ORICON NEWS
GLAY・TAKURO 「前例がなければつくればいい」アーティストが権利を持つことの重みとは？
人間が作ったものは不完全 “ルール”が必要なら、“見直す”ことも必要
TAKURO 単純に、自分の好きな人たちから結婚式で、『スピーチでも演奏でもいいから何かしてくれ』と言われたら金をとりますか？
――……そうですね、“いいえ”です。
TAKURO そもそも結婚式という場で、GLAYの曲を使いたいと思ってくれる人って、きっと僕らの筋金入りのファンだと思うんですよ。ファンの方々は、もう充分僕たちに何かをもたらしてくれています。その人たちの一世一代の場面で、「それとこれとは別なんで。はい、50円」って言えるわけないじゃないですか。むしろ100回結婚してもらっても大丈夫なぐらい、前払いしてもらってるんで。といっても100回は結婚しないでください(笑)。
――使用料をとること自体が、TAKUROさんにとって健全ではないと。
TAKURO 俺の中のマナーで言えば、健全ではないですね。ただ、大きな社会でひとつのルール決めをしないといけないというのであれば、今すぐ識者を呼んで話し合ったらどうかなっていう思いがありますね。50年前に作ったルールであれば、見直すべきだと思うし。人間が作ったものほど、不完全なものはないから。でも、不完全だからこそ、美しく面白いんですけどね。
――きっとみなさんに続いていきたいというアーティストもいると思うんですけど、そこでさきほどの権利を持っている、持っていないという話につながるような。
TAKURO 自身で権利を持てたら話は早いかもしれないですけど、そうじゃなくても、例えば、次の契約のときにその兆候を盛り込むことはできるんじゃないかと思います。すべてを一気に変えようと思うと難しいけど、ファンの結婚式ぐらいは、ある種の優しさでもって音楽に接してあげてもいいんじゃないかって思うんです。
だから、僕らが音楽業界の仕組みに何かを一石投じたわけではなくて、ただなりたい男像を追いかけたら、途中にそれがあっただけで。ミュージシャンが理想を言わなくなったら終わりじゃないかと。ただの理想家で僕はいいと思うんです。逆に、ガチガチに決められたルールの中で、仕方ないよって言ってるミュージシャンって魅力ないでしょ？
――そうですね(笑)。
TAKURO みんな自由になりたくて、好きなときに起きて、好きな時にギター弾いて、いくら音楽を聴いても怒られない、そんな人生を送りたくてミュージシャンを目指すはずなのに、いつの間にか、前例がないならしょうがないとか、しがらみが激しくて動けないとか、にらまれたくないとか……10代のころの俺が、そんな俺の姿を見たら、お前はそんな風になっちまったのかって愕然とすると思うんです。そこでじっとしていられないのがGLAYなんです。
――(笑)。
TAKURO JIROはまだ俺に近い感覚だけど、 HISASHIとTERUに関しては、『こいつら本気で言ってるの？』ってビックリすることばかり(笑)。誰かを傷つけるような破天荒なことはしないから、その潔さが気持ちいいなって思うし、そんな連中の集まりだから、GLAYがおもしろくて仕方ないし、だから、ずっと続けられるんです。
――刺激的な日々の連続であると。だから、これだけ長くいても、まったく飽きることがないと。
TAKURO ないですね。楽しくて仕方ない。もし、GLAYを解散するとしたら、笑いのツボが違ってしまったときかもしれないですね。
（文／星野彩乃）
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