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“ひとりMC”番組が減少傾向に MCの役割に変化が

 これまでのバラエティ番組といえば、強烈な個性を放つ名物司会者たちが、自身の名を入れた“冠番組”を持ち、ひとりで番組を“回す”(進行させる)というのが定番だった。だが最近では、複数MC制、もしくはレギュラーメンバーと肩を並べて進行していく……というスタイルが増えているようだ。番組の“最高責任者”から“まとめ役”へと変化したMCの役割とは?

番組の方向性まで決定づける、強烈なMCの個性

 大物MCと言えば、『天才・たけしの元気が出るテレビ?』(日本テレビ系)などのビートたけしや、『森田一義アワー 笑っていいとも!』(フジテレビ系)などのタモリ、『さんまのSUPERからくりTV』(TBS系)などの明石家さんま、古くは『クイズダービー』などの故・大橋巨泉さん、『クイズ!ヘキサゴンU』(フジテレビ)などの島田紳助さんもその代表格だった。

 彼らは単なる進行役などではなく、それぞれに番組の色、雰囲気、方向性までを決定づけていたのである。『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)や『ブラタモリ』(NHK総合)などは、バラエティ番組というよりタモリの“趣味の世界”のようだし、島田さんも『ヘキサゴン』の“おバカタレント”に見られるように、タレントや素人の“プロデュース”を新機軸として提示するなど、各MCがそれぞれ独自の“ウリ”を持っていたのだ。

レギュラー陣と肩を並べ、一丸となって進行する現在のMCスタイル

 もちろん現在でもテレビ界には多くのMCがいるが、個性の強いひとりの人間が番組を引っ張っていくというスタイルと比べると、ずいぶん様子が変わってきたようである。いわゆる19時〜21時台の日本テレビの“日曜最強布陣”を見ればわかるように、19時からの『ザ!鉄腕!DASH?』は、スタジオ収録なしのロケのみで構成。いわば“MCなし体制”であり、続く20%超えを連発して話題になることも多い『世界の果てまでイッテQ!』は、まさに現在の“MCスタイル”の代表と言っていいだろう。

 メインMCは、ウッチャンナンチャンの内村光良だが、内村が前に出て完全に仕切ることはなく、番組内で“親方”と呼ばれる大島美幸ら森三中、NEWSの手越祐也、宮川大輔、イモトアヤコ、いとうあさこといったレギュラー陣や、“ご意見番”の出川哲朗、ロッチの中岡創一、その他「温泉同好会」の女芸人らの準レギュラー陣がガッチリと脇を固め、内村も司会進行というより“リーダー格”といった立ち位置で、レギュラー・準レギュラー陣とのトークのみで番組の進行が十分に成り立っている。

 また『アメトーーク!』(テレビ朝日系)では、雨上がり決死隊の2人と“週代わりゲスト”がMCとなり、いわゆる“ひな壇芸人”にツッコミを入れていく……というスタイルが確立している。要するに、ひとりのカリスマMCが番組を引っ張るのではなく、出演者全員で盛り上がることによって、楽しい雰囲気を作り上げていくというスタイルが主流なのだ。とは言え、ひとりで回していく実力のあるMCがいないというわけではなく、今のバラエティ番組は、それぞれひとりでも回せるタレントたちの“集合体”で構成されているともいえる。

“専業司会者”は絶滅危惧種!? 強烈な個性より調和性が好まれる傾向に

 こうした“集団MC体制”のさきがけといえる番組と言えば、1981年に放送された『オレたちひょうきん族』(フジテレビ系)だ。タイトルでも“オレたち”と謳っているように、ビートたけし、明石家さんま、島田紳助さんといった錚々たるメンバーが共演する“お化けお笑い番組”だったわけであり、やはりこれといったメインMCがいない中、人気芸人たちが好き勝手に笑いを取るスタイルで十分に番組が成立していたのである。

 『ロンハー』『アメトーーク!』の総合演出としてお馴染みのテレビ朝日・加地倫三ゼネラルプロデューサーは、かつて放送した特番『超豪華! 一夜限り!! バラエティ司会者芸人 夢の共演スペシャル!!』を担当した際、司会者を立てず、フリートークのような形を選択した。これについて加地氏は「“場”で生まれるような振りをあまりにも番組側でキメキメで作ってしまうと、この方々(出演者)の良さが出ないと思うんですよ。制作サイドとしてはポイントポイントでネタ振りをする程度で抑えようと」とその狙いを明かしている。

 また、「司会がいないことでバラエティだけど、ちょっとドキュメンタリー的な部分が出るのかな」とも話しており、時代は流れ、今ではひとりの強烈なMCが切り盛りする王道のバラエティ番組よりも、“出演者みんなが協力し合ってひとつの番組を作っていく”方に、視聴者も好感を抱いているのかもしれない。だが、調和性重視の番組がスタンダードとなった今だからこそ、強烈な個性で番組を引っ張る“ひとりMC”の台頭にも期待したいところだ。

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