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お笑い芸人で脚本家のバカリズム、“二足のわらじ”を履く現在の心境とは

自分が脚本家という感覚はない このまま両方やり続けていければ

――実は弊社でバカリズムさんについて、三谷幸喜さんや宮藤官九郎さんに次ぐ個性派の脚本家という内容で記事を配信したんですけど、人気脚本家として期待されている現状をご自身はどう捉えていますか?
バカリズム そんな方たちと僕が?! マジすか? ヤバいですね(笑)。でも僕自身は自分が脚本家って感覚はないかも。割合的にもう少し脚本家にシフトしていればそういう意識も芽生えるんでしょうけど、ガッツリ芸人をやっていますからね。芸人がちょっと脚本を書かせてもらって申し訳ないって感じだし、芸人をちゃんとやっているからこそのご褒美だと思っているんですよ。しかも今は脚本を書いている中で学んだことや刺激を自分のネタにも活かせるっていう、相乗効果になっているから、このまま両方やり続けていければいいなとは思います。

――芸人さんとしてこれだけ忙しい中で、脚本はいつ書いているんですか?
バカリズム 収録が終わって、共演者たちがごはん食べに行ったり寝ている時間です。みんなが帰る姿を見送りながら、自分は作業場に行って朝まで書いてちょっと寝て、またお笑いの現場に行くっていう生活。だから本当にプライベートの時間をそのまま使っているんですよ。このサイクルはもう3年ぐらい続いていて、365日中360日ぐらいは作業場にいるんじゃないかな。

――それ、辛くないんですか? それともむしろ楽しい?
バカリズム いや、辛いですよ(笑)。しかも、番組に出れば「いつまで独身なんだ」っていじられますからね。そんな時間ないんだよ、オレはみんなを楽しませるために自分のプライベートを犠牲にしているんだよって思いますが、その場では「いやー、外に出ないから出会いもないんで」みたいなことを言ったりして(笑)。

――それでも書きたい?
バカリズム 多分、今は一番、頭が回転してたくさん書ける時期だと思うので、できるだけやっておきたいって気持ちが強いんでしょうね。あと芸人と脚本の両方やるようになってから、バランス的にいい感じになっていますね。脚本を書いているだけだと普通は顔とかわからないけど、芸人をやっているおかげで「このドラマはオレが書いてます」って知ってもらえるじゃないですか。そもそも僕はモテたくてこの世界に入っているので、顔を出してそういうことを言いたいわけですよ。で、一方では「(芸人なのに)脚本も書いてんの?」って、これまたチヤホヤされるっていう、そのスタンスがちょうどいいんですよねぇ(笑)。

――(笑)。脚本を書くようになってから、お笑いの現場でも扱いとか変わりました?
バカリズム いや、これが全然変わらないんですよ。もっと変わると思っていたのになんだよって。バラエティの現場に行ったらガッツリ芸人として扱われる。それはそれでありがたいんですけどね。

プロの脚本家が避けることをやる、そこが僕の強み

――お笑いの現場以外ではどうです? 役者さんに「バカリズムさんのドラマに出たいです」とか言われることは?
バカリズム そういってくれる方もたまにいらっしゃいます。あと、普通はバラエティだけだと役者さんと知り合う機会ってなかなかないじゃないですか。でも僕は他の芸人さんよりも女優さんや俳優さんとの距離が近いから、番組の宣伝で来たときにちょっといい顔ができるんですよ。「オレ、以前、○○さんと一緒に仕事をやってたんで」とか、「オレ、○○さんとフツーにしゃべってっから」みたいな(笑)。『ヒルナンデス』(日本テレビ系)で二階堂さんが出たときも、VTR中に雑談したりして「みなさん〜見てますか。オレ、いま女優とめっちゃしゃべってますよ」って心の中でかなり自慢げでした(笑)。

――ははは(笑)。役者さん側も、バカリズムさんのドラマに出ることで注目度が上がるおいしさはあると思いますけど。
バカリズム おいしいかどうかはわからないけど、「これまでやったことがない役をやった」って言ってくれる方はいらっしゃいますね。『黒い十人の女』(日本テレビ系で放送されたバカリズム脚本のドラマ)に出てくれた水野美紀さんとか、この作品の後は相当、変な役も来るんじゃないかな(笑)。

――確かにあのドラマの水野さんの振り切り方(カフェオレをかけられその“カフェオレで溺れる”というぶっ飛んだ設定など、空気の読めないドンくさい愛人役)はハンパなかったです(笑)。
バカリズム “あんなことやるんだ?!“って、世間に知れ渡っちゃいましたからね。僕としては、水野さんはそもそもポテンシャルがすごい方なので、それを世間に知らしめたかっただけなんですけど(笑)。

――今後も脚本家としての需要はさらに増えると思いますが、そこからさらに枠を広げて、映画監督やドラマ演出もやってみたい気持ちはあります?
バカリズム どうでしょうねぇ、僕、映像に関してはまったく知識がないんですよ。やるためには絶対、勉強しなきゃならないし、やってみたい気持ちもありますが、僕が脚本を書いて、あとは監督さんに味付けをしてもらったものを観るっていうのも楽しいです。だからどっちかというと今は自分が撮りたいって欲求よりは、単に「撮ったらオレ、カッコいいよな」って、そこに魅力を感じますね(笑)。

――なるほど(笑)。
バカリズム でも劇団ひとりに映画を撮ったときのことを聞いたら、「すごく楽しかった」って言ってたんですよ。「どんなに朝早くても全然苦じゃなかった」って。品川(祐)さんも「メチャクチャ面白いですよ」って言ってたから、やっぱり監督ってハマるんだなとは思う。芸人さんってネタを作るのが好きな人も多いじゃないですか。だから元々、体質的に物作りに向いている部分はあるのかもしれない。ただ、僕の場合は、これまで映画とかドラマをほとんど観てきてないですからね。もし監督をやるなら、まずはいろんな作品を観るとここからスタートしないと。

――でも観てないないからこそ、ああいう誰も考えつかない作品が書けるのかもしれないですよ。
バカリズム それはあるかもしれない。というのも僕、プロの脚本家が避けることばっかりやっているらしいんですよ。全部、逆をいっているって、ある監督さんに言われました。強いて良さを挙げるなら、そこが僕の強みなのかもしれないですね(笑)。

(文:若松正子/バカリズム撮り下ろし写真:(C)oricon ME inc./ドラマ写真:(C)日本テレビ)

ドラマ『住住』

【ストーリー】
都内の某マンションの住人、バカリズムとオードリー・若林正恭。2人は同じ階に住み、バカリズムはよく若林の部屋に遊びに来る。芸能人でありながら派手に遊ぶこともなく地味な独身生活を送る2人。ある日、このマンションに女優の二階堂ふみが住んでいることが発覚。そしていつのまにか二階堂ふみも仲間に入り、同じマンションで暮らす芸能人仲良し3人組が誕生する。

【放送日時】毎週火曜 深1時29分〜1時59分 日本テレビ系
(動画配信サービス「Hulu」でも放送終了後に配信)

ドラマ『住住』オフィシャルサイト(外部サイト)

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