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フィギュアスケーター、引退後もタレントとして重宝される理由
伊藤みどりから現在の羽生人気まで 愛され続けるフィギュアスケーターたち
その浅田の“妹分”村上佳菜子にしても、『メレンゲの気持ち』(日本テレビ系)のMCに抜擢され、はつらつとした司会進行ぶりが好評。また、2006年のトリノ五輪で日本フィギュア初の金メダルを獲得した荒川静香や、2010年バンクーバー五輪銅メダリストの高橋大輔もアイスショーやCM、解説者で安定した活躍を見せているし、織田信成にいたってはなぜか泣き虫・号泣キャラでオチさえ取っている。
もちろん、伊藤みどりや渡辺絵美などの先駆者たちもまだまだ健在であり、多種多様なキャラと層の厚さで、いわばテレビ界では「フィギュアスケート選手枠」が確立されているのである。
一般人から最も“遠い”スポーツ ジャンプ技術と両輪の“芸術点”はテレビでも重宝
実際、フィギュアスケートの採点は「技術点」と「演技構成点」で構成され、「スケーティング技術」「技のつなぎ」「演技力」「振り付け」「音楽の解釈」の5項目で評価されるため、ジャンプが優れているだけでもダメだし、芸術性が高いだけでも微妙だ。そうしたフィギュアならではの採点の難しさも、観る者の面白さにつながっているのではないだろうか。
さらに多くの選手が幼少期から練習をはじめるため、五輪に出場するまでの成長ぶりをわが子のように見守ることになり、感情移入していくうちに遠いはずのフィギュアとの距離もだんだんと縮まっていくのだろう。また、フィギュアスケートは、歌舞伎役者のように立ち居振る舞いや所作が美しく、観る者もつい魅せられてしまうところがある。昨年、羽生選手が見せた「羽生脱ぎ」(口でジャージの襟を噛んで押さえ、片手でファスナーを降ろしてジャージを脱ぐ)などは、わずか5秒ばかりのしぐさながら、SNSでは「セクシーすぎる!」、「どれだけ人を魅せる人なんだ!」などとざわつかせた。そうした身のこなしも、やはり常日頃から身体の動きの美しさに気を配る“特別な人間”だからこそ、可能な技なのだろう。
選手として“魅せて”きた人が見せるギャップに親近感 氷上を離れても人々を魅了
そもそも人間を魅了するスポーツを、子どものころから猛特訓してきている人たちなのである。優れた容姿や身のこなし、さらにそのギャップ感などがうまくハマれば、バラエティ番組で人気が出るのも当然のことなのかもしれない。現役選手たちの五輪での活躍も楽しみたいが、長く愛されるタレントとしても、フィギュアスケート選手たちの今後の活躍に期待したいものである。