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ボイメンらも好調、愛知という独特な土壌が生む異色アイドルたち

 東京・大阪に次ぐ“日本三大都市”でありながら、エンタメ界では東・阪と並ぶどころか、どこか“その他の地域”として見られがちな愛知県。これまでにもSKE48やチームしゃちほこ、武井咲など多くのタレントを輩出してはいるものの、東京はもちろん、お笑いを発信都市である大阪や、有名アイドルやミュージシャンを多数輩出する福岡などに比べると、やはり名古屋はどこか地味な印象だった。だが、“不毛の地”…というのは今や昔の話。現在の愛知は、BOYS AND MENやMAG!C☆PRINCEなど、ご当地イケメンアイドルが全国を賑わせている。

かつて戦国武将ゆかりの地で全国展開の礎、食・ファッション・ドラマ…東阪の中間で独自文化を築く

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 愛知県と言えば三河の徳川家康をはじめ、織田信長や豊臣秀吉など、有名戦国武将ゆかりの地。言ってみれば、全国展開の礎ともなる重要な拠点だった。誰もが認める国民的アイドルAKB48にしても、当初は東京ローカル発だったが、名古屋のSKE48結成に端を発し、大阪のNMB48、福岡のHKT48と展開して全国区へと拡大していったのである。そして今でも愛知にはSKE48に留まらず、チームしゃちほこやOS☆U、さくらシンデレラなど、地元にちなんだ地名を取り入れたアイドルグループが続々と誕生し続けている。先の戦国武将絡みでは、愛知ゆかりの武将6人と陣笠隊の4人で結成された「名古屋おもてなし武将隊」といった“ご当地イケメングループ”がいるほか、元ボクシング西日本新人王やYouTuber、元自衛官らが“ふんどし”姿で競い合う『ザ・ラストヒーロー〜ヘラクレスの掟〜』(東海テレビ)なる、美ボディ&イケメン男性エンタテインメント劇団オーディション番組もあるといった具合なのだ。

 そもそも愛知県は浅田舞・真央姉妹などのアスリートのほか、大久保佳代子や加藤あい、加藤ミリヤなどの著名人を輩出しているが、名古屋は東京と大阪と並ぶ三大都市といわれながらも東阪に阻まれ、エンタテインメントの世界では今ひとつ精彩を欠くイメージがあった。同時に芸能の歴史を見ると、名古屋は江戸や上方を追われた芸人たちの溜まり場ともなり、三河万歳などの地元の芸能とも融合して“独特”のノリを生み出してきたこともまた事実なのである。

 「名古屋巻き」というヘアスタイルや「味噌カツ」「あんかけスパゲッティ」などの食べ物、また名古屋のいち地区では結婚式に高額をかけるという“見栄張り”の部分までを含めて、独特の文化を生んできたものの、どちらかと言えば流行の最先端や洗練されたオシャレセンスからはちょっと遠い存在でもあった。それでも独特の“濃さ”は、東海テレビ制作の50年以上も続いた昼の帯ドラマ(フジテレビ系/2016年3月終了後は、土曜深夜に移行)にも現われ、ドロドロの“愛憎劇”をウリとして『真珠夫人』に代表されるようなヒットドラマも生み出している。

ボイメンやマジプリら、“ご当地”ならではの良さで“全国区”に

 そして今、『IKEMEN☆NAGOYA』(名古屋テレビ)と連動して行なわれたオーディション「IKEMEN PROJECT」から、10人のユニット・BOYS AND MEN(通称ボイメン)が誕生。「名古屋で活動できる男性タレントの育成」と「男性版・宝塚歌劇団」の構想をもとに歌やダンス、芝居だけでなくインラインスケートやイリュージョンなどもこなすエンターテイメント集団として活動している。昨年1月発売のシングル「BOYMEN NINJA」は、週間シングルランキングで初の1位を獲得。その後発売のシングルやアルバムでも1位を獲得しただけでなく、弟分となるBOYS AND MEN 研究生も初登場にして3位と健闘。その人気は本格的に“全国区”となったのだ。

 彼らは、「名古屋は、日本の三大都市のひとつであるにも関わらず、芸能の面でいまいち盛り上がってないんじゃないかと。僕ら自身、ボイメンに加入する前までは、芸能の夢を叶えるためには東京に行かなければいけないという意識があったのですが、そこをどうにかして変えたいという思いがあり、地域に密着した活動をすることで、名古屋に住みながらでも、全国的に有名になれる、芸能の夢を持てることを、僕らが示すことができたらいいなと。そういう場所にBOYS AND MENがなってくれたら」(田中俊介)(『ORICON NEWS』インタビュー/2015年8月12日より)との発言に現われているように、あくまで名古屋発の“ご当地アイドル”に徹しているのである。

 また、2015年に結成された“マジプリ”ことMAG!C☆PRINCEも東海地方を拠点に活動するイケメングループ。メンバーの西岡健吾が『PON!』(日本テレビ系)で番組初の“お天気お兄さん”としてレギュラー出演するなど、こちらも“全国進出”を果たしている。

 これまではどこか泥臭く、イケてない感が漂っていた愛知県や名古屋だが、先に見てきたように“全国区”になる数々の“ポテンシャル”を備えてきている地域でもあるのだ。地元民たちの郷土愛も強く、地味ながらもコツコツと小さなイベントや企画を数多くこなす活動は、都会的なハイセンスなイメージこそないが、古きよき懐かしさを感じさせ、新しく誕生してくるアイドルやイケメングループのエンタテインメント活動にも“いい感じ”にフィットし、ここにきて徐々に全国的な訴求力も高まってきているようなのである。今のアイドルシーンはすでに、名古屋から“下剋上”がはじまっているのかもしれない。

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