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アラサーでも堂々と高校生役、“役年齢”と“実年齢”の差はどこまで許容できる?

  • ドラマ版『チア☆ダン』(TBS系)にコーチ役で特別出演する広瀬すず (C)oricon ME inc.

    ドラマ版『チア☆ダン』(TBS系)にコーチ役で特別出演する広瀬すず (C)oricon ME inc.

 先日、映画『チア☆ダン』の主人公・広瀬すずが、ドラマ版『チア☆ダン』(TBS系)に特別出演することが発表された。映画とテレビドラマのダブル出演にファンからは歓喜の声があがったものの、役年齢と実年齢の差がありすぎるのでは? とネットでは話題になっている。今作で広瀬は27歳の役で、実年齢では広瀬の3歳年上である土屋太鳳がドラマ版の主人公の女子高生役という、“逆転現象”が起きているのだ。果たして、役年齢と実年齢の差はどのくらいまで許容できるのだろうか?

近年、実年齢30超えの俳優が高校生役を演じるのは当たり前に

  • ドラマ『僕たちがやりました』(フジテレビ系)で高校2年生役を演じた窪田正孝 (C)ORICON NewS inc.

    ドラマ『僕たちがやりました』(フジテレビ系)で高校2年生役を演じた窪田正孝 (C)ORICON NewS inc.

 ドラマ版『チア☆ダン』は映画版の9年後、広瀬すずは実年齢20歳(撮影は19歳から)で役の年齢は27歳。土屋太鳳は実年齢は23歳だが役年齢は18歳(高校3年時)と、たしかに逆転している。SNSでは「2人ともカワイイ〜」といった肯定的な意見と、「土屋太鳳と広瀬すずが同級生役ならまだわかるけど…」といったコメントまで賛否両論。

 しかし、近年のドラマ業界では、実年齢30超えの俳優が高校生役を演じるのは当たり前になっているようだ。アラサー男性で言えば、小栗旬(当時31歳)が映画・ドラマ『信長協奏曲』(フジテレビ系)で高校1年生役を演じたほか、映画『いぬやしき』にも佐藤健(当時28歳)が高校生役で出演し、放送中の連続テレビ小説『半分、青い。』(NHK総合)では高校3年生役も演じている。窪田正孝(当時28歳)もドラマ『僕たちがやりました』(フジテレビ系)で高校2年生役を演じるなど、例をあげればキリがない。女優においても、菊地凛子(当時25歳)が映画『バベル』、山本美月(当時25歳)が映画『ピーチガール』、桐谷美玲(当時25歳)が映画『ヒロイン失格』でそれぞれ“女子高生役”を演じている。

 これは、役の年齢をそのままを演じる事ができ、それなりの知名度と実力を兼ね備えた若手役者がいないという事情もあるようだ。制作側の現実的な問題として、安定した集客を見込める役者をキャスティングしたいと思うのは当たり前だろう。かつては「大型新人デビュー!」と銘打った作品もあったが、このご時勢、リスクを取れないのが実情なのではないだろうか。結果的に人気・実力を兼ね備えた広瀬すずや、ある意味“プロの高校生”とも言うべき菅田将暉(25歳)、山崎賢人(23歳)らに役が集中するのは仕方のないことだろう。

 ただ、舞台やミュージカルなどでは、役年齢と実年齢の差はそこまで重要視されない。木の実ナナ(当時66歳)が舞台『ミュージカル 女子高生チヨ』で主演の女子高生役を演じたり、還暦を迎えた大竹しのぶが約40年ぶりに舞台『にんじん』で14歳の少年役を演じている。舞台やミュージカルは、ファンタジーとしての要素が強いせいか、見る側も素直に許容できる。逆に、TVや映画などの映像作品ではリアリティーを求められるため、年齢差が大きいと違和感を感じてしまうのかもしれない。

一方では実年齢より上の年齢を演じるパターンは高評価が多い

 一方、実年齢より上の年齢を演じるパターンもある。映画『海賊とよばれた男』では、岡田准一が20代から90代までをひとりで演じる難役に挑戦、高評価を得ている。古くはドラマ『寺内貫太郎一家』(TBS系/1974年)で樹木希林(当時は悠木千帆、31歳)が小林亜星(当時42歳)の母親役を演じ、一気に知名度を高めた。海外においても、俳優ブラッド・ピットが、映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』で老人の姿で生まれながらどんどん若返るという“逆パターン”を演じ、演技派俳優としてもひと皮剥けた。特殊メイクばりの“老けメイク”の技術進歩にもよるだろうが、実年齢より上の年齢を演じる場合、高評価を得る傾向があるようだ。

 また、NHKの大河ドラマや連続テレビ小説などでは、青年期から晩年までをひとりの俳優で演じることが多く、『平清盛』では松山ケンイチが実年齢27歳にして、坊主頭で染みや皺だらけの老人役を熱演。女優の場合は、年齢を重ねても女優イメージを損なわない程度に老けるというパターンが多いのも面白いところだろう。

年齢差を利用したコメディ演出 違和感があっても視聴者が“バカ負け”すれば勝ち!?

  • “変わらない”美少女、安達祐実(36) (C)ORICON NewS inc.

    “変わらない”美少女、安達祐実(36) (C)ORICON NewS inc.

 あるいは、あえて役より上の実年齢であることをネタにして面白さを醸し出す例もある。『オープンハウス』のCMでは長瀬智也と清野菜名が小学生役を演じ、小学生が家を買うというシュールさを演出、映画『妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』ではハライチ・澤部佑(当時30歳)が小学生役で笑いを誘っていた。お笑いコンビのおかずクラブ・オカリナ(当時33歳)がドラマ『天才バカボン』で演じた小学生のバカボンも適役だった。バラエティ番組を見ても、“永遠の子役”的なイメージだった安達祐実が、『しゃべくり007』(日本テレビ系)でランドセルを背負った姿を披露して話題となった。こうした“若返り手法”は笑いにも昇華しやすいし、役者にとっても自分の演技の“幅”を広げられるいい手段なのかもしれない。

 そもそも見た目が“ベビーフェイス”の神木隆之介や千葉雄大のような役者が、高校生役を演じていても違和感はない。一方で、当時48歳の京本政樹が、朝ドラ『ちりとてちん』の回想シーンで、学ランの高校生役も演じ、好評を博した。これは、京本の演技力・衣装・小道具等の美術などすべてがうまくハマることによって、隠しきれない“違和感”を強引な“説得力”で押しきった好例であるとも言える。

 結局のところ、高校生役を演じる年齢の上限や、役年齢と実年齢の差の問題は、役者自身の演技力のみならず、視聴者をどれだけ“バカ負け”させるかということにもかかっているのかもしれない。違和感なくすんなりと観ることができればもちろん“勝ち”だが、たとえ違和感があっても視聴者が“バカ負け”してくれれば、それはそれで“勝ち”とも言えるようだ。

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