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高杉真宙、役者としての転機を語る「ターニングポイントは2014年」

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 『プリンシパル〜恋する私はヒロインですか?〜』(2017年)、『虹色デイズ』(2018年)など、学園ものの作品に多く出演し、若手俳優としてメキメキとその頭角を現している俳優・高杉真宙。今年に入ってからすでに連続ドラマ2本、映画6本、それぞれ主演や主要キャストと出演しており、まさに“ひっぱりだこ”な存在だ。プライベートでは漫画やアニメにも造詣が深い高杉がこの秋、かねてから“挑戦してみたい仕事のひとつ”としていた“声優”に初挑戦する。ORICON NEWSは、彼が熱望していた仕事への意気込みと、人気俳優へと成長した背景を探る。

「役を通して成長していかなければいけない」という思いから、プレッシャーは消えない

 ORICON NEWSの『2018年度ネクストブレイクランキング〜俳優編〜』にランクインし、「どんな役もハマる」「カッコイイし儚げな感じが唯一無二の存在」と並み居る若手俳優のなかでも多くの期待を寄せられている。そんなお茶の間知名度も日に日に高まっている高杉が、劇場アニメ『君の膵臓をたべたい』(9月1日公開)主人公・“僕”役でキャリアで初となる声優に挑戦する。原作小説の累計発行部数は260万部超え、昨年実写映画も大ヒットした。

「声優はずっとやりたかった仕事のひとつ。僕はもともとアニメや漫画やゲームが好きなので、今回の“僕”という役をどういうふうに演じるべきか、その試行錯誤はかなりしました。しかも、趣味のアニメ鑑賞で普段から素晴らしい声優さんの演技をたくさん観ている分、いざ自分がやってみると、理想と現実の差を感じずにはいられなくて。声優は初挑戦でしたが、正直ショックを受けた部分もあります」(高杉真宙)

 実写版の映画は、“あえて観なかった”という高杉。その真意とはどんなものだったのだろうか。
「『君の膵臓をたべたい』は、原作も実写版もすごく評価をされている作品なので、それを観てしまうと、さらに緊張してしまうなと思って(笑)。あと、“実写版の役に引きずられてしまうのでは?”という思いもありました。あくまでアニメはアニメで、実写版とは別の作品なので、自分なりの“僕”を表現していきたいという気持ちが強かったんです」(高杉真宙)
 言葉の節々から今回の作品へのチャレンジにプレッシャーを感じていたのがよくわかる。しかし、それは今作が声優初挑戦だから、という理由だけではなさそうだ。

 「今作に限らず、どの作品に出るときも常にプレッシャーしかないです。“何か結果を残さないといけない”という思いは作品を問わず、ずっと考えていることなので。役を通して成長していかなければいけない。そうやって常に自分にハードルを課しているからこそ、プレッシャーは消えないですよね。今作はとくに自分の趣味のジャンルに触れさせていただいたので、すごく緊張しました。理想があるからこそ、“こう見せたい!”という欲も沸湧いてくるんだと思います」(高杉真宙)

“演技以外”で感情を出すのは苦手「カットがかかった瞬間に、恥ずかしくなることも」

 『君の膵臓をたべたい』を含めて今年だけで6本の映画に出演。さらにドラマ、CMの出演など、今年はまさに引っ張りだこ状態である。ライバルだと思う人物はいるのだろうか?
「特別“誰”ということもないですが、同年代の共演者さんは、みんなライバル視しちゃいますね。僕は本当に負けず嫌いな性格なので……。けど、ドラマとかにあるようなドロドロとした蹴落とし合いみたいなのではなく、“一緒に上を目指していこうぜ!”みたいな感じで、お互いに尊敬しあって切磋琢磨できる関係でやれているなと思っています」(高杉真宙)

 ライバル関係はあれど、現場は和気あいあいとした雰囲気で自らの演技に集中できているそう。だが俳優活動を始めた当初は苦労したことも当然あった。
「2012年に出演させていただいた倉本聰さん脚本の『學』(WOWOW系)というドラマで、泣くシーンがあったんです。でもプライベートでもほとんど泣かないので、泣き方がわからなくて…でも『セリフを言わなきゃ』と思っていたら、雨宮望監督から『泣くまでセリフ言うな』と言われたんです。涙を流すまでの間、何十分もカメラを回されていました。自分自身の最初の壁だったので、すごくつらかったのを覚えています。なにより、他の役者さんやスタッフさんに申し訳なかったですね」(高杉真宙)

