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(更新: ORICON NEWS

「ノーバン」から「本格派」にシフト 芸能人始球式は“ガチ勢”であふれかえる?

  • プロ野球交流戦「横浜対日本ハム」試合前に投球した樽美酒研二 (C)ORICON NewS inc.

    プロ野球交流戦「横浜対日本ハム」試合前に投球した樽美酒研二 (C)ORICON NewS inc.

 ここ最近、プロ野球の始球式で「球速」を追い求める芸能人が増えてきている。先月6日、EXILE兼GENERATIONSの関口メンディーが東京ドームで開催されたプロ野球交流戦の始球式に登板。球速133キロを計測し、話題となった。すると同月27日には、ゴールデンボンバーの樽美酒研二が、それを上回る135キロを叩き出し、「今年で38歳ですが、改めてプロの道を目指していこうかなと思います」と高らかに宣言。これまで芸能人によるプロ野球の始球式というと、グラドルや女優による“ノーバン投球”や、芸人やゆるキャラによる“ウケ狙い“などと、セレモニー的な意味合いが強かった。そうした中、冒頭のような“ガチ勢”が増えてきた理由とは?

武井壮は驚きの理由で始球式を拒否「140キロ超えないとプロのマウンドに立てない」

 メンディー、樽美酒ともに学生時代、野球部に所属していたものの、ブランクは相当あったはず。ここまでの球速を出すために、メンディーは2週間前から野球教室に通い練習。一方の樽美酒は、前日に3時間のシャドーピッチングを行ない、右肘を負傷したにもかかわらず、痛み止めを服用して登板したというのだから、どれだけ始球式にかける思いが強いかがわかる。

 元陸上競技選手ながら、本気でプロ野球選手を目指していた時期もあるというタレントの武井壮は、始球式のオファーはたくさんものの全部断っていると語る。その理由として「プロが戦うマウンドは140キロ超えないとダメ。オレはまだ本物になってないので」と、これまでの芸能人始球式のように“ただマウンドに上がって投げる”ことを頑なに拒んでいる。本人のTwitterによると、2017年11月の段階で134キロを計測しており、あと6キロの上乗せを目指し、現在もトレーニングを継続している様子だ。

“神スイング”稲村亜美の登場で“ガチ始球式”が一般化

 そもそも“ガチ始球式”が増えるようになったのは、“神スイング”で知られる稲村亜美の登場が大きいだろう。それまで登場してきた女性タレントとは一線を画す本格的な投球フォームで、女性としては異例の103キロを計測。以来、「何キロ出せるか?」に期待が集まり、始球式には引っ張りだことなっている。こうした活動によって、観客、そして始球式をするタレントにも“真面目な始球式はアリ”という印象を与えた。最近では“野球女子”を公言するモデル・坪井ミサトも、4月28日の西武対楽天戦の始球式に登板し、97キロを計測するなど、女性タレント間でも“球速争い”をする時代に突入している。

 かつて始球式と言えば、ニュースに“ノーバン始球式”の文言が踊る一方(読者に“ノーパン”と見間違えさせることが狙い)、柳沢慎吾のトークが冴え渡る“日本一長い始球式”、壇蜜の“スク水始球式”、そして映画『リング』の貞子の始球式など“ネタ要素”が強かった。その分、開催する球団はエンタメに力を入れていることをアピールでき、登場した芸能人側もそれがメディア露出につながるという、win-winな関係が出来上がる。先に上げた“ガチ始球式勢”のメンディーや樽美酒も、『究極の男は誰だ!?最強スポーツ男子頂上決戦』(TBS系)といったスポーツ系番組に出演するなど、自分のストロングポイントをアピールすることで、新たな仕事のオファーも期待できるのである。

当のプロ野球選手は始球式の“エンタメ化”に警鐘 今後はどう展開する?

 芸能人にとっては自身をアピールできるイベントのひとつでもある始球式だが、“エンタメ化”について苦言を呈するプロ野球選手もいる。

 今年1月に放送された『ジョブチューン』(TBS系)において、西武ライオンズの中心選手・秋山翔吾は、「正直、普通にやってほしいです」「ボク、1番バッターで集中してバッターボックスに入っているとき、(始球式をするタレントが)首振ったり、けん制球を入れたりと長いときがあって、こっちの駆け引きやってる場合じゃないんで」と語り、“ウケ狙い”にクギをさす一幕があった。始球式に登板する芸能人もそれなりに真剣なら、その直後にプレイをする野球選手もそれ以上に真剣。秋山選手の意見ももっともと言えるだろう。

 ちなみに、野球発祥の地、アメリカのメジャーリーグに目を移すと、始球式に招待されるのは “功績を残した球団OB”が多いようで、2016年のヤンキースの本拠地開幕戦の始球式には、OBでもありGM特別アドバイザーを務める松井秀喜氏が登場している。また就任直後の大統領も、首都ワシントンや近郊ボルティモアに本拠地を置く球団の開幕戦の始球式にのぞむことが慣例となっているなど、そこには歴史と伝統が息づいている。

 プロ野球における1つの“余興”としてすっかり定着した始球式。そのエンタメ化が多様化してく中で、球速を競う“ガチ始球式”が定着していくのか、メジャーリーグのように伝統化された始球式が増えるのか、はたまた「VR始球式」といったテクノロジーを交えた始球式が増えていくのか、今後の展開に興味がわいてくる。

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