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沢村一樹、役者像を焦がさない“耐熱性”と自己ブランディングの妙

  • 二枚目ながら“エロ男爵”という自己ブランドも確立した沢村一樹

    二枚目ながら“エロ男爵”という自己ブランドも確立した沢村一樹

 7月クールで放送されるフジテレビ「月9」枠で放送される、『絶対零度』の最新作『絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜』にて、沢村一樹が主演を務めることが発表された。沢村といえば、「演技派」、「二枚目」などと共に、「エロ男爵」という肩書が彼を“沢村一樹”たらしめているといえる。“セクハラ”問題が多く取り沙汰される昨今、一歩間違えれば大やけどのこの呼び名。そんな特異な立ち位置を確立していても、俳優としての地位を焦がさない“沢村一樹の耐熱性と自己ブランディングの妙とは?

二枚目役の乱発に危機感…殻を破ったセクスィー部長

 沢村一樹は1967年鹿児島生まれ。20歳で上京し、まずはモデルとして活動。1996年に内村光良が監督を務めたドラマ『松田のドラマ』(日本テレビ系)で俳優デビュー、同年『続・星の金貨』(同系)に出演し、『救命病棟24時』(フジテレビ系)、『ショムニ』(同系)、『ごくせん』(日テレ系)と次々話題作に出演した。だが、モデル出身の二枚目というイメージが定着していることに危機感を抱いた沢村は、「このままでは役が限定される」と苦悩。バラエティ番組で下ネタを披露するようになり、島田紳助からは「エロ男爵」の称号を得た。

 この選択が当たった。二枚目からの脱却を果たした沢村は、2006年『サラリーマンNEO』(NHK総合)セクスィー部長で人気を獲得。2010年『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!絶対に笑ってはいけないスパイ24時』(日テレ系)の鬼ごっこでは、捕まった後に股間を襲撃され、およそ俳優の域を超えたリアクションを見せて話題となった。

 バラエティで残した爪痕は確実に視聴者に届き、代表作のひとつといえる『DOCTORS〜最強の名医〜』(テレビ朝日系)の主演のほか、昨年のNHK『ひよっこ』のヒロインの良き父親役など、名刺代わりとなる作品を次々と産出。元々『浅見光彦シリーズ』(TBS系)などの人気も相まって名実ともに人気俳優の仲間入りを果たし、デビュー23年目、50歳で初の月9主演を務めることとなった。

記憶に残る数々の“エロ”名言…だが好感度は逆に上昇

 「現在の沢村さんは、“エロ”や“下ネタ”を開放したことで自身の殻を破り、歌舞伎でいうイケメンどころの二枚目だけでなく、一枚目(主役)、三枚目(お笑い担当)、四枚目(中堅)、五枚目(敵役)、六枚目(憎めない敵役)、七枚目(巨悪)、八枚目(座長)、すべてを演じられる実力派俳優となった」と話すのはメディア研究家の衣輪晋一氏。ではここで、沢村が自身の殻を破った“下ネタ”のなかから、そのごく一部を紹介していこう。

 まず、沢村が「エロ男爵」の称号を得るきっかけとなった発言だ。披露されたのは『行列ができる法律相談所』(日テレ系)で、沢村は「おっぱいは大きさでも形でもなくて…味です。味覚の話ではないですよ、味があるってことです」とコメント。また共演した永作博美には、その制作発表で「永作さんとなら、僕はスキャンダルが起きてもいいと思っているんですが(笑)」と発言。多くのちびっこも参加した劇場版『仮面ライダーゴースト』の完成披露試写会では、「浴衣は日本の発明品。何がいいって、(女性の)うなじ。よい子のみんなは、きょうは『うなじ』という言葉を覚えて帰ってください。ではご一緒に。『うなじ』!」と唱和を求め、司会者から「よい子のみんなは、言わなくていいですよ」とたしなめられていた。

 「こうした俳優活動以外での“振り切り”で人気を博す姿は、木村佳乃さんと通じる部分を感じます。木村さんは『世界の果てまでイッテQ!』(日テレ系)などで多くの体を張った企画に挑戦。大いにハジけ、いわゆる“汚れ”の姿も数多く見せていますが、女優としての地位は汚さず、逆に好感度を上げている。ふたりに共通するのは、品のよさと、愛らしさ。人からの愛され方を熟知しているといっても過言ではなく、与えられた企画をやりきる懸命さと心底楽しむ姿は、視聴者にある種の“和み”を与えているように思えます」(衣輪氏)

「アンチ」を作らないブランド力、炎上しない“耐熱性”

 実は『絶対零度』の旧作ファンからは主役の交代に複雑な心境の声も上がっている。だが沢村の強みは「アンチ」がほとんど見られないことだ。“セクハラ”に対する風当たりの強い昨今(当然の話ではあるが…)、沢村の下ネタは、ともすれば“炎上”、「アンチ」を生む憂き目に遭う。それでも沢村が愛される理由は「独自の“耐熱性”にある」と衣輪氏。

 「他ドラマ同様、『西郷どん』(NHK総合)の制作発表会見でも、“エロを完全封印”を宣言した沢村さんですが、現場では深夜も近くになると、やはり下ネタがちらほら(笑)。ドラマの制作発表で“エロを完全封印”と発言するたび、ついつい“禁”を破ってしまう無邪気さも彼の愛される部分でしょう。『ブラック・プレジデント』(関西テレビ制作)で共演した門脇麦さんは“ここまで下ネタを爽やかに喋る人はいない”と話しました。二枚目でありながらも自身のエロさを余すことなく見せるのも彼の魅力ですが、その“爽やか”な気質が、決して下ネタを炎上させない“涼風”ともなっているのです」(同氏)

 実は沢村は気遣いにも長けた人物でもある。例えば「自分の辞書に“おばさん”という言葉はない。女の人は生まれたときから亡くなるまでずっと女性」と公言。男なら誰もが持つ感性(本能)を明け透けなく語る“男の中の男”である一方、女性へもサラリと気遣いを見せている。これも沢村のチャーミング力であり、単なるエロ親父ではなく“男爵”たる由縁だ。――こうして独自のブランドを築いた俳優・沢村一樹。あえて「エロ男爵」的いい回しで彼に声援をおくるなら、7月スタートの『絶対零度』新作でもぜひ、存分に、テレビ画面で(ポロリと)“オトコ”を見せてもらいたい。

(文/中野ナガ)

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