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古谷徹 出演作はすべてヒットもなお「僕に求められているのは、ホームラン」

古谷徹

 劇場版『名探偵コナン ゼロの執行人』が4月13日(金)に公開。今作では“3つの顔”を持つ謎多きキャラクター・安室透が事件のキーマンとなっている。東京サミットをターゲットにした爆破事件と秘密裏に動く謎の安室透の行動。この2つを結ぶ関係とは…? 安室透の声を務めている古谷徹が、国民的アニメの劇場版最新作について抱く思いとは。そして声優生活50周年を迎えた古谷の声優論について迫る。

安室人気は嬉しい反面、すごくプレッシャー 「公開日が近づく度に不安が増す」

――安室透がメインの劇場版『名探偵コナン ゼロの執行人』。ズバリ今作の見どころは?
古谷徹 やはり『名探偵コナン』の映画ではおなじみの一難去ってまた一難、というところでしょうか。
――クライマックスのカーアクションはスリル満点でしたね!
古谷徹 すごい迫力で描かれていましたよね。それとクライマックスに辿り着くまでの経緯と言いますか、事件の真相が解き明かされ、犯人の本当の目的をコナンくんと安室透が阻止していく、というストーリーにはとても興味深いものがあるなと感じました。なぜ、犯人はあんな罪を犯したのか…そこに至るまでの人間ドラマは子供も大人も関係なく非常に引き込まれるかと思います。
――今作ではいつにも増して安室透の策士ぶりに驚かさました。『名探偵コナン』のキャラクターの中でも安室透の人気が高いのも頷けます
古谷徹 安室透は映画『名探偵コナン 純黒の悪夢』でブレイクし、今回の映画も相当期待されているわけですよ。嬉しい反面、ものすごくプレッシャーでもあります。素晴らしい脚本と演出に恵まれていい作品に仕上がっているんですけど、僕自身がどこまで皆さんの期待に応えられるのかと。自分の持てる力を全て出しきったという充実感はあるんですが、やっぱり皆さんの感想を聞くまでは安心できないんです。公開が近づくにつれて不安が増してきています。
――今回のように、プレッシャーを感じる作品というのは他にもあったのでしょうか?
古谷徹過去に自分が重要な役で出た作品はおかげさまでみんなヒットしているんですが、そういう意味で「古谷に任せれば大丈夫!」みたいな空気になっていることも多いんです。そのため心のどこかで「ただのヒットではダメ、ホームランを打たなければいけない」と自分に圧を掛けてしまうんです。「古谷徹」という名前を出す以上は作品の名を汚さないよう、きちんと貢献したくて。

安室透はキャリア50年の中でも演じたことのない”念願の役“

「女性に人気の安室透を演じることはまさに念願」と語る古谷徹

「女性に人気の安室透を演じることはまさに念願」と語る古谷徹

――古谷さんと言えば安室透以外でも、過去に数々の人気キャラクターをやられてきているイメージが強いです
古谷徹 いや〜そうでもないですよ。熱狂的な人気のキャラクターはむしろ僕のライバル役だったり、共に戦う仲間役だったりすることが多いんですよ。ほら、例の“赤い人”みたいに(笑)。僕は大ヒット作の主人公や正義感が強いヒーロー的な役を演じる機会に恵まれていたので、子供たちや男性からは“憧れの対象”として扱ってもらえていたようですが、いわゆる女性のハートを掴むようなモテるタイプのキャラクターはほとんどなくて……。モテたかったです!
――モテたい気持ちは今もお変わりなく…?
古谷徹 もちろんです。むしろそれだけのために声優という仕事を50年もやってきたようなもんです(笑)。だからこうして女性に人気の安室透を演じることはまさに念願! しかも、安室がメインの劇場作品をやれるなんて、嬉しくて仕方ない! 本望ですよ。
――そんな古谷さんが思う安室透の魅力とは?
古谷徹 まず、トリプルフェイス(私立探偵・安室透/公安警察・降谷零/黒ずくめの組織の探り屋・バーボン)はヤバイですよね。おまけにクールで謎が多くてルックスもかっこいいなんて女性の心を掴む要素だらけじゃないですか。はっきり言って僕にとっては3倍美味しいキャラクターです(笑)。

