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渡辺直美、“女芸人”枠を超越した存在に〜 “面白い”と“可愛い”を共存させた功績
“言葉が通じなくても笑える” ぽっちゃりを誇り世界からも評価
昨年、ニューヨーク、ロサンゼルス、台北の3か所で単独ツアー『Naomi Watanabe WORLD TOUR』を“全公演完売”させた渡辺直美。おなじみの「ビヨンセものまね」やファンと直に触れ合える「マシュマロキャッチ」を企画し、大福や肉まんを大きな口で受け止めるパフォーマンスなど、“言葉が通じなくても笑える”全世界共通のネタを見せて高評価を得た。
“面白い”と“可愛い”の共存を成功させた卓越した自己プロデュース能力
また、それまではビヨンセのモノマネや『ピカルの定理』(フジテレビ系)の強烈なキャラ「白鳥美麗」で人気を博していたが、インスタグラムに投稿された豊満すぎる水着姿やものすごい食いっぷり、ユーモア溢れるタグ付けが話題となった。そうしたネタのひとつひとつにはじわじわと笑いを誘う適度な自虐が見られ、渡辺のセンスが光る。不可能とも思われた“可愛さ”と“面白さ”を共存させることが出来たことからも、彼女は芸能界の中でも特異な立ち位置にいることが分かる。
自然体を貫く姿勢に隠された冷静な自己分析が視聴者の好感に
それでいて、ときに「地方に営業に行ったとき、地元のバーで肉体労働系の男性を逆ナンしてお持ち帰りした」との多少の下ネタもあっけらかんと披露する奔放さも覗かせる。こういった“女”を感じさせる発言は、“面白さ”を奪う側面もあり実は女芸人にとってのデリケートな話題であったりするのだが、恋愛観を語っても「私のところにわざわざくる人は変わった人が多いですからね。デブ専とかぽっちゃり好きにモテるでしょ?って言われるし、実際、そういう男性も声を掛けてきます。でも、そこってヤバい人が多いんですよ。仕事してないとか、ナヨナヨして何もできないとか。だから、フツーにフラットな人がいいんです」(前掲インタビューより)と、いたって“冷静”に分析し、ウケを狙うわけでもなく淡々と語る姿が逆に笑いを誘っている。そうした“素”の部分でも勝負できてしまうところが同性からも共感を得られるゆえんだろう。
お笑いだけに留まらぬ演技力やファッションセンス、さらには視聴者目線に立った謙虚な姿勢など、渡辺直美はもはや一芸人を超え、卓越したセルフプロデュース能力を持つ総合エンタテイナーへと成長したのかもしれない。渡辺直美がそのまま“自然体”であり続ける限り、今後もいちジャンルに収まらぬ独自路線をばく進していくことになるだろう。