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有名すぎる「しょうゆ卓上びん」が立体商標に 開発の背景に女性へのリスペクト
キッコーマンから販売されている「しょうゆ卓上びん」が、3月30日付で「立体商標」に登録された。
立体商標制度は、立体的な形状を「商標」として登録し保護する制度で、日本では1996年に導入。これまでアディダスの運動靴(三本のライン入り)、カーネル・サンダース人形などが登録されてきた。
これまで、立体商標に認められてきたものの多くは、「文字」や「ロゴ」などの図形が印刷されていた。今回の「しょうゆ卓上びん」については、文字などがなくても“キッコーマンの卓上びん”と認識できることが認められた数少ない事例(他にはコカ・コーラ瓶、ヤクルト容器など)となる。
Twitter上でも「しょうゆ差しと聞いたら最初に浮かぶ」「アジア系料理店でこの瓶が出てくるとほっとする」など、消費者に信頼と安心を提供するこの商品の開発背景ついて、キッコーマンの担当者に話を聞いた。
持った際に“女性の手が美しく見える”ことを意識
「当時、しょうゆ差しは液切れが悪く、垂れてしまうものも多くありました。そこで当時の開発担当者が、新進の若手デザイナーであった榮久庵憲司(えくあん・けんじ)氏に依頼。“持ちやすい・液だれしにくい・倒れにくい”卓上びんの開発に取り組み、1961年におなじみの赤いキャップの卓上びんが誕生しました」
――より詳しいコンセプトを教えていただけますでしょうか。
「“注いだ時のキレがよく、液だれをしない注ぎ口”“びんの口が広く、詰め替えが楽にできる”といった機能的な側面はもちろん、“卓上に置いたときにデザインとして美しいものである”ということも意識しました。それにあたり、容器には『ガラス瓶』を採用。しょうゆの色を美しく見せる効果に加え、残量がひとめでわかるという利点もあります。また、女性が卓上びんの首を持って注ぐ際、手がきれいに見えるようなデザインにしたことも特徴です」
機能、デザイン、そして「ひと目でキッコーマンとわかるもの」を追求した結果、開発から誕生まで約2年の歳月がかかったという。いまでは、その優れたフォルムが海外でも認められ、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の永久収蔵品にも選ばれている。日本で生まれたしょうゆ卓上びんが「ワールド・スタンダード」になるのもそう遠くはない。