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広瀬すずインタビュー『“完璧主義”で負けず嫌い…やることを全部やって結果を見てもらう』

さわやか笑顔と等身大の飾らない言動も好感。若手女優のなかでも高い人気を得ている広瀬すずと、いまもっとも勢いのある山崎賢人がW主演することで大きな注目を集めている『四月は君の嘘』。『海街diary』『ちはやふる』に続く少女漫画実写映画への出演となった広瀬に、いまの女優業についての想いを聞いた。自身を“完璧主義で負けず嫌い”としながら「悔しい気持ちがモチベーションになっている」「やることを全部やって結果を見てもらう」と語る真意とは?

まったくイメージできなかった自分とは真逆の子

――『四月は君の嘘』で演じたかをりは天真爛漫で奔放だけれど、実はある秘密を抱えているバイオリニストという複雑な役どころです。この役を演じると聞いたとき、すぐにイメージできましたか?
広瀬すずまったくできなかったです。自分とは真逆の子だなあと思って……。お話をいただいたあと、原作漫画とアニメを観はじめたのですが、途中で「引きずられてしまう」と思ったので、観るのをやめました。

――実際に現場に入って、演じてみてどうでしたか?
広瀬すずかをりには大きな秘密があって、つねにあるひとつの思いを心に抱いているので、それだけを考えるようにしていました。そのうえで、相手役の(山崎)賢人くんや、友人役の中川大志くん、石井杏奈ちゃんとのお芝居のセッションで感じたことを、そのまま出せたらいいなって。かをりは自分から何かするというより、周りの人とのやり取りで“こうしたい、ああしたい”と思うような役だったので、私自身もそうしたいなと思いました。
――とくに公生を演じる山崎さんとのシーンが多かったですよね。
広瀬すず賢人くんがずっと公生のままでいてくれたので、何も意識しなくても、かをりになれました。印象的だったのは、公生とかをりが夜の学校に行くシーン。ふたりにとってすごく苦しいシーンで、演じるのが感情的にも難しかったので、監督と賢人くんと3人ですごくたくさん話し合ったんです。私と賢人くんは、とにかく役としての感情のままに動きたかったので、「ここではとても相手の顔を見られない」「ちょっと位置を移動したい」とか意見を出させていただいて。カメラ位置なども考えなくてはいけないなかで、私たちがいちばん無理せずに“苦しい”という感情を出せるやり方をみんなで探っていきました。

――撮影前からバイオリンのレッスンをされていたそうですが、難しかったですか?
広瀬すずもう、本当に難しかったです(笑)。とてもじゃないですけど、1〜2ヶ月の練習でできるようなものではないなって。それでも、まずはまっすぐ弓を持つところから教わって、1音ごとに手の動きを確認しながら、3曲地道に練習しました。なかなか弾けるようにならなくて、もう撮影に間に合わないんじゃないかって思いましたけど、そこで完璧主義と負けず嫌いが沸き上がってきて(笑)。いざ撮影に入ったら、練習中にはできなかったビブラートもできるようになってうれしかったです。

私は思っていることを口にしないタイプ。でもこれからは…

――演奏シーンでは、スイッチが入ったような目がとても印象的でした。どんなことを考えて演奏していたんでしょうか?
広瀬すず台本を読んだとき、演奏シーンでは無表情のなかにいろいろな感情が感じられるようにしたいと思いました。自分の音を届けたいという気持ちや、演奏を楽しんでいる気持ち、公生への感情とか。その感情が、かをりにとってどれだけ大きいものなのかっていうのを考えたとき、素のリアルな表情でやったほうがいいと思ったんです。表情を作ると顔の筋肉に意識がいってしまうので、とにかく夢中で弾こうと思いました。

