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(更新: ORICON NEWS

著名人の写真集、“2冊同時”発売が主流となったワケ “写真集・冬の時代”は去ったのか?

 今年の7月、女優の深田恭子が写真集『This is Me』と『AKUA』(ともに集英社)を発売し、オリコン写真集ランキングで1位、2位を独占する大ヒットになったが、先月も筧美和子、内田理央らが写真集を同じように“2冊同時発売”して話題を呼んでいる。いずれも男性視点と女性視点で撮影・編集されたというラインアップだが、人気タレントならば同様の流れが主流となっている。なぜ、男性視点と女性視点の2バージョンが発売されるに至ったのか?

価格も手頃になり、女性も写真集を買うことに抵抗が無くなってきている

  • 深田恭子の写真集での1カット

    深田恭子の写真集での1カット

 深田恭子の『This is Me』は、女性メイク誌『MAQUIA』が「女の子の見たいセクシー」をテーマに責任編集、対して男性視点の『AKUA』は『週刊プレイボーイ』が手がけた。筧美和子は先月16日にスタイルブック『Me』と写真集『Parallel』(ともに光文社)を2冊同時に発売、筧が専属するファッション誌『JJ』のチームが制作した。さらに28日に内田理央が、『週刊プレイボーイ』編集の『だーりおといっしゅうかん』、『MORE』編集の『だーりおのいっしゅうかん』(ともに集英社)をやはり2冊同時発売。最近の流れで言えば、昨年12月にはマギーも自身初となるスタイルブック『I’m マギー』と2nd写真集『Your まぎー』(ともに講談社)を2冊同時に発売しているし、2012年には12年ぶりに水着を解禁した優香も、写真集『優香グラビア』とボディブック『優香ボディー』を2冊同時発売して話題になっている。女性視点と男性視点の2冊というスタイルは先述のようにもはや定着しており、筧、内田、マギーの3人は、1冊が本人自身のファッション、メイク術、日常などを落とし込んだ“スタイルブック”という形式をとっているのも共通している。

 「スタイルブックの形式だと価格も1500円前後と手ごろだし、女性も手に取りやすい。それに今は、『an・an』(9/14号)でマギーさんの胸元を表紙にした“ふんわり美乳。”なんて特集が組まれるぐらい、女性がバストやお尻などのパーツをアピールすることに抵抗がなくなっています。女性たちにも、憧れのボディであるタレントの写真集を買いやすくなっているんですね。“同時発売”というインパクトも話題になりやすいので、宣伝・営業的にもメリットでしょう」(エンタメ誌編集者)

“新たな側面”をアピールできるタレント側、制作費が抑えられる出版社側ともにメリットが

 日本で“ヘアヌード”を解禁させるきっかけとなったと言われている篠山紀信撮影による樋口可南子の写真集『Water Fruit 不測の事態』をきっかけに、宮沢りえの写真集『Santa Fe』や菅野美穂の『NUDITY』をなど、ヘアヌード写真集が空前のブームとなった。当時人気絶頂だった宮沢のヘアヌードが大きな話題を集め100万部を超えるヒットを記録。人気絶頂期でのヌード披露は文字通りの社会現象となり、菅野美穂など、後進への礎を築いた。

だが1990年代初頭からのヘアヌード写真集ブームも去り、写真集が売れない“冬の時代”ともいわれる今、こうした“2冊同時発売ブーム”は、今後の写真集復活を牽引していけるのだろうか?

 「確かに写真集が売れない時代が続きました。“写真集は1万部を超えれば大ヒット”と言われ、長引く出版不況で経費も抑えなければならないんですが、“逆転の発想”で生まれたのが2冊同時発売です。以前から“相乗り”と言って、グラビア撮影でも他社や他誌と一緒に撮影して、カメラマンさんのギャラやスタジオ代、モデル代、ロケ費などの経費が折半でき、結果としてワンランク上のタレントさんも使える……というシステムがありました。2冊同時発売も同じです。深田さんの写真集では、“同じ写真は使っていない”ことをアピールしていましたが、水着やシチュエーションを変えればいくらでも対応できます。タレントさんの拘束時間も効率化できるし、1冊をスタイルブックにすることで新たな女性ファン層の獲得も期待できる。タレントさんにとっても“新たな側面”を見せることで“転機”ともなり得ますし、2冊同時発売は、タレント側と出版社側が“ウイン・ウイン”関係になれるシステムとも言えますね。ヘアヌード写真集ブームの頃は、宮沢りえさんの写真集も4500円と今より価格が高かったんです。現在は、カバーを簡略化することで低価格を抑え、ファンにとっても手に取りやすくなっていますね」(前出の編集者)

 そして今年は、『オリコン2016年年間“本”ランキング』(集計期間2015/11/23〜2016/11/20)の「写真集部門」で首位を獲得したのは、乃木坂46・西野七瀬の2nd写真集『風を着替えて』(集英社/9月発売)。そのほか、1月に発売された乃木坂46・生田絵梨花の初ソロ写真集『転調』(集英社)、3月発売のHKT48・指原莉乃の『スキャンダル中毒』(講談社)、10月のAKB48・渡辺麻友の約5年ぶりとなる写真集『知らないうちに』(講談社)など、アイドルグループの写真集も好調。どれも価格が2000円以下と、ひと昔に比べ、手に取りやすい価格帯というのも共通している。

 今では写真集も男性からの視点だけではなく女性の視点からも制作され、セクシーのみならずキレイ、カワイイ、オシャレといった要素も加味された。さらにインスタグラムの普及によって、MEGBABYなどのモデルやインスタグラマーのスタイルブックが注目され、ファッションや美容を主軸としたスタイルブック形式の写真集も女性層を惹きつけている。こうした写真集ブームが再燃するなか、“同時発売”のスタイルは今後もますます多様化していくのではないだろうか。

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