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テレビで致命的だった“滑舌の悪さ”が逆に需要拡大 そのワケとは?

  • 最近ではバラエティでも活躍する(左から)長州力と藤波辰爾(C)ORICON NewS inc.

    最近ではバラエティでも活躍する(左から)長州力と藤波辰爾(C)ORICON NewS inc.

 『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で「滑舌悪い芸人」が放送されたり、つい先日も『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で「本当に一番滑舌が悪いプロレスラー前田日明説」が検証されるなど、最近何かと話題に上る“滑舌の悪さ”。プロレスラーの長州力、天龍源一郎、藤波辰爾などがこぞってバラエティで活躍する今、もはや滑舌の悪さは“ウリ”になっている。そもそもテレビ界においては、“言葉が聞き取りにくい=滑舌が悪い”ことは致命的な欠陥だったはず。しかし、滑舌の悪さがかえってアドバンテージとなり笑いも取れるという、ある意味“逆転現象”とも言うべき新スタイルが確立されつつあるようだ。

“リスペクト”を忘れていないからこそ、プロレスラーも怒らない

 この“逆転現象”のルーツは、やはりプロレスラーにあることは間違いないだろう。『有吉反省会』(日本テレビ系)で、長州、天龍、藤波と立て続けに“滑舌が悪い”ネタを取り上げると、以後、長州、天龍は滑舌の悪さをウリにバラエティ番組に頻繁に出演。そしてここにきて、まさかの“最終兵器”前田日明が登場してきたわけだ。

 「さすがに前田さんが“滑舌悪い枠”に入ってくるとは思いませんでした(笑)。“滑舌クイズ”みたいなおふざけ企画までやるんですから……。前田さんは、プロレスファンからは“前田兄さん”と呼ばれるほどのカリスマで、同時にめちゃくちゃ怖い“キレキャラ”としても有名だったので、よく出演を承諾したなと……。ただ以前から、プロレスラーのマイクアピールでは何を言ってるのか聞き取れず、観客が“?”となりながらも、何となく“いいぞー!”的な感じで相槌を打つのはお約束の光景。もちろんテレビ中継では、ちゃんとテロップが出て“通訳”してくれますけど(笑)」(エンタメ誌編集者)

 強面代表格のプロレスラーに滑舌が悪いと言う『水曜日のダウンタウン』の企画自体もすごいが、このネタを最初に手掛けた有吉弘行やくりぃむしちゅーの有田哲平などは、1980年代の新日本プロレス黄金時代を見て育った世代であり、相当なプロレスファンであることは有名。プロレスラーへの“リスペクト”を忘れていないからこそ、ネタにされるプロレスラー側も本気では怒らないし、テレビ出演のメリットも享受できるのである。

コンプレックスを笑いに…“滑舌の悪さ”も新たにそのジャンル内に

 そして滑舌悪い芸人と言えば、ロッチのコカドケンタロウ、キャイ〜ンのウド鈴木、野性爆弾のロッシー、ロンドンブーツ1号2号の田村亮、諸見里大介などが挙げられるが、その代表格はやはり諸見里になるだろう。

 「諸見里さんは、滑舌が悪いことこそが一番のウリです(笑)。ドラマやCMに出演するようになっても、あの滑舌の悪いままの演技が認められてるんですから、大したものです。滑舌の悪さがクローズアップされてから、彼は確実に仕事を増やしていますし、コカドさんやロッシーさんなど、ほかの芸人さんたちも一緒に引き上げられてる感がありますね。アナウンサーや司会者ではあり得ないでしょうが、そのうちあえて滑舌を悪くする芸人さんが出てくるかもしれませんよ(笑)」(前出の編集者)

 先述の“プロレスラー滑舌悪い四天王”にしても、滑舌が悪いことをネタにテレビに出れば、“体が大きくて怖そうな人”だったプロレスラーのイメージを、より親しみやすいものにすることができるし、プロレス自体の社会的認知を広げる効果もある。逆に言えば、プロレスという本業で一芸に秀でているからこそ許されるわけであって、滑舌の悪さがネタにされても、本人たちもスタジオも視聴者も楽しめるとも言えるだろう。

 これまでもお笑いやバラエティ番組では、“デブ”ネタや“ハゲ”ネタなどの一般的にはマイナスイメージだったり、コンプレックスだったりするネタを笑いに昇華してきた。そしてここにきて“滑舌の悪さ”まで登場したわけである。やはりバラエティ番組には、あらゆることを飲み込んで反転・昇華させる懐の深さがあるということなのかもしれない。

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