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ピエール瀧、“専業俳優”には出せない存在感で独自のポジション確立 そのバックボーンとは?
“飛び道具”的な役割を超越! 必ず結果を残す俳優に
一方で、2001年の「電気グルーヴ」一時活動休止と前後して俳優活動を本格化。2005年に公開された映画『ローレライ』『ALWAYS 三丁目の夕日』での高評価をターニングポイントに、大河ドラマ、朝ドラと立て続けにドラマに出演。また、映画『凶悪』(2013年)、『くじけないで』(同年)では報知映画賞助演男優賞を受賞。『そして父になる』(同年)と合わせての3作品で、ブルーリボン賞助演男優賞を受賞。2015年のドラマ『64(ロクヨン)』(NHK)では主演を演じ、同作が文化庁芸術祭大賞を受賞。そうした活躍を背景に、2016年には実に7本の映画に出演した。
「気のいいお父さん、または狂気をはらんだ敵役など、どんな役でも必ず結果を残す瀧さんを見て、キャスティングにおける“飛び道具”的な役割を超えています。バイプレーヤーたちが主役級を演じる流れを作ったのは、瀧さんの活躍も大きい」とメディア評論家の衣輪晋一氏は力説する。
“パフォーマー”としての感性を演技に昇華
パフォーマーとしての感性を宿した演技の評価は業界内でも高い。2014年のドラマ『55歳からのハローライフ』(NHK総合)で共演したリリー・フランキーは、同年に出演した『あさイチ』(同)で、長年ピエール瀧を可愛がっていることを告白。ピエール瀧を「ギザカワユス」と評し、SNSでも話題となった。また、映画『寄生獣 完結編』(2015年)では、パラサイトに寄生された重要な敵役である三木を演じたが、寄生された人間独特の不気味な笑みの芝居について、深津絵里は舞台挨拶で「衝撃的」とその怖さを強調。山崎貴監督も「『ニヤニヤしてくれ』とオーダーしたが、その怖さは予想以上」と絶賛し、阿部サダヲにいたっては「バラエティ番組のADが無理に笑っている笑顔みたいで怖い」と太鼓判。まさに、瀧が持つ二面性を端的に現したエピソードと言えるだろう。
“ギャグ”と“恐怖“の二面性を巧みに表現する稀有な俳優
さらに、演技の際のセリフの乗せ方も特徴的だ。独特のメロディアスな声調はミュージシャンならではであり、2013年に公開された映画『アナと雪の女王』のオラフ役では、まさかの可愛いキャラを演じただけでなく、歌唱まで披露。SNS上で「めちゃ癒された」「ピエール瀧のオラフはオリジナルを超えている」などと絶賛を浴びた。このように、ピエール瀧の芝居の特長は、演技の“振り幅”にある。前出の衣輪氏は「今年の1月に『バイプレイヤーズ 〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら〜』(テレビ東京系)が好評を博しましたが、振り幅のある“個性的”な演技を見せるバイプレーヤーにお茶の間の注目が集まっています。そうしたムーブメントにも、瀧氏はうまくマッチしています」と説明する。
嫌われる役柄を“イメージ低下”を恐れずに好演! 結果、さらなる支持率の上昇に
このように、“表現者”として高く評価されるピエール瀧。「それは、瀧さんが“ギャグ”と“恐怖“とうい二面性を視聴者に感じさせる芝居をする唯一無二の稀有な存在だから」と改めて強調する衣輪氏。「瀧さんの硬軟織り交ぜた演技は、“色物”と見られかねないミュージシャン俳優たちの世間の評価を覆しました。瀧さんの活躍は、他ジャンルから俳優を目指す人にとってひとつの指針となるはずです」(衣輪氏)