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放送30周年の『探偵!ナイト』 “街の変わり者”をジャストなTVサイズにした功績
素人いじりの先駆け! 奇想天外な依頼を大真面目に解決
また、寄せられる依頼内容も個性豊かな内容が多く、その依頼者もちょっと“エッジの効いた人”が多い点も同番組を面白くしている要因だ。過去には「23年間会話のない夫婦」、「ブーメランパンツでブーメラン」、「靴を食べたい」、「マネキンと結婚したい」などなど奇想天外な依頼が話題を集めたが、その多くは個人でトライするとただの変人扱いで終わるところを、『探偵!ナイトスクープ』への依頼というフィルターを通すことで、バラエティーとして成立するのだ。自己実現を同番組のパワーで叶えるという他力本願ではあるものの、ある種の夢がある点も特色だ。また、「虫を食べてみたい!」などお笑い芸人が嫌がるセオリーが、率先していただいてしまうトリッキーな展開になるのも『探偵!ナイトスクープ』ならではだ。
20年前の“約束”が現実に…探偵と依頼者の“濃密な距離感”
記憶に新しい「20年前の約束を果たして!」という“20年前に一緒に植樹した木をもう一度見に行こうと探偵と約束したのに連絡がない”という依頼などは、もはや探偵と依頼者が友達のような距離感がベースにあり、視聴者も親近感を抱けるのだ。また、歴代探偵たちをプレイバックしてみても北野誠、長原成樹、桂小枝など昭和世代のガチ感も当時の魅力で、まさしく近所の頼れるおじさん感覚が人気の秘訣だった。
古参ファンも歓喜する、連続性に基づく愛あふれた依頼の数々
たとえば、前述の「20年前の約束を果たして!」をはじめ、「15年未解決の超難問」や「誕生日を祝ってほしい男 再び…」などは、古参の同番組ファンが、何年か前の依頼をずっと気がかりでいて、それを元に依頼をするという30年の歴史があるからこその展開で、連続性に基づく愛にあふれた依頼は、『探偵!ナイトスクープ』ならではだ。依頼者や視聴者の記憶の本棚に過去の調査ファイルがいつもあり、それが何かのきっかけで呼び出されていく歴史と軌跡――これこそが『探偵!ナイトスクープ』の何ものにも代えがたい大きな魅力なのである。
関西を中心に圧倒的な市民権を得ている『探偵!ナイトスクープ』だが、西田敏行いわく「最近東京でも局長と呼ばれる」とのこと。関西を飛び出し、日本全国に浸透して欲しいファンがいる一方で、関西圏の古参ファンからすれば、「俺(私)だけの『探偵! ナイトスクープ』のままで!」と願う視聴者も多いはず。稀にみる熱狂的ファンを抱える長寿番組であることは間違いない。
(文/鴇田崇)