 「1番最近泣いたのは?」という問いには、しばらく熟考した姿を見せた。それぐらい遠い昔の記憶のようだ。

 また、涙を流さないだけでなく、感情を大きく表すこともあまりないという。喜怒哀楽の中でも、とくに“哀”の感情が少ないため、演技の中でも自分の経験に想いを馳せて感情を作ることが難しいという。作品の中では“役”を通じて喜怒哀楽を大きく表現しているだけに、意外な一面ともいえる。
「それは“役者”だからです(笑)。“役”の感情を通して表現しているので。なので撮影のカットがかかった瞬間に素に戻って恥ずかしくなることもありますね。漫画とかアニメを観て泣くことはあるので、この取材が終わったら、久々に泣けるものを探してみようかな?(笑)」(高杉真宙)

作品をきっかけに、役者としても自身のキャラクターも“一皮むけた”2014年

 2010年にデビュー。22歳にして8年のキャリアを持つ高杉だが、ターニングポイントとなった作品は何だったかを聞くと、「2014年に公開された『ぼんとリンちゃん』ですね」と即答した。この映画では、小林啓一監督のもとで、2ヶ月間しっかり稽古を行ったという。

「舞台だとしっかり稽古をするのですが、映画だと普通はこんなにしないんですよ。なので、相手の演技によって自分の感情も変わったりと…撮影をしていく中で役を掴むということもあるのですが、この映画では、稽古の中でしっかり役を作る時間があったので、『役を作るってこういうことなんだな』っていうのを1から学ぶことができました。自分の役者人生を変えた作品ですね。小林監督は、僕の役者としての恩師ですね」(高杉真宙)

 また、余談ですが…と微笑みながら、こう続ける。
「僕がこの映画で演じたリンは、オタクなんです。脚本を読んだとき“これは僕自身だ!”と感じました(笑)。リンを演じるまでは、“オタク扱い”を受けることに抵抗があったけれど、この頃から吹っ切れましたね。そういう意味でも、僕の人生を変えた作品です(笑)」(高杉真宙)

 その3年後、小林監督とは、映画『逆光の頃』(2017年)で再会する。
「再会してみて思ったことは、『小林監督から“また一緒にやりたい”と言ってもらえる役者になろう』ということです。監督は毎回いくつもの“壁”を与えてくれて、僕はいつもその“壁”を乗り越えるのに必死になっています。でも、乗り越えると、僕自身に必ず学びがあるんです。監督は僕を、撮影を通じて成長させてくれている。だから、もっともっと成長して、“また一緒に”って思ってもらえたら、その成長が間違っていなかったということなんじゃないかなと自信にもつながるので。一瞬一瞬を大事にして、すべてを糧にしていきたいですね」

 役者の仕事は必ず“次”があるとは限らない。それを知っているからこそ、高杉は“成長”を望む。今年22歳になったばかりの彼が、今後どのような俳優になっていくのか見守りたい。

文/Kanako Kondo 撮影/Tsubasa Tsutsui
ヘアメイク/堤紗也香 スタイリスト/石橋 修一

劇場アニメ『君の膵臓をたべたい』9月1日(土)公開

 他人に興味を待たず、いつもひとりで本を読んでいる高校生の“僕”(高杉真宙)。そんな“僕”はある日、『共病文庫』と記された一冊の文庫本を拾う。それは、クラスメイトの山内桜良(Lynn)が密かに綴っていた日記帳だった。いつも明るくクラスの人気者だと思っていた桜良。しかし、そこには彼女が膵臓の病気で余命幾ばくもないことが記されていて…。

声優:高杉真宙、Lynn、藤井ゆきよ、内田雄馬、福島潤、田中敦子、三木眞一郎、和久井映見
原作:住野よる『君の膵臓をたべたい』(双葉社刊)
原作イラスト:loundraw
監督・脚本:牛嶋新一郎
キャラクターデザイン・総作画監督:岡勇一
アニメーション制作:スタジオヴォルン
配給:アニプレックス
(C)住野よる/双葉社 (C)君の膵臓をたべたい アニメフィルムパートナーズ

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