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ポケモンのパロディ返しで再評価 “ポプテ”放送終了も支持衰えぬワケ

  • 大川 ぶくぶ『ポプテピピック』竹書房<バンブーコミックス WINセレクション>(C)大川ぶくぶ/竹書房

    大川 ぶくぶ『ポプテピピック』竹書房<バンブーコミックス WINセレクション>(C)大川ぶくぶ/竹書房

 今年3月にアニメ放送が終了した人気4コマギャグマンガ『ポプテピピック』に、再び注目が集まっている。「とびっきりのクソ4コマ!!」を標榜し、数々のアニメやマンガのパロディが登場するブラックかつシュールな作品だが、なんと、これまで同作にパロディされてきた「ポケットモンスター」が、6月7日放送の『ポケットモンスター サン&ムーン 第78話』で、“パロディ返し”を見せたというのだ。世界的コンテンツのポケモンさえも巻き込む “ポプテ・ムーブメント”の要因を探る。

世界のポケモンがリスペクト? 前代未聞の“クソアニメ”に呼応してネット騒然

 『ポプテピピック』は、竹書房の4コママンガのWEBサイト『まんがライフWIN』で2014年から連載されている大川ぶくぶ氏のギャグマンガ。“短いほう”のポプ子と“長いほう”のピピ美が繰り広げるシュールで破天荒なやり取りを描いた作品だ。今年の1月からは、TOKYO MXやAbemaTVなど地上波とネットTVで同時に放送・配信され、30分枠の前後半でほぼ同じ内容を流し、主人公のポプ子とピピ美の声優たちも毎回違うなど、前代未聞の“クソアニメ”としてアニメファンに衝撃を与えた。

 目がキラキラした絵柄は“萌え”風とも言えるが、瞳孔が開き気味のキャラが出版元の竹書房の社屋を殴って破壊してみたり、そもそもオチ自体がなかったりなど、マンガ・アニメの常識に挑戦しているのか、ただの悪ふざけなのか、単にユルいだけなのか…よくわからない内容だが、多くのフォロワーを獲得したのは間違いない事実。

 6月7日、そんな熱狂的ファンに支えられていた同作に、人気アニメ『ポケモン』が“パロディ返し”で応じ、いい意味で“炎上”したのである。サトシらの目がポプテピピックのキャラクター風に変化する衝撃のシーンに、SNS上では「待ってwwwwwwwwアニポケポプテをギャグパクリしてきやがったwwwwwwwwwwww」、「待て待て待て待て待て待て待て待て!!!!!クソアニメリスペクトやめーやwwwww」、「批判ではなくパクり返すってのはマジで好き。優しく平和なポケモンとポプテピピックの世界」等々、衝撃の声が相次いだ。

放送終了後も冷めやらぬ『ポプテ』への熱狂的な支持

  “ポケモン事件”以外にも『ポプテピピック』の“影響力”を感じさせる現象が起きている。世界が注目した米朝首脳会談後の6月12日、ポプテピピック風の風刺画によるトランプ大統領と金正恩委員長の画像が、「米朝首脳会談をポプテピピックって言うのやめろw」の文言とともにリツイートされ、約1ヶ月間で8万件を超える「いいね!」、約4万リツイートされる事態となったのだ。

 また、アニメ放映中の2月には、世界中でヒットを記録したコンピューターRPG『UNDERTALE(アンダーテール)』の開発者であるトビー・フォックス氏が自身のツイッターで、パロディされたことへの感謝のコメントを大川ぶくぶ氏に送っている。

 こうした政治的ニュースへのユーザーリアクション、ゲーム業界の大物による好意的な反応などを見ても、『ポプテピピック』が単なるギャグマンガの枠を超え、社会的ムーブメントになっていることが分かる。

「個性」に昇華しクレームを回避 本家も“バカ負け”する引用の妙

 『ポプテピピック』の人気の根底にあるパロディだが、いわゆる“パクリ”と“オマージュ”の境界は紙一重。もちろん、単なる盗用であれば批判を浴びるわけだが、『ポプテピピック』の場合、パロディとして“引用”した側との関係も良好なのである。たとえばポケモンなら、中国などで似たような作品や商品が作られ、幾度となく訴訟に発展しているが、『ポプテピピック』に対しては抗議でも告訴でもなく、出した答えが“パロディ返し”だった。

 言ってみれば、本家も『ポプテピピック』の内容にはある意味“バカ負け”している状態でもあり、それは仮にパクられたとしても、パクられた側が相手のリスペクトや作品に対する愛情を感じられるからこそ、“オマージュ”として受け取られたということだろう。

 結果、盗作や著作権侵害といった概念を思い起こさせず、むしろ「一緒にバカをやりたい」とすら思わせ、ある意味“共同作業”としてエンタテインメントへと昇華できているのだ。つまり、とことんパロディに振り切って見せているその“潔さ”が、逆パロディされる作品にまで成長した要因と言える。

 マンガ版『ポプテピピック』は実は2回ほど最終回を掲載したことがあり、復活のたびにシーズン話数を増やし現在はシーズン3まで進んでいる。シーズン2以降のアニメ化の期待もできるし、まだまだ世間を巻き込んで“大化け”していく作品なのかもしれない。

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