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オリラジ新ネタは“リズムネタ”の最終形?“笑いなし”を笑いに昇華
「PERFECT HUMAN」に多種多様な意見
曲の中身はというと、PERFECT HUMAN=中田敦彦という設定で、前半は藤森慎吾のラップ&ボーカルが冴えわたり、後半になるとPERFECT HUMANたる中田が登場して「I’m a perfect human」とだけ歌う(声は打ち込み済みで口パク)。スタイリッシュでカッコよく、全世界的に大流行中のEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)も取り入れ、中毒性があるというのもよくわかる。ただ、後半の「na ka ta nakata」の連呼あたりでは、いつ「ta na ka tanaka」に変わって藤森の元カノ・田中みな実ネタになるのかと思っていたら、最後まで笑いはいっさいないまま終わってしまったのだ。
この「PERFECT HUMAN」に対し、否定派はネットで「ネタというか、歌」「彼らは芸人と呼ぶには違ってきた気がする」「お笑いだからオチがあるのかと思い、最後まで見たけどなかった」「芸でもお笑いでもない」「笑いというよりパフォーマンス。司会者の突っ込みがなければ笑いとしては成立しない」などとコメント。
さらに、「あれはネタではないけどパフォーマンスはカッコよかった」「芸人というジャンルを超えてしまっている」「裏でそうとう努力を続けていると思う」という中間派や、「どこがおもしろいのかわからないのにおもしろかった」「あそこまでいってこそ、まさにリズムネタ」「お笑い番組にあえてあのネタを持ってきたギャップが笑いに繋がったんだと思う。オリラジの戦略勝ち」という肯定派まで、多種多様な意見が飛び交ったのである。
ダウンタウンの松本人志も、2月21日放送の『ワイドナB面』(フジテレビ系)で、「格好よすぎて笑ってしまう。こいつらいっさい、ここで笑かす気がないんやということに笑ってしまう。武勇伝自体はちっともおもしろくないですもんね。それもひっくるめて笑ってしまいますね。タフやなあ、今の後輩たちは」と、オジサン世代の気持ちを代弁するかのようなコメントを残している。
大真面目に歌って踊る姿が笑いになる、計算された演出
オリラジが放った「PERFECT HUMAN」には賛否両論がある。しかし、評価する声が多くあること自体、オリラジが築き上げてきたキャラクターや芸風が信頼されていることを示している。また、彼らだからこそ作り込むことができたクオリティの“ネタ”でもあり、観る側もそれがわかっているから、ネタとして楽しむことができる若い世代のファンは多い。いわば「PERFECT HUMAN」は、現時点でのオリラジの集大成、リズムネタの最終形とも言えるのではないだろうか。
彼らを、観客を笑わせるだけではなく、深い感動を与える“エンタテイナー”や“アーティスト”を目指していると見る向きもあるようだが、もっと単純なように思える。「PERFECT HUMAN」は、自分たちが笑いなしで大真面目に歌って踊る姿が、笑いになるという計算された“演出”のネタではないだろうか。
一方、最終形を見せてしまった彼らの次のネタは難しいところだ。バズを巻き起こし、高い評価も受けてしまったがゆえに、おのずと次への期待は高まる。曲やダンスなど一部を変えるような小手先のリニューアルネタでは、オリジネーターの名が廃るというもの。さらなる高みへ足を踏み出すオリラジのこの先に注目したい。