コナン“黒い犯人”がグッズ化&主役連載 担当編集に聞いた人気のヒミツ

 現在公開中の劇場版第21作『名探偵コナン から紅の恋歌』が、公開10週目で動員500万人、興収67億円を突破。第17作『絶海の探偵』(2013年)から5年連続でシリーズ最高興収を更新した。連載開始から今年で23年目になる『名探偵コナン』(作:青山剛昌氏)だが、“第二次ブーム”どころか“人気絶頂”状態なのである。一方、『サンデーS』7月号(小学館)ではスピンオフ漫画『名探偵コナン 犯人の犯沢さん』の連載が始まり、なぜかあの“黒い人”が注目され、SNSなどでも大人気なのだという。

“黒い人”の特異性を生かし主人公に 青山剛昌も「コナン愛を感じる(笑)」と賛辞

 『名探偵コナン』と言えば幅広い年齢層から愛され、TVアニメや映画シリーズも常に大ヒットを記録。もはや国民的な人気を誇る漫画である。主人公の江戸川コナン(工藤新一)がヒロインの毛利蘭やその父の私立探偵・毛利小五郎、阿笠博士、少年探偵団などなど、さまざまな“キャラの立つ”仲間たちとともに次々と事件を解決していくわけだが、事件が起こると登場するのが“黒い人”だ。

 犯人の正体が判明する前に、全身黒タイツのような男(ときには女)が、悪事の内容に絡んだシルエットでパフォーマンスを見せる。目だけがギラっとし、子どもであればトラウマになるような怖いキャラとも言えるが、刃物やライフルを手に暗躍する姿は、コナンファンの間でも“主要キャラ”として認知されてきた。実際、作中では屈指の登場回数の多さであり、“コナンあるある”ネタでも必ず取り上げられるという存在感を放っている。先述のスピンオフ『犯人の犯沢さん』はこの“黒い人”を主人公にしたギャグ作品で、SNSでも期待の声が大きく注目されている。

 とは言っても、黒い人はいわば敵キャラ。スピンオフ作品にしても、多くの人気キャラを押しのけて黒い人を主役に“抜擢”することに抵抗はなかったのだろうか。少年サンデー編集部の担当編集者はこう語る。
「『名探偵コナン』には本当に数多くの魅力的なキャラクターが存在し、青山剛昌先生が作り上げたキャラクター同士の世界観も強固です。その中の誰をスピンオフの主人公にしても原作の世界観の魅力、多くのキャラクターの魅力に新しい角度のスポットライトを当てられる感じがしませんでした。(『犯沢さん』作者の)かんばまゆこ先生とも打ち合わせを重ねる中で、『名探偵コナン』の広大かつ魅力的な世界に少し離れた場所から参加できて、なおかつ主人公に起用しても原作の主要キャラの関係性に悪い影響を与えない&連載初期から存在している唯一のキャラクターは、“黒い犯人”だけだという結論に達しました」

 “中の人”が固定されていない犯人をあえて主人公にすることで『名探偵コナン』の世界観を壊すことなく、引き立たせることができるということなのかもしれない。『犯沢さん』第一話のネームに青山先生も「コナン愛を感じる(笑)」と賛辞を送ったという。

当初は話題にならず…徐々に増す存在感と“永遠のビジュアル”であることの悲哀

 そんな黒い人、実は近年さまざまな“グッズ”としても登場し、ファンたちを魅了している。小学館集英社プロダクション(ShoPro)の商品化担当者に話を聞くと、「2011年頃、パーカーやTシャツでの商品化が最初だったと思います。それまではキャラクターとして“犯人”を商品に使うということはなく、当時も試験的な意味合いが強かったので、ごく一部のファンの方からは反応がありましたが、今ほどの話題にはなりませんでした」と振り返る。

 今や黒い人の“商品”は、「名探偵コナン 学習帳(犯人)」、「名探偵コナン トリッククリアファイル(犯人)」や「名探偵コナン 犯人の黒カレー(ぶた肉入り黒カレー)」まで販売されているほど。主人公のコナンに匹敵する出演回数を誇る黒い人ではあるが、一方で基本的には特定されていない犯人を示すための“ビジュアル・記号”であり、名前もなければ、誰にでも差し替え可能といった、悲哀にも満ちた存在であることも人々を魅了する要素のひとつといえるだろう。

黒い人だけど中は透明!? 読者が自由に人物像を描ける唯一のキャラクター

 「本来、特定されていない犯人を表わすためのビジュアルですが、リアルを重視するコナンの世界観の中でとても個性的に見え、よい意味で違和感があるところが今のSNSなどでの人気の理由だと思います。ファンの皆様の中で自由に犯人像を作ることができ、ネタとして遊んでいただけることも魅力のひとつになっているのではないかと思います」(ShoPro担当者)

 これまで幾度と無く登場してきた黒い人は、作品に欠かせない存在であり、結果として親しまれ、愛され、イジりやすい存在にもなっていると言えるかもしれない。サンデー編集部の担当者が「黒い犯人の魅力は、読者の皆さん一人ひとりによって異なるのではないでしょうか?」と話すように、コナンファン一人ひとりが自由に脚色できる唯一無二の存在(キャラクター)であることから、まだまだ“黒い人ブーム”は続きそうである。

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