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エンタメにも数多く起用される“桜” 日本人がこれほど愛する理由とは?
歌舞伎の題材から曲名まで…タイトルにも幅広く登場する“さくら”
実際、桜の季節には卒業、入学、就職、上京、別れと出会い…など、常に人生にとっても大きな岐路があり、日本人の生活習慣と結びついた形で個々にさまざまな思い出がよみがえってくる。また、満開の華やかさもつかの間、すぐに散ってしまう“儚さ”や“潔さ”も日本人の好むところなのだ。
そうしたモチーフを持つ桜は、歌以外のコンテンツでも題材にされることが多く、歌舞伎で言えば『義経千本桜』や『娘道成寺』は定番。TVドラマでも学園ものは桜の場面は欠かせないし、『ドラゴン桜』(TBS系)という人気作品もあった。思い起こせば、『3年B組金八先生』(同)の舞台となる中学校も「桜中学」だったし、市原悦子主演の『おばさんデカ 桜乙女の事件帖』(フジテレビ系)なんて2時間ドラマもあった。現在、映画でも吉永小百合主演の『北の桜守』が上映中であり、とにかく“桜”の名は日本人にとっては親しみやすく、受け入れやすい鉄板ワードと言えるようだ。
花見の主流は平安時代に“梅”から“桜”に変化 秀吉が「花見」を一大イベントに
そして、一大イベントとなったのは豊臣秀吉の『醍醐の花見』からだと思われる。当時は花見と言っても、今のような規模の満開の桜が見られたわけではないのだろうが、豊臣秀頼・北政所・淀殿ら近親者をはじめ、諸大名からその配下の女房女中衆約1300人を召し従えた盛大な会が催され、九州平定直後の北野大茶湯と双璧を成すという、秀吉一世一代の催し物として知られている。
庶民に花見の文化を定着させた吉宗 時代を超え今も愛される“隅田川の桜”
こうして桜は、今では日本の3月〜4月期のキラーコンテンツとなり、莫大な経済効果を生み出すようになる。京都など神社仏閣の多い観光名所では、最近はライトアップされた夜桜を公開するところも増え、さらなる観光客を呼び込む相乗効果を生み出しているという。
また、アメリカ・ワシントンDCのタイダルベイスンの桜並木や、スゥエーデン・ストックホルムの王立公園、ベトナム・ハノイ市のホアビン平和公園などでは日本から送られた“桜”が国を結ぶ友好の印として海外で愛されており、“桜”は“日本の心”ともいえるだろう。昨今では“花見”を目的とした訪日外国人も増えており、日本人が愛する“儚さ”を感じる心も徐々に世界に広まっているようだ。昼間っから、桜の下で仲間とどんちゃん騒ぎするもよし、ひとりで散りゆく桜に想いを馳せるのもよし、日本人の「桜好き」は今後も途絶えることのない文化として継がれていくことだろう。