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元祖“感情移入型”ユニット・ポケビ バラエティ番組の新機軸フォーマットを作った功績

 先日放送された『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ系)でサプライズ復活し、SNSを含めその反響が大きく取り沙汰されたポケットビスケッツ(ポケビ)。18年ぶりの復活に歓喜する声と共に、バラエティ番組に残した足跡を改めて見直す声も多かった。実際、内村光良(TERU)、キャイ〜ンのウド鈴木(UDO)によるエアバンドスタイルは「元祖なのでは?」というSNSコメントもあったし、100万人以上の署名を集めた視聴者参加型の企画、そして、その成長を見守る“感情移入型”の応援システムは、後に続いた『ASAYAN』(テレビ東京)のモーニング娘。やAKB48グループに影響を与えたはずだ。

ポケビ誕生は偶然だった!? 素人が音楽ユニットを通じて成長するストーリーに共感

 大歓声に迎えられ『24時間テレビ』でパフォーマンスを披露したポケビ。時間にして数秒ではあったが、内村扮するTERUがキーボードを生演奏した際は、そのたどたどしさにハラハラドキドキし、ポケビを“応援”していたあの頃を思い出した人も少なくないだろう。Twitterには「懐かしかったな〜ウッチャンのキーボードも生演奏すごかった」「千秋すごくない?まだ原曲キーでバリバリ声出てんの」とポケビを称賛する声も多かった。

 振り返れば1995年、ポケビ誕生は偶然だった。『ウッチャンナンチャンのウリナリ!』(日本テレビ系)の前身番組『 ウッチャンウリウリ!ナンチャンナリナリ!!』(同局系)の企画内で音楽ユニット・McKeeが活動をしており、のけ者扱いされていた内村が「第2のマモーミモーを作ってやるダニ!」と叫んだのがきっかけだ(※マモーミモーは『ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!』(フジテレビ系)から生まれた内村とタレント・ちはるのユニットで1991年に大反響を呼び起こした)。

 ポケビは『ウリナリ』内で出番の少なかった千秋とウドが内村とユニットを組み、虐げられていた存在から成り上がるストーリーが共感を呼び、視聴者を巻き込んだ怒涛の展開が始まった。

「ポケビはワシが育てた」ユニットの成長を見守る“感情移入型”の雛型が誕生

 バラエティ番組のいちコーナーということもあって、ポケビに課せられたハードルは最初から高かった。また、その課題には視聴者の協力が必要とされていた点がポイントだ。

 デビュー曲「Rapturous Blue」 はオリコンランキング20位を獲得。2ndシングル「Yellow Yellow Happy」では、「20位に届かなかったら解散」という条件の中、初登場8位で活動継続に。その後も「即解散」を掛けてさまざまな企画に挑みながら、南原清隆(南々見狂也)、ビビアン・スー(ビビアン)、天野ひろゆき(天山ひろゆき)のブラックビスケッツ(ブラビ)との対決も名物となり、『ウリナリ』は視聴率20%を超える人気番組となった。

 さらに、新曲の発売を目指して100万人の署名を集める活動では、全国の小学校を中心に署名運動が展開され、結果178万4892人もの署名が集まるなど、国民的なムーブメントに発展。その結果、5thシングル「POWER」はポケビ初の週間ランキング1位を獲得した。

 このように、ファンと共にハードルをいくつも乗り越えたポケビ。必然、その成長を見守った視聴者には、元プロ野球監督の故・星野仙一氏の名言「わしが育てた」のように、ポケビを自分たちが育てているという感覚が生まれたのではないだろうか。

身内をライバルに仕立てる「競争システム」を確立 悲喜こもごものドラマ発生とファン心理の煽り

 現在のアイドル展開の必須ともいえる、身近な存在をライバルに仕立てる手法も同番組から誕生。前述した南原率いるブラビは後進として登場しながら「Timing」は148万枚を売り上げ、売上枚数ではポケビを抜くまでに成長した。

 ライバルを作ることによりマンネリを回避するだけでなく、視聴者も双方のファンが競って応援するフォーマットが効果を発揮。『ASAYAN』では1997年、『女性ロックボーカリストオーディション』で平家みちよがデビューするが、その落選組から生まれたモーニング娘。が大ブレイク。また、モーニング娘。は6thシングル「ふるさと」発売時に同番組発の鈴木あみの「BE TOGETHER」と同日対決。モーニング娘。が惨敗するものの、その次のシングル「LOVEマシーン」でミリオンを飾るというドラマも生まれた。

 上記のように、バラエティ番組からポケビのフォーマットを参考にした音楽ユニットが次々と誕生する。前述の『ASAYAN』ではモーニング娘。が登場し、素人が国民的アイドルに上り詰める姿を視聴者は追体験した。また、ファンがアイドルを育てる“感情移入型”としてはAKB48もその系譜といえるだろう。

 また、AKBでは“公式ライバル”として乃木坂46、さらに欅坂46も擁してライバル展開も行っている。12年には乃木坂46の2ndシングル「おいでシャンプー」と指原莉乃のソロデビュー曲「それでも好きだよ」が同日発売で、乃木坂46が勝利したこともあった。

 ちなみに、ポケビの特色でもある内村とウドのエアバンドぶりも当時話題となった。エアバンドとしては『欽ドン!良い子悪い子普通の子』 (フジテレビ系)から生まれたイモ欽トリオの「ハイスクールララバイ」の例もあったが、実際に楽器を手にしながら全く演奏しないポケビスタイルは、ゴールデンボンバーの先駆け的存在だ。

バラエティ発の音楽ユニットに求められる“新フォーマット”

 とはいえ、バラエティ番組発の音楽ユニットも“新たな展開”が求められている。実際、新しいフォーマットを模索して、AKB48はメンバーを韓国に派遣してオーディション番組『PRODUCE48』(Mnet)に参加。結果、韓国の視聴者“国民プロデューサー”の投票により、韓国人メンバーと共に宮脇咲良、矢吹奈子、本田仁美が加入したIZONEの結成が決まった。また、『ラストアイドル』(テレビ朝日系)では、暫定メンバーに新たな挑戦者がパフォーマンスで対決を挑み、審査員がメンバーを決める新たな試みが行われ話題になった。

 同じく秋元康プロデュースの『青春高校3年C組』(テレビ東京系)では一般参加者から生徒を選び、女子だけのアイドル部、男女混合の軽音部などが誕生。“文化祭”で秋元氏作詞の楽曲を披露し、次の展開が期待されている。

 今後、素人育成を軸にした、ポケビ、モー娘。、AKB48グループのような国民的なユニットが生まれるのか? 新フォーマット誕生の取り組みを見守りたい。

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