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【連載番外編】SMAPベスト盤を読み解く PART.2 中居がプロデュース力を発揮、試練乗り越え生まれた紹介ソング

稲垣、草なぎの活動自粛を乗り越え歌う、「ピンチはチャンス」

 「FIVE RESPECT」は、2002年発売のアルバム『SMAP 015/Drink!Smap!』収録曲。稲垣の活動自粛からの復帰を受けて、新たな局面を迎えたSMAPをテーマに、中居が作詞作曲を手がけたものだ。これもメンバー紹介曲に違いはないが、全体的に迷いや憂いを感じさせる「Five True Love」に比べると、「ピンチはチャンス」と歌う、試練を乗り越えた後のメンバーへの強い信頼感から生まれた積極性が加わっている。また、「どこにいてもわかってる」「どこにいても感じてる」と、“5人でこそSMAP”という骨太のメッセージを貫き、だからこそ、『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)でナイティナインの岡村隆史が中居のパートを乗っ取るようなバラエティ的な演出にも、余裕で対応できたのかもしれない。

 1番での中居、木村、草なぎの歌とダンスの“掛け合い”、香取から中居の紹介に移行する際のテンポの変化、中居の元に4人が結集し一斉にジャンプしたり、大サビ前にジャケットを脱いでタンクトップ姿になる演出など、中居プロデュースらしいサービス精神とイキの良さに溢れていて、この曲は、基本に忠実なパフォーマンスであればあるほど痺れる。

 また、この「FIVE RESPECT」は、発売から8年後の2010年のツアー『We are SMAP!2010 CONCERT』でも披露されている。このDVD発売のタイミングで、演出を担当した香取にどういう経緯でセットリストを決めたのか、演出の裏話などをインタビューしたことがあった。香取は、「過去の曲で、ガシガシ踊れる曲を探していて、“FIVE RESPECT”のメロディーが頭の中にガンガン鳴ってたんだけど、スタッフさんにうっかり『“Five True Love”を用意して』って言っちゃったみたいで(笑)。『香取さん、これです』って聴かせてもらった曲が、『違う! これじゃない!』ってなって、一瞬焦りました」と、失敗談を話してくれた。ツアー前年の2009年、親友の草なぎが飲酒による不祥事で活動を自粛した経緯もあり、5人でのチーム感を発揮できる曲といえば、やはり“FIVEシリーズ”を置いて他になかったのだろう。当時、最新の“FIVEシリーズ”が「FIVE RESPECT」だったのである。

SMAPの5人にしか歌えない、“FIVEシリーズ”

 香取のリクエストがあったのか、これもリーダー中居の発案か。2012年のアルバム『GIFT of SMAP』に、中居は「CRAZY FIVE」という曲を書きおろす。ファンとメンバーが一緒になって「木村君」と呼べば、「なぁ〜にぃ〜」を基本に、「なんざんしょ」などアドリブを交えて、呼ばれたメンバーが返事をする演出は無条件で楽しいし、草なぎはバック転、他のメンバーもそれぞれ得意なダンスを披露するなど、エンタテイナーSMAPの魅力を余すところなく伝える構成だ。でも、何より感動的なのは、草なぎのソロの「過ちをおかし続け」というフレーズで、全員で真ん中にいる草なぎの肩に手を添えるシーンだ。ハードなダンスを経て誰もが肩で息をして、真ん中の草なぎは叫ぶように吠えるように、いつも以上の激しさで“熱唱”する。「FIVE RESPECT」が稲垣への“おかえり”ソングだとすれば、「CRAZY FIVE」は、中居からの草なぎへのメッセージソングだ。大サビの後、“いつか謎を解き”と涼やかな声で歌う稲垣の言葉は、“We are all one”というフレーズへと続く。俺たちは、いつも一つ。涙を越え、明日へ。

 ピンチをチャンスに変え、皆が迷わぬように、拳をあげてきた男たち。たとえ「夜空ノムコウ」が他のミュージシャンにカバーされても、「世界に一つだけの花」がずっとずっと歌い継がれても、試練を乗り越えるごとに生まれたこの“FIVEシリーズ”だけは、SMAPの5人でしか、歌えない。
(文/菊地陽子)
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