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平野ノラはなぜ“バブル”を手に入れたのか?

  • 芸人としてまさに“バブル”期を迎えている平野ノラ (C)ORICON NewS inc.

    芸人としてまさに“バブル”期を迎えている平野ノラ (C)ORICON NewS inc.

 海苔を張り付けたような漆黒の太眉に真っ赤なボディコンスーツ、肩パッド入りの肩にかけた巨大なショルダーフォン……2016年下期のエンタメ界の“バブル芸人”こと平野ノラ(38)の勢いが止まらない。平野本人がその身でバブル時代(1980年代後半〜1990年代初頭の好景気)を体感していないように、今の40代以下はバブルを知らずに育った世代。ブームのきっかけを作る流行に敏感な若者たちに、その“真の面白さ”が伝わらない危険性は多分にあったはずだが、彼女はそのスタイルを貫き、テレビ番組にイベントにと引っ張りだこの人気芸人の座を手に入れた。平野はなぜ、時代錯誤のバブルネタを武器に幅広い人気を得ることができたのだろうか?

トークバラエティが主の時代、短時間で確実に笑いが取れる強さ

 平野がお笑いをやりたいと思ったのは、23歳の時。その夢を実現すべく芸能事務所のオーディションを受けたが、やり始めた当時はまったくウケず……。「才能がない」とお笑いの道を諦めOLとして働きはじめたものの、どうしてもその夢が忘れられず、4年間同棲した彼氏と別れ、「結婚も出産もできないかもしれない」という決死の覚悟でワタナベコメディスクールに入学した。はじめはコンビで活動をするも、行き詰って解散。小・中・高とバレーボールで鍛えられた根性を武器に、ピンで活動していくことに。そこで、ヘルメットを被ったバイカーの女性に扮しイイ女ぶってセリフを吐く芸がウケ、平野はスクール卒業後もかろうじて所属事務所に留まることになった。
  •  (C)ORICON NewS inc.

    (C)ORICON NewS inc.

  •  (C)ORICON NewS inc.

    (C)ORICON NewS inc.

 同じ事務所の先輩・ふかわりょうに、「方向性は合っているから、そのキャラと真摯に向き合え」とのアドバイスを受け、以降“OK50音バブリー!”、“バブリーしりとり”といった一連のバブルネタや、「ぶっとびー!」、「おったまげー!」、「ワンレン・ボディコン・舘ひろし」などの決めセリフがジワジワと笑いを呼び、2016年ついにブレイクすることになる。世間からは“一発屋”と思われていたフシもあったが、今年の後半にかけてよりその存在感を強め、『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)や『メレンゲの気持ち』(日本テレビ系)などの人気番組に続々と出演するようになったのだ。

 「見た目にインパクトがあって、はじめは“色物枠”で起用されるケースが多かったと思いますが、意外にトークも上手で、それぞれのネタも簡潔でリズム感があって面白く、今では“頼れる存在”になっていると思います。トークバラエティが主の時代、平野さんは短時間の出演でも確実に結果を残すので、制作側も重宝してまた平野さんを呼ぶ…という好循環が生まれています。それに、“クロマティの噛んでたガムあげるわ”“もっと端っこ寄りなさいよ、バースが座れないじゃない!”“チェッカーズの鶴久と寝たわ”といった『バブルの女が言いそうな50音』のギャグは、人選の絶妙さといい、(藤井)フミヤさんじゃ無理めだから、鶴久(政治)さんかよ!と、当時を知る人間なら思わずクスッと笑えるリアリティがたまりません。そうした平野さんのセンスは、それこそバブル時代を謳歌した(明石家)さんまさんやとんねるずさんなど、大物芸人さんにもハマって評価されているようですよ」(バラエティ番組制作会社スタッフ)

エンタメ界もバブルネタブーム? タイミング良く時代性にマッチ

  • 『Y!mobile』のCMでの“変わらぬ”ボディコン姿が話題を集めた田中美奈子 (C)ORICON NewS inc.

    『Y!mobile』のCMでの“変わらぬ”ボディコン姿が話題を集めた田中美奈子 (C)ORICON NewS inc.

  • “バブル”をネタにした、地下アイドルユニットのベッド・イン (C)ORICON NewS inc.

    “バブル”をネタにした、地下アイドルユニットのベッド・イン (C)ORICON NewS inc.

 平野のブレイクには、2016年という“時代性”も関わっていそうだ。なぜなら今年は、ボディコン姿の田中美奈子やなめ猫が登場するなど、80年代にフィーチャーした「Y!mobile」のCMや、懐かしの“お見合い系”番組の増加、人気マンガ(ドラマ)『東京ラブストーリー』の続編の連載開始、太眉や“トサカヘア”を思わせる“かきあげ前髪ヘア”の流行……などなど、なぜか社会全体で“バブルネタ”が注目された年で、時代が平野ノラに“リンク”した感さえある。

 「バブル後の長い不況の影響で、“バブル=悪”“バブル時代の流行=ダサい”といった風潮が続いていたこともありますが、バブル終息期からほぼ四半世紀経った今、ようやくバブルを振り返る余裕ができてきたということでしょう。そもそも今のテレビのメイン視聴者層は40代後半〜50代のバブル世代ですから、平野さんのネタもよく響くんですね。そのネタも当時の浮かれっぷりや小恥ずかしさが分かるような、微妙なところを拾って上手く“あるある系”の笑いに昇華しています。若い層の反応を見ていても、あの平野さんのインパクトあるルックスや踊り、意味がよくわからないネタでも、何だか押し切られてウケていますからね。平野さんの活躍はまだまだ続いていくんのではないでしょうか」(前出・スタッフ)

 過去の平野のインタビューを見ても、「今、みなさんが生活している…つまり立っている場所、そこがお立ち台だゾ!」といったコメントもあり、平野にはお笑いセンスのみならず、どこか人生経験を経てきたゆえの哲学的な深みすら感じられ、そこがまた視聴者の関心を微妙に引いているのかもしれない。彼女のDVDに『バブルは、そこまで来ているゾ!』という作品があるが、まさにお笑い芸人の“バブル期”を迎えている平野。バブルはいつか弾けるものだが……来年以降も“平野バブル”が続くか否かは、今後の彼女の本領次第だ。

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