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ケイン・コスギ、eスポーツ界の“希望”に? ゲームに武道精神を注入できる稀有な存在

 俳優として国内外で活躍しているケイン・コスギ。“超人的”とも称される身体能力を持つケインが、オンラインゲームの実況配信で視聴者数世界1位になった。肉体派のケインとコンピューターゲーム。両者は一見すると対極の位置にいるようにも思えるが、プレイヤー間で罵詈雑言が飛び交うオンラインゲームにおいて、ケインの筋の通ったフェアプレイ精神は今後の発展に一石を投じる役割を果たしている模様。近い将来、五輪の正式種目になる可能性があると言われているeスポーツ界において、現状で何が欠けているのだろうか?その答えをケインが握っているのかも知れない。

オンラインゲームの実況配信で視聴者数世界1位を獲得! ネットはお祭り状態に

 3月8日、ケイン・コスギがtwitch(Amazon.com が提供するPCゲームに特化したライブストリーミング配信のプラットフォーム)で配信したゲームの実況プレイがゲーマーたちの間で話題になった。その視聴者数は一時16000人を超え、世界一のYouTuberであるPewDiePie(ピューディーパイ)らを抑えて、世界1位を記録。Twitterでは「ケインコスギ」がトレンド入りする事態に。ケインがプレイ配信をしたゲームは、『リーグ・オブ・レジェンド』(略称/以下:LoL)。世界で最もプレイヤーの多いPCゲームとされており、日本語版は2017年から正式版のサービスが開始。アメリカではプロスポーツ選手用のビザが認定されるなど、プロゲーマーが競い合うeスポーツ(エレクトロニック・スポーツ)の種目としても注目されているタイトルである。

 ケインは3月8日からtwitchでの配信をスタート。スポンサー登録(サブスクリプション)の際に再生される「Perfect Body!」の効果音も相まって、大きな反響を呼んだ。前日にはTwitterも開設し「2018 Season Gold目指します!! 」とゲームにかける意気込みも露わに。そして配信当日、まさかの芸能界からのタレントの参戦に配信視聴者からは「ケイン・コスギの『LoL』が見れる日が来るなんて」「ケイン・コスギの偽物が現れたと思ったら本物だった」「ケイン・コスギの配信を見ていると心が浄化されていく」「ケイン・コスギがめちゃくちゃ真剣にLoLしているってだけで面白いのに、『Perfect Body!』って鳴るのずるい」といった声が飛び交った。

超肉体派イメージがあるが、素顔では “ガチゲーマー”の一面も

 ケインはハリウッドスターのショー・コスギの息子であり、幼い頃からさまざまな武術(空手、剣道、古武道、テコンドー、中国武術など)をたしなみ、多彩なスポーツ(アメフト、ゴルフ、スカイダイビング、スキューバダイビング、乗馬など)もこなす。日本では、『忍者戦隊カクレンジャー』(1994年)でのニンジャブラック役が認知されるきっかけとなり、「ファイト一発!」が決めゼリフの『リポビタンD』のCMでもおなじみだ。また、『筋肉番付』(TBS系)、『SASUKE』(同)などのスポーツバラエティには欠かせない存在でもあり、『最強の男は誰だ!壮絶筋肉バトル!!スポーツマンNo.1決定戦』(同)ではプロ・芸能人含めて史上最多の6回の総合優勝を果たすなど、まさに“レジェンド”とも言うべき活躍をしている。

 そういった肉体派のイメージがあるが、実は“ガチゲーマー”としての一面がある。先述のtwitchの配信では、「小さい頃からずっとゲームが好きだった。トレーニングが無い時はずっとゲームばかりしていた」と語っている。ケインはゲーム配信を始めた理由を、「オンラインの友達を増やしたい。ゲームが上手になりたい、1番は楽しくやりたかった」と明かしている。さらにゲームプレイの配信については、「(ゲームは)普段1人でやっているから、人に見てもらうのが初めて。年末の(『筋肉番付』の)跳び箱よりも緊張した」と明かすように、ゲームへの愛着はかなり“ガチ”な模様。自身のTwitterのプロフィールでも「Mainly for games and streaming(主にゲームやストリーミング用)」と紹介している。

文句のつけようがない紳士なプレイスタイルでファンを魅了

 2017年は『LoL』の世界大会を観戦するため、中国にも行ったことをイベントで豪語するほどの“ガチ勢”であるケイン。プレイヤーとしての腕前は、世界トップクラスには及ばないという評価ながら、そのプレイスタイルにファンがついているようだ。

 ゲーム対戦は今や家庭用ゲーム機でも気軽にオンライン対戦が出来る時代。顔が見えない対戦者同士と時にトラブルに発展することも少なくない。配信時もケインは煽ってきたコメントに対して「跳び箱20段跳べない奴がイキるな」と、鮮やかな返しも披露。他にもゲームプレイで壁飛び越えをすれば“MONSTER BOX(※番組内で登場する巨大な跳び箱)”と呼ばれ、ダイブ系のスキルを使えば“ショットガンタッチ(※離れた距離からボタンを押し、10メートル上から落ちてくるボールをダイビングしてタッチする種目)”と、いずれも『筋肉番付』の競技に絡めたコメントが流れ、視聴者がケインのプレイを楽しんで盛り上がったことがわかる。

 普段は辛辣なコメントを容赦なく発する配信視聴者からも、「プレイスタイルが紳士で文句がつけられない」「どれだけボロボロでも諦めず、味方のせいで負けても責めない。勝つとニコニコ」「チャット荒らしている奴いてもガン無視なケイン・コスギ好き」「みんなこういうのを求めていた」といった意見も多く見られた。ゲーマーとしての好感度もかなり高いことがわかる。

ゲームに“武道精神”を埋め込める稀有な存在、eスポーツ選手の新たな形として注目

 eスポーツの推進を目指す超党派団体『オンラインゲーム・eスポーツ議員連盟』は「2020年の東京オリンピック・パラリンピックで、eスポーツのエキシビジョン大会を開催してほしい」と主張。小池都知事にeスポーツの魅力を訴えた。しかしながら、ゲームに慣れ親しんだ層はともかく、プロゲーマーおよびeスポーツの一般的な認知度はまだまだこれからという状況。今後eスポーツが競技化していく見通しはあるが、そこで必要なのが競技人気をけん引するスター選手の存在だ。

 日本でのプロゲーマーは、常人離れしたテクニックと実力が必須。『ストリートファイター』シリーズで有名な梅原大吾、東大卒として有名なときど、『マツコ会議』への出演で話題になったイケメンゲーマー・DustelBoxといった実力と人気を備えたプロゲーマーも存在する。特に梅原は日本におけるプロゲーマーのパイオニアであり、漫画化もされ(『ウメハラFIGHTING GAMERS!』)、幾度となくテレビのドキュメンタリー番組でも取り上げられている。しかしながら、まだまだ広く一般に知られているとはいいがたい。

 その点、ケインは、タレントとしても知られ、さらにテクニカルな面で評価されるのではなく、プレイスタイルや人間性で人気を博している稀有な例と言える。これは幼少期から武道やスポーツで培われたフェアプレイ精神が根付いているケインだからこそなせる業。ケインはゲームの世界に、勝負のお手本となる武道精神を埋め込める存在といえる。つまりケインはこれからeスポーツが広まっていく上で欠かせない、競技人口の増加の“希望”になる可能性が非常に高いと言えるのだ。ケインが示した、プレイスタイルで評価される“新しい形のプロゲーマー”がeスポーツの発展に貢献するかどうか、引き続き注目したい。

(文/kanako kondo)

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