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綾部祐二の“ふんわり渡米”が再評価? 芸能人留学における“高い志”がマイナス傾向に
いつの時代も話題の芸能人の留学、“退路を断って”結果を残す難しさ
一方、留学と聞くとスキャンダルを受けて“雲隠れ”するというイメージもあるし、停滞気味のキャリアに箔をつけるという場合もあるだろう。それまでの自分のポジションを捨てて留学するわけで、帰国してみたら“過去の人”になっていたという例もある。
そのようなマイナスイメージもあり、「何を学びに行くのか?」、「いつ帰ってくるのか?」、「帰国後はどうするのか?」など、留学について根掘り葉掘り聞かれ、少しでも詰めの甘さを見せると、「どうせ遊びたくなっただけだろう」などとバッシングを受けることも。それだけに、留学に対する本気度を示すには、“退路を断つ”相当な覚悟が必要されてきたのである。
そうした中、留学で大成功した例と言えば、2014年にアメリカ・ニューヨークに3カ月間留学して、海外での人気も獲得。持ち帰ったファッションセンスやマインド面も日本で支持され、世界を股にかける活躍を見せる渡辺直美や、2003年にロサンゼルスに移住、英語を猛勉強してハリウッドへ進出した渡辺謙ぐらいかもしれない。
賛否含め、留学前後で話題になるのは人気のバロメーターでもあるが、その分、今の立ち位置に甘んじることなく退路を断って飛び出すことも求められる。その上、留学の成果も残さなければならないとなると、かなり高いハードルだろう。
高い志を掲げず「詰めが甘い」、叩かれながらも渡米した綾部
果たして綾部は「BIGになるか? ならないか?」、ORICON NEWSが留学間近に街中で聞いたところ(2017年2月3日付)、「今までよりは有名人になってきそうだけど、そこまではBIGにならない」、「エールはおくるが、売れるかは…」、「相方(又吉)には、かなわないんじゃない」などの冷めた意見が多かった。ちょうど相方の又吉直樹の芥川賞受賞後ということもあり、(コンビ格差に悩んでの決断)との同情の声もあったが、どちらかと言えば、やはり「甘すぎ」とする批判の声が大方を占めた。
実際、半年後の4月と発表した渡米も延期となり、1年後の2017年10月になる詰めの甘さ。そんな相方を又吉が成田空港まで見送りに行くと、Tシャツには「AMERICAN DREAM」なるロゴが掲げられているなど、相変わらずアメリカで「BIGになる」夢を求めて、浮かれっぱなしという“ブレない”姿勢だけは貫いていたのである。
「結局、何してるの?」の声も笑いにも、あえてのリラックスモード
しかし、綾部がリラックスモードで実に楽しそうにしているのも事実だ。これでBIGになれば賞賛されるだろうし、たとえBIGにならずに帰国しても、それはそれで「結局、何しに行ったの?」とイジってもらえるのは約束されている。そもそも綾部自身が留学に対してまったく気負わず、変にハードルも上げていないだけに、見ているほうも真剣に批判する気にならない。あえてリラックスモードで渡米した結果、いかようにも落としどころや着地点を見出しやすいのではないだろうか。むしろ、退路を断ってガチガチの状態で留学することだけが、成功への道ではないのではないかとも思えてくるようだ。
退路を断っての海外留学は志が高くスマートではあるが、その結果、思うほどの結果が得られず帰国してバッシングの対象になってしまうこともある。また、目に見える結果を残すのは現実的に難しいだろう。一方で、ある種の“保険”をかけて海外で活動し、どんな帰国の仕方でも笑いに昇華する…そんな綾部の肩の力を抜いた“ふんわり”とした渡米は、今後の芸能人の留学への新たな指針となるのではないだろうか。