――かをりの行動やセリフは、心に刺さるものが非常に多かったと思います。広瀬さんご自身が何か影響を受けたことはありますか?
広瀬すず17歳であれだけ抱えきれないものを背負っていて、かつ公生や周りの人のことを思いやって、音楽のことも考えていて……。人ってここまで強くなれるんだなと思いました。だから、かをりのすべての行動、セリフにたくさん影響を受けました。かをりのすごいところは、ちゃんと自分の想いを言葉にして人に伝えること。私自身は思っていることをまったく口にしないタイプで、むしろ伝えることが好きじゃないんですけど、これからはちゃんと言葉にしようって思いました。思いを伝えたことがすべていい結果になるとは限らないけど、そうすることで何かが変わるかもしれないと思いながら、かをりとして生きていました。
――『海街diary』『ちはやふる』に続いて少女漫画原作の実写化に挑戦されていますが、原作ファンの声は気になりますか?
広瀬すず気にはなりますけど、原作ファンの方のなかに“かをり”という存在が生きているからこそ、いろいろな意見があるのも当然だと思います。でも、そこで思い詰めても何にもならないので、「やることを全部やって、結果を見てもらおう」って思っています。私自身も、以前は好きな漫画が実写化されると“イメージが違う”って感じることもあったんです。でも、作っている人たちはすごく愛情を持って、真剣に作品に向き合っているんだなって、自分もそういう役を演じるようになってから気づきました。きっとその作品におけるその役は、キャスティングされたその人にしか演じられないものなんだとポジティブに考えています。

自分がやったことに意味があったと思いたい

――実際、『ちはやふる』の原作者は「この役は広瀬さんにしかできなかった」とおっしゃっていましたよね。他の作品でも、広瀬さんはそういう褒め言葉をよくもらっている気がします。
広瀬すずその言葉がいちばんうれしいです! やっぱり自分がやったことに意味があったと思いたいですから。

――逆に、悔しいと感じることもありますか?
広瀬すず全部の作品でそう思っています。自分の演じている映像を観て「ダメだな」って思うこともよくあって……。きっと自分で納得することは一生ないと思います。でも、たぶん納得したら終わりなんです。私はその悔しい気持ちがモチベーションになっているので。
――やっぱり負けず嫌いですね(笑)。本作ではバイオリンを練習しましたが、このところ競技かるたやチアダンスなど、いろいろなことに挑戦する役が続いています。そういうところでも負けず嫌いが発揮されているんでしょうね。
広瀬すず最初はいつも「大変そうだからイヤだな」って思うんです(笑)。でも、そんなこと言ってもやるしかないので、すぐに自分のなかに火がつきます。実際に作品を終えてみると、得るものはたくさんあるし、達成感もすごくあるので、がんばってよかった、この役柄に出会えて本当によかったって思います。ただ、自分の気持ちが重すぎて撮影序盤でかなり疲れてしまうので、次はもうちょっとナチュラルに取り組める作品がいいです(笑)。

――今、興味のあるジャンルはありますか?
広瀬すずこれまで青春ものをたくさんやらせていただいたので、逆にシリアスなものに挑戦できたらいいなと思っています。キラキラした世界とは180度違う、今まで知らなかったような世界に染まってみたいです。
(文:加藤 恵/撮り下ろし写真:鈴木一なり)

四月は君の嘘

 完全無欠、正確無比、ヒューマンメトロノームと称された天才ピアニスト・有馬公生(山崎賢人)は、母の死を境にピアノが弾けなくなってしまう。高校2年生となった4月のある日、幼なじみの澤部椿(石井杏奈)と渡亮太(中川大志)に誘われ、ヴァイオリニストの宮園かをり(広瀬すず)と出会う。勝気で、自由奔放、まるで空に浮かぶ雲のように掴みどころのない性格のかをりの自由で豊かで楽しげな演奏に惹かれていく公生。そしてピアノと“母との思い出”に再び向き合い始める。一方、かをりはある秘密を抱えていた……。

監督:新城毅彦
出演:広瀬すず 山崎賢人 石井杏奈 中川大志 甲本雅裕 本田博太郎 板谷由夏 檀れい
2016年9月10日(土)全国東宝系ロードショー
(C)映画「四月は君の嘘」製作委員会 (C)新川直司/講談社
【公式サイト】(外部サイト)

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