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バラエティ番組の可能性を広げるロボットの“図々しさ”

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    今やテレビ番組のレギュラー出演も珍しくないロボット

 今年の10月から“日本初の旅バラエティ”として『ロボット旅 日本一周〜タカラモノクダサイ』(テレビ朝日系)がスタートした。何が日本初かといえば、タイトル通り芸能人と“ヒト型ロボット”が全国行脚する初めてのトラベルバラエティということ。最近はAI(人工知能)がさかんに注目されているが、路線バス旅やグルメ旅などの旅バラエティ激戦区の日曜昼の時間帯で、ロボットに勝算はあるのだろうか? また、今後ロボットはどのようにバラエティ番組でどのような役割を担っていくのか?

ボキャブラリーも豊富! 自然な会話もこなす“進化したロボット”が活躍

 ロボットが出演するバラエティといえば、AIがMCを務める『AI-TV』(フジテレビ系)なども放送されており、決して珍しいコンテンツではなくなって来たようだ。前述の『ロボット旅』でいえば、ソフトバンクロボティックス社の「Nao」というヒューマノイドロボットを番組オリジナルでカスタマイズした「太郎」と「花子」が出演しているのだが、いかにも自動音声ソフトっぽい“機械声”にも関わらず、ちゃんと二足歩行し、転んでも立ち上がるところなどはなかなかの高性能。ロボットを通して人間が声を操っていたり、数パターンの言葉のやり取りを繰り返して何とか会話を成り立たせていたレベルに比べれば、格段に“進化”した姿を見せているのである。

 このロボットが芸能人と旅をするのだが(初回、第2回ははしのえみと花子、第3、4回はMCを務めるオードリー・春日俊彰と太郎)、番組のテーマでもある「あなたの宝物を教えてください」、「あなたの名前を教えてください」といった紋切り型“以外”のセリフをロボットがときどき突っ込むところが番組の“味”となっている。

 11月26日放送分では、春日がリアカーもしくは充電台のようなものに太郎を載せて移動している際に、「平成版『子連れ狼』みたいだな。“ちゃーん”って言ってみ?」と言われた太郎が、素直に、かつそれっぽく「ちゃーん」と答える有能さを見せた。しかし、セリフを記憶したことをアピールしたいのか、場違いなところでもぶっ込んでくるボケも発動。ロボットならではの天然っぷりで笑いを誘っていた。

“撮れ高”を生み出す、ロボットならではの“忖度”しないズケズケした言動

 さらに、突然立ち上がってド派手に顔面から転落し、春日に心配されると「ごめんなさい」と素直に謝るものの、農家のおばあちゃんに自分の得意技(!?)“転んでも起き上がる”芸を披露し、おばあちゃんに「冥途の土産になるわ〜」と感動される場面も。スタジオではオードリー・若林正恭が「(春日に)そうじゃないってフォローしろ!」と突っ込んでいたのだが、太郎は「冥途の土産ってなんですか?」とダメ押ししてしまう……そうしたロボットらしいバカ真面目な発言や“KY”ぶりも期待通りに連発。一方、農家の青年に「何歳ですか?」とたずねるも、「31歳です」と返答されると突然フリーズし、沈黙の後に「……春日さんにおまかせします」と職場放棄するなど、コンピュータ的な“バグっぽさ”も見せるのである。

 実際、ロボットならではともいえる、相手の心を“忖度”しないズケズケした言動は、芸人には必要不可欠な“図々しさ”でもあり、立派な“天然キャラ”ともいえる。人間であれば腹が立つだろうことも、相手がロボットなら(まあ、しょうがないか…)と許されてしまい、そして何だかんだ言っても、行った先でしっかりとエピソードを作ってくるあたりは、もはや一人前の“撮れ高”のあるタレントになっているのである。

 ロボットの魅力のひとつとして、その“成長”ぶりが人間っぽいということがある。転んでも自分で立ち上がる姿はヨチヨチ歩きの赤ちゃんのようであり、つい(がんばれ〜)と応援したくなるし、不意の訪問先の家を立ち去る際に「ご迷惑おかけしました」と発言するあたりは、3〜4歳児が幼稚園(保育園)から帰ってきて急に大人びた発言をして感心させられる的な、親から子どもを見たときのかわいらしさに通じるところがあるのだ。

『鉄腕アトム』や『ロボコン』などがロボットを受け入れる地盤形成

 古くは『鉄腕アトム』から各巨大ロボット、『ドラえもん』などに連なるロボット漫画・アニメの系譜や、『ロボコン』や『人造人間キカイダー』、ハリウッド映画のAIものに至るまでの実写・特撮映像の体験などを経て、ロボット作品にもはや抵抗をまったく感じず、むしろ“定番”として育ってきた世代にとっては、ようやく“現実が追いついて来た感”があるとすらいえるのかもしれない。

 事実、11月にハンソンロボティクス社のAI「ソフィア」が、サウジアラビアでロボットでは世界初の市民権を獲得したことが話題になるなど、いよいよロボットと共生する社会が当たり前になりつつある。そうなれば当然、“ロボットのいるテレビ界”というのも自然に私たちの日常にフェードインしてくるだろうし、ロボットが“一タレント”としてバラエティ番組で重宝される日もそう遠くはないのかもしれない。

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