(更新:)
ORICON NEWS
2代目社長は元ミクシィ取締役、“スイーツ”業界に切り込む「BAKE」の野望
SNSの発達などにより、流行り廃りが激しくなっているスイーツ業界で、すでに8つの専門店を出店しているBAKE。元ミクシィ取締役という経歴をもち、昨年8月にBAKEの新社長に就任したばかりの西尾修平氏へのインタビューから、その躍進の背景を探ってみた。
2ヶ月連続で新ブランドを立ち上げ
ここ最近、新たに加わったのが、3月にJR原宿駅券売機横にオープンしたパフェ専門店『THE PARFAIT STAND(ザ パフェスタンド)』、そして4月にルミネエスト新宿にオープンしたスイートポテトパイ専門店『POGG(ポグ)』だ。
『THE PARFAIT STAND』のパフェには、これまでお菓子の中で脇役ポジションだった「メレンゲ」がソフトクリームのようにドンと鎮座。「サクサク・しゅわしゅわ」の新食感が楽しめるのが一番の特徴で、トレンドの「インスタ映え」も叶えてくれる。
また、『POGG』のスイートポテトパイは、パイ生地の上にポテトペースト、その中にポテトクリームという3層構造にすることで、「さくっ・ほくほく・とろり」という3つの食感を実現。こちらはすでに大宮駅に2店舗目がオープンすることも予定されている。
SNSでも好評価。その理由を社長のインタビューから考察
・「1ブランド1商品」で“逃げ道”をなくす
冒頭でも述べたBAKEの「1ブランドにつき1商品」のコンセプトには、いくつかの理由があるようだ。
「多数の商品ラインナップを持たないことで、商品の製造工程や原材料にかける費用分を、ひとつの製品のみに投資をすることで、美味しさを追求出来るという考えから始まりました。それにより、商品価値やブランドカラーも明確に伝えやすくなります。もう1つの理由としては、商品を1つに絞り込むことによって“逃げ道”がなくなるから。本気でお菓子に向き合わなくてはそのブランドは潰れてしまう。お客様へ『これを食べていただきたい』という渾身の商品と覚悟を見てほしいです」(西尾社長)
・ブランド選定の基準は「8割主義」が根底にある
洋菓子から和菓子までバラエティ豊かなBAKEのスイーツ。なにをブランド化するか決めるには「条件」があるという。
「当初からBAKEが大事にしているのが『8割主義』。これは10人なら8人が好き、100人なら80人が好きであろう、マーケットの大きなプロダクトを選ぶということです。この8割主義にあたるものは結構多いのですが、トレンドなどをふまえ、その時良いと思ったものを選んでいます」
ただし、先日オープンした店で扱う「パフェ」に関してはひとつの外部要因が関係している。
「店舗のスペースがJR原宿駅の改札横という都合上、はじめて“火を使わない”条件がつきました。その中で選んだのが、パフェだったのです。私自身、もともとパフェはいつか挑戦したいと思っていたスイーツなので、いいタイミングにはなったと感じています」
・失敗上等。今後も1年に1〜2ブランドを提案
新ブランドの立ち上げにはかなり慎重になりそうなものだが、BAKEは毎年次々と新ブランドを立ち上げている。ベンチャーならではの“勢い”があっても、立ち行かなくなる時もありそうだが、失敗は恐れないという。
「毎回ヒットしていると思われていますが、まだまだこれからというブランドがあるのも事実です。ですが、新しい気づき、そして価値を創造するためには、打席に立ってバットを振っていかないといけません。今後どういった結果になろうとも、1年に1〜2つのブランドは提案していこうと思っています」
また、2015年から運営しているオウンドメディア『THE BAKE MAGAZINE』では、インフルエンサーの塩谷舞氏を編集長に迎えるなど、同業他社ではあまり類を見ないコンテンツマーケティング施策打ち出し、BAKEのブランディングを後押しする。
単なるお菓子のおいしさやインパクトだけでなく、そうした「ブランディングの巧みさ」も、消費者がBAKEの取り組みをポジティブに受け入れる理由の1つのように思う。これからもお菓子を通じてどんな驚きと発見を見せてくれるのか、目が離せない。
(文・池田麻友菜)