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(更新: ORICON NEWS

満島ひかり、若手女優がこぞって憧れるワケ

 女優の満島ひかりが所属事務所を円満退社し、今後はフリーとして活動していくことが先ごろ報じられた。近年、実力派女優の称号を欲しいままにすると同時に、若手女優の“憧れ”の存在としての地位も確立しつつある満島だが、とはいえまだ32歳の中堅世代。公私ともに良くも悪くも注目を浴びることも多いが、なぜ同業の若手からも“リスペクト”される女優になったのだろうか? そこに満島の独立背景が浮き彫りになってくる。

川栄李奈はじめ、若手女優がこぞって憧れる実力派女優の地位を確立

 満島を尊敬する若手女優の筆頭が、ドラマ・映画・CMを席巻中の川栄李奈だ。「いろいろな役をやられていて、それが全部ハマっている。そこがすごく尊敬できます」と、インタビューで憧れの女優を聞かれる度に満島ひかりの名を挙げている。そのほか、真野恵里菜、武田玲奈、先ごろモーニング娘。を卒業して戦隊ヒロインに転身して話題となった工藤遥といった注目の女優が、こぞって満島ファンを公言。「アイドリング!!!」の元創設メンバー・外岡えりかも同様に満島の名を挙げ、元AKB48の島崎遥香も「満島さんと共演したい」と熱望したコメントが芸能ニュースとしても報じられた。

 もっと若手だと、最近の是枝裕和監督作品でもおなじみの蒔田彩珠、CMなどでも一部注目されている“福岡で一番かわいい女の子”・今田美桜、映画『ミスミソウ』で初主演を果たす山田杏奈、映画『プリンシパル〜恋する私はヒロインですか?〜』でヒロインを演じる黒島結菜も憧れの人として満島ひかりを挙げているのである。もはや満島リスペクトも“渋滞”気味といえるほどだ。

アイドルデビュー後に紆余曲折…不遇時代を経て女優としては遅咲き

 そもそも満島は沖縄アクターズスクールの出身で、三浦大知らとの7人組ユニット・Folderにて「HIKARI」名義でデビュー。2000年には5人組ユニット「Folder5」へ改組したが、活動休止後2003年から本名の満島ひかりで本格的に女優活動を開始した。その後は、映画『デスノート』(2006年)で夜神月(藤原竜也)の妹役を演じたほかは、目だった活躍の機会に恵まれずに女優としては不遇時代が続いた。

 そんな満島に転機が訪れたのは、園子温監督の『愛のむきだし』(2009年)への出演。メイキング映像では、園監督が怒号とともに満島を厳しく指導し、ボロボロに泣きながら何度も演技に挑戦した満島の姿が話題になった。当時はほとんど無名ながらも、最終的には園監督に「もはや狂気とも呼べる領域に達した満島の芝居にすべてが圧倒された」とまで言わしめたのである。この作品で満島はモントリオール・ファンタジア国際映画祭はじめ、報知映画賞、ヨコハマ映画祭、毎日映画コンクール等々、多くの女優賞・新人賞を受賞。その後、映画『カケラ』(2010年)、『悪人』(2010年)、ドラマ『モテキ』(テレビ東京系)などの話題作に次々と出演、知名度を上げていくのである。

 2015年には、演劇界の巨匠、故・蜷川幸雄氏演出の『ハムレット』でも悲劇のヒロイン・オフィーリア役を好演。イギリス公演もされたこの作品の舞台裏は『女優 満島ひかり まだ見ぬ世界へ』と題してNHK・BSプレミアムでも密着。蜷川幸雄から怒鳴られるシーンも写されたが満島は「芝居を始めた頃を思い出す」と充実感をもって臨んでいた。かくして、舞台度胸、歌唱力ともに評価され、名実ともに実力派女優・満島ひかりが知られていく。

知名度向上と共に、媚びない姿勢が“わがまま”との報道も

 一方、そんな満島は“我の強さ”もたびたび注目されることになる。記憶に新しいのが、2017年の東京国際映画祭での騒動。日本映画界をけん引する同学年4人の女優の出演作を集めた「Japan Now 銀幕のミューズたち」という特別企画に満島は出演。宮崎あおい、安藤サクラ、蒼井優の作品を上映し、4人一緒に取材を受ける予定だった。写真家の蜷川実花が4人一緒の写真を撮影する手はずが、満島サイドが断ったため別々に撮影することに。さらに映画祭の開幕本番の初日、4人そろってレッドカーペットセレモニーに登場し、4人でテレビ局による取材を受けるはずが、満島側がレッドカーペットに集中したいと取材の“ドタキャン”を要求、その騒動で結局取材はなくなってしまったと報じられた。

 このように満島は業界の慣例を無視してでも“自分の道を突き進んでいる”というイメージも。よく言えば、「媚びない」といった“女優魂”だが、わるく言えばただの“わがまま”になってしまうものだが、このエピソードは、オンリーワンの存在として実力があることの裏返し。芝居でしっかり存在感を発揮していれば、女優としては問題がないともいえる。

裏を返せば“自分”をしっかり持つ、女性としての生き様が憧れの対象に

 昨年、満島が『さんまのまんま 初夏に大笑いしましょかSP』(フジテレビ系)に出演した際、アイドル時代17歳の頃に所属事務所の社長に「女優になりたい」と直談判し、「お前は胸がないから無理だ」と言われると、「胸はないけれど夢はあります!」と答えたというエピソードを披露して笑いを誘った。この話にもネットでは、「返しが神」、「少女時代に業界の大人にそんな風に返せる度胸がすごい」と賛辞を受けたのである。こうした数々の逸話も、元アイドルでありながら、夢を追いかけて不遇時代にもめげずに活動を続けた女優・満島ひかりの強い想いを象徴するエピソードとなっている。また、プライベートでは2010年に結婚した映画監督・石井裕也との離婚が2016年に成立。“オンオフ”ともに自分の“足”で歩む女性としての生きざまも、女優としての憧れの対象になっている一因と言える。

 かくして満島ひかりは、“憧れの女優”にも挙げられる中堅世代の実力派女優というポジションを確立したのだ。しかしながら、自分の道を突き進む=自由奔放がすぎるとコントロール下に置けないという側面もある。若手女優から憧れられている満島ひかりだが、憧れの女優に満島ひかりを挙げることは所属芸能事務所にとってはお手本にしてほしくない面もあり、心中穏やかではないかもしれない。

 だが、そんな事情はいざ知らず、当の満島にとっては、替わりのないオンリーワンの個性として輝きを放っている今こそまさに独立の好機と言えるだろう。事務所独立の理由として、満島は「自分の足で歩いてみたい」と発表している。フリーとなるこの先も、女優としての大成を夢に抱く若手の憧れとして存在感を発揮しつづけるか否か、満島ひかりの次のステージに期待したいものである。

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