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小悪魔的魅力で本格ブレイク控える演技派女優・小松菜奈

 映画『渇き。』での鮮烈な本格女優デビューから2年余り、今や映画界に欠かせない若手女優の筆頭株となった小松菜奈の勢いが止まらない。この11月には映画『溺れるナイフ』、12月には映画『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』の公開を控え、来年はマーティン・スコセッシ監督の映画『沈黙-サイレンス-』でハリウッドデビュー。さらに三池崇史監督の超大作『ジョジョの奇妙な冒険』に出演することも発表された。エキセントリックな役で目立っていた彼女だが、少女マンガ原作の作品などでも頭角を現しており、今後、ドラマなどへの進出で一気に本格ブレイクする可能性を秘めている。

大御所監督たちが惚れ込むスケールの大きさ

 個性的な美貌とミステリアスな空気感がスクリーンに映える小松。その魅力の原点であり、強烈にそのイメージを決定づけた作品でもあるのは、やはり本格スクリーンデビューを果たした2014年の『渇き。』だろう。表向きは品行方正な優等生ながら、その裏に悪魔の顔を持つカリスマ的な美少女を演じた同作で、小松は報知映画賞や日本アカデミー賞などの新人賞を受賞。演技指導の厳しさで知られる中島哲也監督が一目で気に入ったというだけあり、当時からスクリーンでの存在感は別格で、新人ながら型にはまらないスケールの大きさを感じさせた。爆笑し続けるシーンを撮影中、小松が途中で疲れて笑うのをやめてしまい、監督が面白がってそのまま本編に使ったという大物エピソードもある。

 そして翌年の2015年5月に放送された『連続ドラマW 夢を与える』(WOWOW)では、『渇き。』を見たという犬童一心監督が小松をヒロインに起用。本作では、スター女優が流出スキャンダルで転落していく様を熱演。『渇き。』とはベクトルが異なるものの、やはりショッキングな役を体当たりで演じ、確かな演技力と女優魂を印象づけた。また、豊島圭介監督の『ヒーローマニア−生活−』(2016年)ではキレキャラの女子高生役をコミカルに、真利子哲也監督の『ディストラクション・ベイビーズ』(2016年)では性格の悪いキャバ嬢役でバイオレンスなシーンにも挑戦。映画界の巨匠や気鋭のクリエイターとの仕事でことごとくインパクトを残し、エキセントリックな役柄で輝く唯一無二の女優に成長してきた。

エキセントリックなイメージの一方で積み上げてきた王道路線の役

 アクの強いキャラクターが似合う女優は、作品選びが演技派路線に偏りがちだが、小松の場合は平行してメジャー路線の王道ヒロインにも出演している。『近キョリ恋愛』(2014年)、『黒崎くんの言いなりになんてならない』(2016年)は、ともに人気少女漫画が原作。“壁ドン”など胸キュンシーン連発のストーリーの中、コミカルな演技や愛らしい表情を存分に見せている。さらに『予告犯』『バクマン。』(ともに2015年)では、男性目線で見たヒロイン像を体現。男性が憧れるスタンダードな美女役にもハマる、キラキラした佇まいをスクリーンに残した。『黒崎くん〜』出演時のインタビューで「自分に似ていたから演じやすかった」と語っている通り、アンニュイなイメージとは裏腹に、本人の素顔は意外にも「人を笑わせるのが好き」だという普通の20歳。王道ヒロイン路線の作品群は、そんな彼女の等身大の魅力を広く浸透させ、ファッションモデル時代から積み上げてきた10〜20代の支持を確固たるものにした。

 映画界の名匠に見出され、幅広い作品で映画マニアとティーン層のいずれからも人気を集めてきた小松。連続ドラマへの出演はWOWOWのみで、バラエティへの出演経験も少ない彼女は、“映画女優”の王道を歩んでいるように見える。だが、ここ数年の若手女優の動向を見ると、二階堂ふみや松岡茉優ら、映画で注目を浴びた演技派女優がドラマやバラエティーに出演し、全国区の人気を獲得する例が増えている。これまで映画を主戦場にしてきた小松も、出演作にはメジャー路線のラブコメディーや漫画の実写化も多く、テレビで魅力を発揮するポテンシャルは十分だ。

 『渇き。』に出演した18歳の頃、小松は憧れの女優として蒼井優の名前を挙げていたが、蒼井もやはり映画を中心に活動しつつ、コンスタントにドラマに出演している。これから大作への出演が相次ぎ、ひとつ上のステージへ上がっていく小松が、映画女優としての道を極めるのか、ドラマでよりメジャーな存在となるのか。大ブレイクの予感を秘めた映画女優の作品選びに期待がかかっている。

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