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ORICON NEWS
増加する自己啓発本からの映像化、“原作つき”の枯渇から生じた実写作品現状
ヒット作も多い自己啓発本がアニメやドラマ、映画化に発展
これまでは、そうした自己啓発本や成功哲学の本はあくまで書籍として読まれていた。しかし2007年、さえないサラリーマンがゾウの姿をしたインドの神様ガネーシャに、自分の夢や目的の叶え方を指南されるという内容の『夢をかなえるゾウ』(水野敬也著)が出版され、200万部を超える大ベストセラーとなると、翌年には小栗旬主演でTVドラマ化され、続いて舞台化、翌2009年にはアニメにもなった。
さらに、2009年に出版され200万部を超えるミリオンセラーとなった『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(岩崎夏海著)、通称「もしドラ」も翌2010年に漫画化、11年にTVアニメ化、そして同年に前田敦子主演で映画化までされるという展開を見せたほか、『人生がときめく片づけの魔法』(近藤麻理恵著/2010年)が2013年に単発ながら仲間由紀恵主演でドラマ化されるなど、ここにきて自己啓発本は単なる売れる書籍から、ドラマ、映画、アニメなどの映像作品へとメディアミックスされる流れが形成された。
ネタ切れ状態の実写作品、自己啓発本まで及ぶもトラブルとなるケースも
「ドラマというのは“非日常”を描くものだと思います。現実から遠いファンタジーのようなものもありますが、恋でも不倫でも日常の中にあるちょっとした出来事と結びつけたほうが、よりドラマがリアルに感じられますね。そこで注目されたのが、自己啓発本だったのではないでしょうか。同じ男女関係のネタでも、人間のリアルな内面に踏み込むことができるし、ストーリーもないので、自由に脚色することができます」と分析。
だが映像化する上では、あくまで“オリジナルストーリー”となるため、トラブルが生じる危険性もある。「あまりにも内容を誇張すれば、原作の思想と異なるものになる危険性もある。今回の『嫌われる勇気』に日本アドラー協会が抗議したのはそうした例のひとつですね」(高島氏)。
“原作”超えるヒット作は無し、視聴者も“原作頼み”の風潮に辟易!?
今期の『A LIFE』(TBS系)、『カルテット』(同)、『バイプレイヤーズ』(テレビ東京系)など、好調なオリジナル脚本の人気ドラマや話題作はいくらでもあるわけで、視聴者は原作がどうであれ、映像作品のクオリティさえ高ければ人気は付いてくるのだ。むしろここ数年の“原作ありき”“原作頼み”の風潮には、辟易しているというが実際ではないだろうか。
テレビ離れが進行する中、作品の“話題性”を無視することはできないだろうが、制作側は次のドラマの原作ネタを探すよりも大事だが、視聴者が真に望むのは、やはり時代のトレンドや視聴者の嗜好を的確に捉えた良質なオリジナルドラマなのだ。