあるようだ。

人気YouTuberたちより早くチャンネルを立ち上げていた「キングコング」

 “カジサック”こと梶原は、「芸能人がYouTuberのことを下に見ているのが嫌だった」、「芸能界とYouTuber界の壁をぶち破りたい」と動画内で宣言しYouTuberデビュー。初回の動画の評価は、高評価2万、低評価3.3万と低い状態でスタート。YouTuberデビューに関しては、人気YouTuberラファエルやヒカルのチャンネルにコラボ出演したりと、その前兆はあったのである。そして18年8月、ヒカルと共演した際にYouTuberをやろうと決意、相方・西野も自身のブログで「そうなんだよ。それが芸人なんだよ!」と梶原を応援する姿勢を見せたわけである。

 さらに言えば、キングコングの2人は13年8月に『毎日キングコング』というチャンネルを立ち上げており(現在も配信中)、当時から「ラッスンゴレライやってみた」などモロに“YouTuber的”な試みを行っていた。ラファエルやヒカルといった人気YouTuberよりも立ち上げは早く、そういう意味では、以前からキングコングの ネット媒体に対する“攻めの姿勢”は発揮されていたのである。

 彼らが将来を期待されたスーパールーキー的な存在だったことは紛れもない事実。00年には、コンビ結成5ヵ月19歳という若さで「NHK上方漫才コンテスト最優秀賞」受賞という快挙を成し遂げ、NON STYLE、山里亮太(南海キャンディーズ)、平成ノブシコブシ、ダイアン、ピース等々、同期に有名な芸人ばかりがいる中でも、キングコングはずば抜けた存在だったのである。01年にはデビューわずか2年で『はねるのトびら』のレギュラーにまで上り詰めたのだ。

 しかし、コンビでこだわっていた『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)の優勝を果たすことができず、結局そのまま出場権を失い、梶原は03年にストレスで仕事を一時休養、06年には病気で入院するという不遇の時期もあった。そして、『はねるのトびら』が12年に終了すると、コンビ露出も徐々に減りはじめ、各々の道を歩み始めていく。

西野に追従する形で梶原もテレビをメインフィールドとしない“第二芸能界”へ

 そうした状況の中、西野は激しく動き続けた。09年に絵本作家デビューすると、クラウドファンディングを活用し個展を開いたり、オンラインサロンを開設するなど、積極的に芸人“以外”の活動をはじめる。それに対しネットでは、「芸人がお笑い以外のことやってどうするんだ」、「本業で食えなくなったから…」などと叩かれると、西野は西野で“意識高い系”のコメントで反論、その結果“炎上”しネットを騒がすことになる。

 さらに「芸人をやめます」、「ひな壇に出るのはやめます(後に発言を撤回)」と宣言をするなど、視聴者の感情を逆なでするような態度を取り続け、13年放送の『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の企画「好感度低い芸人」では、街頭アンケート調査の結果「キングオブ低好感度」を獲得し、完全なる“炎上芸人”としての地位を確立した。

 こうした西野や、後に続く梶原の一連の活動は、いわゆるテレビというメジャーな場所ではなく、地味だとしても自分の好きな方法で自由に表現できる場で活動するという、いわゆる“第二芸能界”での生き方であるともいえる。カジサックチャンネルを立ち上げた当初は前述のようにアンチも多かったが、今では評価が逆転し、登録者数も約37万人に達した。

 また、他の芸人のチャンネルと比較しても、コント動画を配信している東京03で約18万人、“キャンプ動画”を配信しているヒロシで約26万人、ゴー☆ジャスはゲーム実況で約36万人、あのロバート秋山の「クリエイターズ・ファイル」が約41万人だから、すでに実績を挙げていると言ってもよく、芸人枠で1位になるのは時間の問題ではないだろうか。

カジサック、YouTuberに対しての“尊敬”と“謙虚な姿勢”で好感

 カジサックが支持されている理由の一つにラファエルのアドバイスがあるともいわれるが、YouTubeを勉強して戦略的に頑張っているとポジティブに評価する声もある。実際、梶原はYouTuberの間では定番ともいえる「ローション相撲」、「ビリビリグッズ」、「フリスク大量食い〜わさび食べ」といった体を張った企画にも果敢に挑戦すると同時に、芸人の人脈を活かしてインパルス・堤下敦の芸能活動再開を発表したり、ノンスタイル・石田明、南海キャンディーズ・山里亮太、ひょっこりはんなどとのコラボを展開している。コラボ動画を乱発するとチャンネルとして敬遠される節があるのだが、視聴者からのアンチの声もあまりないようだ。

 そしてやはりと、しっかりと活きているのが梶原の芸人としての才能だ。ヒカルとコラボした際も、素人にイジられることを嫌う芸人が多い中、結構ハードなイジリも全て受け止め、トーク自体もYouTuberに比べるとさすがに軽妙で、「YouTubeで最初から最後までトーク聞いたの初めてだわ」、「やっぱりプロは違うなー」とポジティブなコメントが溢れた。

 さらに特筆すべきは、梶原のYouTuberに対する“尊敬”と“謙虚な姿勢”が好感を得ており、「YouTuberにも低姿勢で好感もてた。嫌いな芸人から好きなYouTuberになりました」といった声が挙ったほど。実際にコラボしたヒカルも「これがプロのトーク!! すごい楽しい時間で本当によい経験となりました!」と感激している。片足を突っ込んだ程度にYouTuberをはじめたわけではなく、かなりの本気モードで取り組んでいるということであり、視聴者にもそうした姿勢が響いているのではないだろうか。

 こうした梶原への高評価は、視聴者が『毎日キングコング』へと流れる動きも作り、動画を見たユーザーからは、「カジサックのおかげでキングコング西野の印象ガラッと変わったわ」、「西野って周りのノイズを振り払うとスゲーまともだなって思った」という声すら見られ、思わぬ“カジサック効果”は西野のアンチさえをも逆転させはじめている。

 とは言え、チャンネル登録者数100万人が高いハードルであることは間違いない。しかし、TVの露出度や賞のタイトルだけにこだわるのではなく、新たな笑いの形やフィールドに挑戦し続けるキングコングは、芸人の世界にある意味“革命”をもたらすかもしれない。そうしたキングコングの行動は、本来あるべき“芸人としての意地”を見るようでもあり、カジサックの公約も含め、これから見届けていきたいものである。

【動画】YouTuberカジサック誕生!!

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