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漫☆画太郎『珍ピース』のパロディ騒動から見る、実は“なんでもあり”のジャンプ編集方針とは?

  • 「コピーギャグ」「名作パロディ」を極めた不世出のギャグ漫画化・漫☆画太郎が、22年ぶりとなる本誌帰還!珍遊記1巻(集英社/漫☆画太郎)

    「コピーギャグ」「名作パロディ」を極めた不世出のギャグ漫画化・漫☆画太郎が、22年ぶりとなる本誌帰還!珍遊記1巻(集英社/漫☆画太郎)

 先日発売された『週刊少年ジャンプ』(集英社)に、『珍遊記 -太郎とゆかいな仲間たち-』などで知られる漫画家・漫☆画太郎の新連載『珍ピース』の第1話が掲載されると、わずか3ページで“即打ち切り”という予想外の展開が話題となった。“心はいつも15歳・少年ジャンプにたかる『珍遊記』だけの一発屋”の異名を持つ同作者の22年ぶりの本誌帰還だったが、実はこれ、いくつかの裏テーマが隠された『週刊少年ジャンプ』ならではの“遊び心”のある企画だった。そこで今回は、この“打ち切り騒動”から見えてくる、連綿と受け継がれてきた“なんでもあり”のジャンプ編集方針を検証する。

実は“友情・努力・勝利”さえ守れば“なんでもあり”のジャンプ漫画

 『珍ピース』は、1ページ目で海賊王ゴールド・ロジャーが処刑されるシーンからスタート。続いて見開きで、「冒険の準備は出来たか!!? 見果てぬ海へ旅だつ時は今だ!!!」と大いなる冒険への期待をあおるメッセージが掲載され、登場キャラクターのモチーフやセリフ、タイトル共に、漫画家・尾田栄一郎の大ヒット作『ONE PIECE』を彷彿とさせる内容となっている。だが、4ページ目で突如、「編集部の手違いで、漫☆画太郎先生のボツ原稿が一部掲載されてしまいました。読者の皆様にお詫び申し上げます。『珍ピース』はここで打ち切りとさせていただきます。漫☆画太郎先生の次回作にご期待下さい」というジャンプ編集部からのお詫びを掲載。ジャンプの看板マンガを丸パクリする大胆な構成から、4ページ目でお詫びに持っていく渾身のギャグで、読者に圧倒的なインパクトを残した。
  • 653万部の歴代最高部数を記録した当時の元ジャンプ編集長・堀江信彦氏

    653万部の歴代最高部数を記録した当時の元ジャンプ編集長・堀江信彦氏

 そもそも、ジャンプには他誌には見られない“挑戦的”な作品が多いが、それは創刊時の状況が影響しているという。1995年に653万部の歴代最高部数を記録した当時の元ジャンプ編集長・堀江信彦氏は「ジャンプは週刊少年マガジン(1959年創刊)、週刊少年サンデー(1959年創刊)に比べて後発です。他誌はジャンプ創刊時(1968年)、作家を持っていかれないようにと脇を固めていて、誰も協力してくれなかった。そのため、新人作家にチャレンジさせるしかありませんでした」と、後発の漫画誌だからこそ、個性的な作品を求めたと明かしている。
 つまり、ジャンプのキーワードである“友情・努力・勝利”さえ守れば、面白ければ基本なんでもOK!という編集方針が、創刊時から連綿と受け継がれてきたことが見えてくる。ジャンプ初期のヒット作、永井豪の『ハレンチ学園』はスカートめくりなど過激な表現で話題となり、PTAを巻き込んで社会問題にもなった。また、『珍遊記』や『ボボボーボ・ボーボボ』(澤井啓夫)、『みどりのマキバオー』(つの丸)などは、万人ウケする画風では決してないが、“おもしろければOK”というジャンプらしいギャグ漫画の代表格で、どれもアニメ化するほどの人気作となった。
 他にも、ジャンプ編集部の内情はもちろん、漫画界の実状を赤裸々に描いた『バクマン。』(大場つぐみ)や、“主人公たちの担任教師を殺すこと”が目標のサスペンスコメディ漫画『暗殺教室』(松井優征)など、規格外の人気作品が次々と生まれるのは、まさに“なんでもあり”の編集風土が起因している。

パロディ漫画で過去の打ち切りという“黒歴史”をギャグに昇華

 画太郎は12年前、週刊ヤングジャンプで連載中の大人気漫画『サラリーマン金太郎』(本宮ひろ志)の構図やセリフをパロったギャグ漫画『珍入社員金太郎』を同じヤングジャンプで連載。あまりのパロディっぷりに、たった“4週で打ち切り”になった黒歴史がある。そんな経験があるにも関わらず、あえての『ONE PIECE』パロディ『珍ピース』である。しかも前回の4週打ち切りを上回る、3ページで打ち切りという強烈なネタに、ジャンプ編集部の確信犯的意図を感じずにはいられない。そのうえ今度は、9月25日からネット配信の『少年ジャンプ+』でサン・テグジュペリの世界的人気作『星の王子さま』を画太郎流の独自アレンジで開始。カワイイ王子がオノを振り回すという衝撃展開で幕を開けている。この一連の“面白ければOK”感はサスガの一言。

実は師弟関係!? 漫☆画太郎と『ONE PIECE』の作者・尾田栄一郎の知られざる関係性

 一方で、このネタのために『ONE PIECE』を使って尾田先生は怒らないの? と心配になるが、実は、『ONE PIECE』の尾田は画太郎のアシスタントをしていたことがあり、いわば師弟とも呼べる関係。尾田は『ジャングルの王者ターちゃん』の徳弘正也、『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』の和月伸宏などのアシスタントをしていたのは有名だが、画太郎にも密かな影響を受けていたのだ。実際、『珍ピース』が掲載された翌週のジャンプの巻末で尾田は、「19歳で画太郎先生の『まんゆうき』第1話を手伝った。先週の『チンピース』感謝です<栄一郎>」とコメント。尾田と画太郎の隠された関係性を知った双方のファンは、SNS上で感激の声を発信していた。
 数々の打ち切りを経験してきた画太郎が、12年前の打ち切り騒動を逆手にとってギャグに昇華させるという手法、そして、歴代の名作『キン肉マン』や『魁!!男塾』、『聖闘士星矢』のキャラクターたちのように、何回死んでも蘇ってくる画太郎の姿勢は、面白ければなんでもあり!の“ジャンプ魂”健在を如実に表しているのではないだろうか。
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