俳優の一環として始めた“声優”として50年 「とにかく強運だった」

――声優生活50周年を迎えられましたが、これまでに嫉妬を感じた声優はいましたか?
古谷徹 今の若手声優、みんなかな。アイドル並みに人気がありますよね。かっこいいキャラクターでブレイクして、写真集を出して、おまけに武道館とかでコンサートまでやって。正直、羨ましいです(笑)。僕ももう少し時代がズレていたらな〜って思います。
――確かに最近は声優が人気の職業となり、若手声優の活躍の場の広さも、昔とはだいぶ変わってきているように思います
古谷徹 でも、どのジャンルにおいても最後まで生き残れるのは、“実力”のある人。才能があって努力もする人なのではないのかと思います。それに声優が音楽や映像の世界に進出するように、最近は俳優や歌手の方が声優をやることも多いじゃないですか。だから、自分の立ち位置を確立する意味でも、幅の広い表現ができる人はどんどんチャレンジするべきだと思うんです。じゃないと、やっぱり、生き残れないですよ。
――古谷さん50年に渡り声優生活を継続できている、その秘訣は何だと思いますか?
古谷徹 僕の場合はもう強運としか言いようがないですね。自分を大切にしてくださるスタッフ、応援してくださるファンの方、心強い共演者、たくさんの素敵なキャラクター。人との出会いには本当に恵まれていたと思います。
――50年前は声優としてこんなに活躍されているご自身の姿を想像していましたか?
古谷徹 想像できていなかったですね。その当時はあくまで子役の仕事の1つとしてアニメの声優をやっている感覚でしたから。『巨人の星』の星飛雄馬役をやらせて頂いた時点では、俳優の仕事にも魅力も感じていましたし、学生時代はバンドにハマっていたので歌手の道を考えたこともありました。でも、25歳のときに『機動戦士ガンダム』のアムロ・レイ役と出会い、声優としての手応えを感じて。しかも、星飛雄馬とは全く異なるキャラクターでブレイクできたので「自分もプロとしてやっていけるのでは?」とそこで初めて思ったんです。
――そんな古谷さんが思う理想の声優像とは?
古谷徹 たったひと言のセリフで涙を流させてしまうような、大きな感動を与えられることが理想ですかね。言葉1つで相手の感情を揺さぶると言いますか。
――それに達するには技術だけでは成立しないように思えます
古谷徹 そうですね。それにはまず自分自身の感情が追い付いていないと無理だと思いますし、細胞レベルでそのキャラクターになりきる……言わば憑依してしまうぐらいの熱量がないと観てくれている方の心を揺さぶるのは難しいのではないでしょうか。常にそうありたいと思っています。
――では最後に、古谷さんがこれから挑戦してみたい役とは?
古谷徹 悪役はあまりやってこなかったので憧れがあります。悪い男を好きになっちゃう女性ってよくいません? 要は、やっぱり「モテたい」(笑)。悪いのにモテる役なんて最高じゃないですか。あとは破天荒な役とかも意外とないですね。僕自身、常識人っぽいところがあるので、バーチャルな世界ではあるけれど自分と違う人生を体験してみたいですね。

声優生活50周年を迎えた古谷徹

声優生活50周年を迎えた古谷徹

(文/kanako kondo 写真/KayN)

劇場版『名探偵コナン ゼロの執行人』

  • (C)2018 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

    『名探偵コナン ゼロの執行人』(C)2018 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

東京サミットの開催地となる新施設『エッジ・オブ・オーシャン』。サミット開催当日にはおよそ2万人もの警察官が出動するという巨大施設で、大規模爆破事件が発生! そこには全国の公安警察を操る警察庁の秘密組織『ゼロ』に所属する安室透の影があった。秘密裏に動く安室の謎の行動に違和感を覚えるコナン。そんな中、毛利小五郎が事件の犯人として逮捕されてしまい…?


劇場版『名探偵コナン ゼロの執行人』
4月13日(金)公開
原作:青山剛昌「名探偵コナン」(小学館「週刊少年サンデー」連載中)
監督:立川譲 
脚本:櫻井武晴
音楽:大野克夫
主題歌:福山雅治「零 -ZERO-」(アミューズ/ユニバーサルJ)
出演:高山みなみ 山崎和佳奈 小山力也 古谷徹
スペシャルゲスト:上戸彩 博多大吉
配給:東宝
(C)2018 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

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