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650万部時代のジャンプ編集長が激白!! “黄金時代”の舞台裏とは?

人気漫画のハリウッド映画化は編集部も疑心暗鬼!?

――昨今、人気漫画の実写化が続いています。その内容に賛否もありますが、アニメ化や実写映画化の際、編集部はどう関わっていますか?
堀江信彦アニメに関しては、作家さんの代わりに担当編集者がシナリオのチェックをします。アニメ版の経験でよく覚えているのは『北斗の拳』。“南斗列車砲”っていう、大砲に人を入れて飛ばすシナリオが上がってきて、これのどこが拳法だよと(笑)。武論尊先生のとこにTVのプロデューサーや関係者を集めて、その後のシナリオを書き直しました。

――1993年に公開された香港のアクション映画『シティーハンター』やハリウッド版ドラゴンボールも記憶に残っています。
堀江信彦海外制作の場合、何が難しいかって、まずシナリオの翻訳が大変。仮にシナリオをチェックして『これ面白いの?』と聞いても、『アメリカ人にとっては面白いんだ』と言われたら何にも言えない。それくらい文化と言語の違いは難しいです。ハリウッド制作ということでファンは期待を膨らませていたと思うけど、編集部は違う意味でドキドキしていましたよ(笑)。

653万部が完売! 伝説号の舞台裏とは

――1994年発売の新年3・4合併号の部数は歴代最高の653万部を記録。当時は部数についてどう認識していましたか?
堀江信彦1号1号を作るのに必死で、この号に特に思い出はないんです。でも、営業部に「何万部刷りますか?」と聞かれ、「700でも800でもいいですよ」と答えたのは覚えています。営業は「いやいや…」と苦笑いでしたが(笑)。でも、この号は実売で98%でした。いま、雑誌業界は70%の売り上げでも上出来というけど、98%は本当の意味での完売。実際は売り損じですよね。700万部でも90%くらい売れたと思います。

――次号でさらに部数を増やさなかったのは?
堀江信彦返本数は2%だから約13万部。もし、刷りを増やして返本率が増えた場合、返本数が20万部を超えてしまう。当時、取次から返本は20万部以内に収めるよう言われていました。仮に700万部刷って90%の売り上げの場合、70万部は返本となる。刷るだけなら機械を増やせばいいけど、流通となると、トラックを何千台と用意する必要がある。当時のジャンプは、返本の流通にまで気を配る必要があったんです。

――これだけの部数だと、流通を含めて周りへの影響が大きかったわけですね。
堀江信彦ジャンプはページごとに色が違うんですが、ある時、「この紙の色は人気がないからやめよう」という話をしたんです。すると集英社の制作担当が飛んできて、「堀江さんは簡単にやめろというが、そんなことをしたら会社が複数倒産する」というんです。600万部という部数だと、紙を変えるだけで周囲に与える影響も大きいんですね。

作家にとっては“雑誌”というブランドに頼れない厳しい時代に

――先日、「スマホと指で描いた漫画」が週刊少年ジャンプのルーキー賞を獲得し話題になりました。Web発の漫画も増えています。今後の漫画界はどう変わっていくと思いますか?
堀江信彦ジャンプ作品だから、マガジン作品だから、というブランド力は消滅しつつあると思います。また、Web発信だから、紙だからってことでもなく、その作品が単純におもしろいか、おもしろくないか、という物差しになってきています。逆に言えば、作家さんにとっては“雑誌”というブランドに頼れない厳しい時代ともいえます。スマホで漫画を見る文化も進んでいますが、アプリ漫画だとスマホのTOP画面に収まっているタイトルしか読まれない傾向があります。昔は雑誌を丸ごと一冊読んでくれたけど、スマホだとそうはいかない。雑誌ブランドで読んでもらえていた時代の方が、まだ楽だったかもしれないですね。

――堀江さんは、集英社を退社したのち、自身で株式会社コアミックスを立ち上げ、漫画出版に参入。これまでに『コミックバンチ』、『コミックゼノン』を創刊し、今も漫画に深く携わっています。コアミックスとはどんな出版社なのでしょうか。
堀江信彦コアミックスは漫画しかやっていない会社です。だから漫画への情熱を持った者だけが集まっています。もし、“どこかで漫画を描きたい”と思う人がいたら、ぜひ当社に持ってきてください。必ず力になれると思います。

株式会社コアミックスの公式HPはこちら

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