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(更新: ORICON NEWS

言われる前にけん制? 女性タレントによる自称「BBA」の心理

  • 秋元康に「指原と2人合わせて“ババアコンビ”」と言われながらも、AKB48グループを盛り上げていくことを誓った柏木由紀 (C)ORICON NewS inc.

    秋元康に「指原と2人合わせて“ババアコンビ”」と言われながらも、AKB48グループを盛り上げていくことを誓った柏木由紀 (C)ORICON NewS inc.

 最近、SNSやテレビでよく聞く「BBA(ババア)」という言葉。先ごろ行われたイベントでAKB48の柏木由紀が秋元康から「これからは指原と柏木のババアコンビで頑張るしかない」と言われたエピソードを告白したり、元モーニング娘。の辻希美がブログで「これから洗濯ババアになってきます」と綴ったり、木下優樹菜がインスタグラムで「(新成人へむけてのメッセージで)29歳のBBAより。笑」と発言したりと、20代後半から30代前半の女性芸能人たちの間でも普通に使用しているのだ。そもそもはキツい言葉で、かつては毒蝮三太夫やビートたけしが「ババア! 長生きしろよ?」と毒づいていたが、決して“自己申告”することはなかった。なぜ今、彼女たちは「BBA」と称して自虐に走り出したのか? 

自虐ではなく自衛? 急増する自称「BBA(ババア)」の女性たち

 「BBA」を「ババア」と読むのはネットスラングで、本来の意味は高齢の女性に対するある種の蔑称。しかし最近は、20代であっても女子高生にとってはBBAであり、その女子高生も女子中学生にとってはBBAになるというふうに、“比較対象”として年上はみなBBAとなる傾向が近年顕著だ。それを見越して、年下にバカにされる前に自らBBAと言っておけば傷も浅くなる…といった考えなのか、BBAを使う女性芸能人が増えているようなのだ。

 先日行なわれたゲームアプリの記者発表会では、AKB48の柏木由紀(27歳)が秋元康から「これからは指原と柏木のババアコンビで頑張るしかない」と言われたエピソードを告白。柏木は「27歳でババアとは腑に落ちない」としながらも、「秋元さん公認になるならば、AKBの“おつぼねババア”として、まだまだグループのために頑張れたら。さっしー(指原莉乃・25歳)と図太くいると思います」と宣言した。前述の辻希美(31歳)の「洗濯ババア」発言や、木下優樹菜の「29歳BBA(木下)と46歳JJY(=ジジイ。夫の藤本敏志)より」発言のように、BBAは“自虐”というよりは“自衛”の意味を持っているのかもしれない。
 
 こうしたBBA発言は芸能界だけではなく、一般社会にも浸透している。女性が多く在籍する会社で、年上の女性社員を煙たがって(あのBBA…)と陰口を叩くのは普通だとしても、SNS上で自分の意見を述べた後、言い訳するかのように(まあBBAですけど…)的な感じで使ったりもする。しかし、若い女性に過剰に「BBA」と自虐されても、(何もそこまで…)と対処に困ってしまう場合が多いこともたしか。

若いとも年配者とも言い切れぬアラサー世代の抱えるジレンマ

 なぜ、そんなにまでしてBBA発言をしてしまうのだろうか。その根底には日本人の美徳とされる“謙遜”もあるのだろう。しかし、とかく若い女性が“チヤホヤ”される風潮がいまだ根強い中、あえてBBAとする自虐ネタは、もう若くはないという年齢コンプレックスを薄める“安定剤”としても機能しているのかもしれない。前述のように先にBBAと自ら認めてしまうことで、それ以上は批判させないという自衛効果もある。

 また、自分の若さのピークが過ぎたことを自覚し、市場価値が下がったことを受け止め、謙遜ではなく本気で自分をBBAと思っている場合もあるだろう。あるいは逆に若かったがゆえに、「若いだけでは何もできない」とか「まだまだ仕事を任せられない」などとして一人前と認められずにチャンスを逃してきた人が、ようやく若さを手放して自分に自信を持つこともある。その場合、自分より若い世代に対しては、(あなたたちより物事を知っているし、大人ですけど…)という“マウンティング”の意味合いも出てきそうだ。さらに言えば、そこには「BBAと自虐ネタにできる自分って器が大きくない?」という“承認欲求”すらあるかもしれない。

一方で“年齢に抗わない生き方”が評価されている現状も

 そんな“BBAブーム”の中、いま注目を集めているのが「年齢に抗わない生き方」である。つまり、年老いていくことに逆らわず、受け入れ、若さにしがみつかない生き方のことだ。いわばアンチエイジングとは真逆の考え方だが、その象徴とも言えるのが、アラフィフ女優の石田ゆり子(48歳)だろう。気張らず、ゆったりとしたライフスタイルをつづったフォトエッセイ集『Lily』は、発売後わずか1カ月で20万部を超える大ベストセラーとなった。インスタグラムのフォロワーも1600万人に及び、女性たちからの圧倒的な支持を集めている。

 元フジテレビアナウンサーの近藤サト(50歳)は、最近は白髪を染めずにグレーのヘアーで番組に登場し、「なんかかっこいいと思った」、「和服が似合ってて素敵」などSNSでは賛美と共感の声が上がった。水曜レギュラーを務める『ひるキュン!』(TOKYO MX)では、七夕の短冊に「白髪が増えますように」という願いを書いてネットで話題になったが、ORICON NEWSの取材に対しても「頑張って若作りしても、若い子にはバレるんです。『変わらないですね』は『変わったね』っていうこと(笑)」としながらも、「年齢に抗わないのは、若さにしがみつかないということ。若さにしがみつくのは“時代遅れ”だと思います」と語っている。

 高齢化社会が進む日本では近い将来、それこそ現実問題として「BBA」や「JJY」だらけになることが予想される。今後はBBAになることは当たり前として、“ありのまま”を普通に受け入れることができる環境作りも必要になってくるだろう。SNSなどのメディアを通して、BBAという言葉もよりポジティブに使われる社会になることを期待したい。

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