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(更新: ORICON NEWS

女性の「勝負下着」概念が変化?男性意識から自分アゲへ…最新事情を聞く

 女性にとって“勝負下着”と言えば、異性に見られることを意識して選ぶ下着といった意味であったが、最近ある変化が見られるようだ。“異性に見せる”よりも“いかにラクであるか”にシフトしつつあるという。実際に市場では、ユニクロの『ブラトップ』に代表されるキャミソール型などの“着け心地が良い下着”が販売数を伸ばしている。いまや特別な夜のために“勝負下着”を選ぶという概念はなくなってしまったのか? 現代女性の下着事情について株式会社ワコールの広報・宣伝部の上沼孝子氏に聞いた。

女性の6割が勝負下着を保有、すべては“自分のため”

 勝負下着を持っている女性はどれだけいるのか。そんな勝負下着に関する意識調査を行った株式会社ワコールの広報・宣伝部の上沼孝子さんは、「女性の6割以上が普段の日と特別な日で着用する下着を分けている」と話す。

「“対異性”を意識するよりも、自分のスイッチを切り替える手段として勝負下着を使い分けている女性が多いんです」(上沼氏)

 女性には様々な“勝負のとき”がある。NHKで今年3月31日に放送され話題になったドキュメンタリー番組『あなたの下着見せてください〜プロも驚く女性たちの真実〜』では、さまざまな職業に就く女性の“勝負下着”と“勝負のとき”が公開。ある女性銀行員は、「子どもの頃の成功体験時に身に付けていた下着と同じようなデザインを、資産運用の相談など仕事の大事な局面で身に付ける」と話した。

 さらに、AKB48の柏木由紀は出席したランジェリーイベントで「勝負下着だったら(“AKB選抜総選挙”で)1位になれたかも」と発言。下着は“勝負アイテム”として重要な役割を担い、勝負下着を身に付ける行為は自分自身への“願掛け”にもなっている。“勝負”の定義が“異性のため”から“自分のため”へと変化しているのだ。

“ありのまま志向”で胸のコンプレックスもシェア、中村アンや梨花の影響も

 では、なぜ“自分のための勝負下着”が取り入れられるのか。女性下着の変遷について前出の上沼氏は「1990年代にはシンディ・クロフォード、ナオミ・キャンベルらスーパーモデルの活躍で彼女たちに憧れる女性が増え、女性のプロポーション意識が変化しました。よりきれいに見せたいという願望が高まり“寄せて上げる”下着が流行したんです。しかし、2000年代以降には『もっと自然に生きたい』『癒されたい』という欲求が生まれ、より自分らしい生き方が意識されるようになりました。“見た目の美しさ”と“快適性”の両立を目指して、下着のデザインも進化しているんです」と話す。自分らしい生き方を追求する中で、作り込まない自然さが下着のデザインにも反映されていった。

 GUやユニクロといったファストファッションブランドでは、キャミソールやタンクトップ型の“着け心地の良い下着”が売れている。SNSでは「ふにゃふにゃのクッションを触った時と同じ着け心地。もう他の下着を着けたくなくなる」「優秀すぎる! この感動を誰と分かち合えばいいの?」「胸の形もきれいに見せてくれるから、大好き」など称賛の声が上がっている。これはまさに“見た目の美しさ”と“快適性”を両立した結果だといえる。

 ひと昔前までは、寄せて上げて胸の谷間をつくる、背中や脇のぜい肉を収めてきれいなボディラインに仕上げるなど、下着は女性の美をつくる“過程”において重要なアイテムで、女性同士の間でも“どのように自身の体を形づくっているか”ということは、どちらかというと隠しておきたい話題であった。しかし、ありのままであることがよしとされる風潮になったことで、“胸が小さい”“形が左右で違う”といったコンプレックスを徐々にさらけ出していけるように。中村アン、梨花、紗栄子といった下着モデルを務める有名人たちが、下着のこだわりや悩みについて赤裸々に語るようになったことも女性心理の変化を後押ししたのではないか。

一方で、男性が求めるのは自分へだけの“特別感”

  “勝負下着”を身に着ける目的の対象であった男性の意見は、女性のイメージとは大きく異なる部分があるようだ。オリコンが運営するライフスタイルメディア「eltha(エルザ)」で、20〜40代の男女を対象に女性の勝負下着について調査したところ、男性にとって女性の下着は“透け感があること”が最重要ポイントで、次に意識するのが“派手なカラー”“胸やおしりの露出の多さ”となっている。理由として「好きな人や気になる相手にしか見せられない姿だと思うから」(東京/20代/男性/透け感がある)などの意見があがっているように、“自分にだけに見せる”という特別感が男心を掴む要素のひとつであるようだ。

 これに対し、女性は異性のための勝負下着についても、“ブラジャーとショーツがおそろい”というのが大前提となっており、次いで“レースや網素材が使われている”“派手なカラー”といった要素がポイントとして挙げられた。セクシーさよりも、かわいさ、デザインや素材の繊細さといった自分の気持ちを高めてくれる下着を求める傾向にある。

 男女で勝負下着への考え方が分かれる結果となったが、これらの意見から“男性ウケ”や“男性に媚びる”といった女性の心理が薄れつつあるという側面も見えてくる。下着という見えない部分だからこそ気合を入れる、自然体でいられる下着やテンションの上がる下着を身に着け、忙しい毎日の中でも気分良くいられる工夫をする。恋愛に限らずさまざまな局面で勝負のときを迎える女性にとって、勝負下着はその大きな助けになっているのかもしれない。
(文:奥澤しのぶ)

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