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岡田准一インタビュー『「誰でもいい」と言われた時代とは違ういま…その先の密かな夢とは!?』

日本アカデミー賞での最優秀主演男優賞受賞など実力派俳優としての地位を確立している岡田准一が、また新たな頂へと臨んだ最新主演作『エヴェレスト 神々の山嶺』。大自然のなかの厳しい撮影に挑んだ岡田が、内に秘める俳優としての“熱”を語ってくれた。さらに、岡田の背中を追うように主演デビューが続くジャニーズ後輩たちへの想いも明かす。

“熱”にやられて震えがくるような作品

――本作は、登山へのすさまじい情熱を持った男たちの物語。もともと原作を読んでいたそうですね?
岡田『おと・な・り』(2009年)に出演したとき、共演者の麻生久美子さんが僕の誕生日に漫画をくれて。それがこの映画の原作を漫画化したものだったんです。原作の小説も読みましたが、すごく力強い言葉が並んでいて、純粋なまでにまっすぐにチャレンジする人の苛酷さが描かれていました。その“熱”にやられて、震えがくるような作品だと思いました。

――映画化の話を聞いたときはどう思いましたか?
岡田原作を読んだときは登山をしたことがなかったのですが、それから趣味で登山を始めたんです。カメラも趣味なので、カメラマンの役と聞いて、この作品のために登山とカメラをやってきたのかなと思いました。また、伝説の登山家・羽生丈二役を演じられる人ってなかなかいないと思うんですが、阿部寛さんにオファーしていると聞いて、きっと圧倒的な存在感で演じられるんだろうなと。実際にエヴェレストで撮影するということで、阿部さんが出演されること、エヴェレストという夢の場所に行けるということが、作品に参加する大きなモチベーションになりました。

――撮影では、エヴェレストの標高5200mまで登ったとか。行く前に何か準備されたことは?
岡田低酸素トレーニングをしに行きました。標高5200mは酸素が半分しかないので、順応するために低酸素室に入ったり、アイスクライミングの練習もしましたね。それまで趣味でやっていたのは、歩くだけの登山だったんです。ボルダリングを少しやったことはありましたけど、ピックを使って氷壁を登ったりしたことはなかったので。

体幹を鍛えすぎた?なかなかカットがかからない

――エヴェレストに挑む羽生を追いかけるカメラマン・深町の心情はどう捉えていましたか?
岡田この作品ってすごく日本的なエンタテインメントだと思うんです。海外の山の映画だと、みんなで登って、もめ事が起きたり、誰かが動けなくなったり……という物語になることが多いじゃないですか。でも、日本は“歩く”こと自体が人生と絡み合っていくというのが根強くあって、この映画でも単独で“歩く”男を追いかけているんです。どこか求道的というか。そのなにかに取り憑かれているような“熱”に影響を受けて、僕が演じる深町のなかで、羽生丈二という男の存在が大きくなっていく。そんな羽生の生き方の“熱”を受けるのが、この作品における深町の役割だと思って演じました。

――エヴェレストに行く前、監督は「行く前にいくら考えても通用しない。生身の岡田が出るぞ」とおっしゃったとか。
岡田平山監督はただ役としてそこにいることを望んでいらしたので、間や尺を気にせず会話をして、しゃべりたくなかったらしゃべらなくていいとおっしゃってくださいました。役を演じているので、僕自身というよりも役柄の内面性が出るようにと心がけましたけど、とにかく“演じる”とか“作る”というのが通用しない場所でした。現地ではお風呂に入らず、日々汚くなっていったんですけど(笑)、それも役をまとっている感じがしてよかったんです。東京に帰ってきてからも、せっかくついた汚さがスッキリしちゃうのがイヤで、お風呂に入るかどうか迷ったくらいです(笑)。

――山での撮影は過酷だったと思いますが、とくに大変だったシーンはありますか?
岡田最後のほうで、山を降りて歩いているシーンですね。なかなかカットがかからなくて、最後はカメラマンさんと一緒に倒れたのを覚えています(笑)。体幹を鍛えすぎたせいか、ザックを背負っていても軽そうに見えると言われて、山岳部の皆さんにザックの中に岩を詰められましたね(笑)。

――ハードな作品が多い岡田さんですが、今回も本当に過酷で。
岡田最近は「ハードな撮影じゃないと納得しないんでしょ?」って言われるから、困ったなと思っていて(笑)。でも、無謀だったり無茶に思える作品でも、岡田と一緒だったら成立するかもしれない、彼だったらやってくれるかもしれないと思ってもらえるのはうれしいですね。

10年単位で先のことを考えている

――デビューした20年前は、自分がこんな俳優になると思っていましたか?
岡田まったく思っていなかったです(笑)。でも、僕は10年単位で先のことを考えていて、この10年は役者として認められることを目指してやってきたので。「誰でもよかった」とか言われていた時代とは求められ方が変わってきて幸せです。

――10年単位ということは、次の10年のことももう考えていたり?
岡田ひとつやりたいと思っているのは、東京オリンピックの開会式に出ること。日本の文化を紹介する映像に、甲冑を着て出たいです。そこで、司会をやっているイノッチ(井ノ原快彦)と会うっていうのが密かな夢です(笑)。

――最近はジャニーズ事務所の後輩たちも俳優として活躍するケースが増えています。相談を受けたりすることはありますか?
岡田前から事務所以外の役者の子たちはよく相談に来てくれていたんですけど、ジャニーズの後輩からは一切そういうことがなかったんです。でも、ここ1年くらいかな、事務所の後輩たちからも相談を受けることが増えて、日本アカデミー賞の効果ってすごいなと(笑)。後輩たちの活躍に対しては、刺激を受けるというより「頼む!」という気持ちが強いです。僕らは「なんでジャニーズが芝居しているんだ?」って言われてきた世代なので、もっとジャニーズが俳優としても認められてほしいという思いがあるんです。だから、ニノ(二宮和也)、生田(斗真)、風間(俊介)の下の世代がどう育ってくれるのかなと思っていて。そのなかでも中島(裕翔)とかがいまぐんぐん成長しているのには期待しています。ただ、アイドルとして人気があるから俳優として出られるのではなく、実力を認められるようにがんばって欲しいなと願っています。

――ちなみに、V6のメンバーとは俳優業について話をしますか?
岡田ないかなぁ……。みんなステージのほうをがんばっているから。でも、(森田)剛くんとはちょっと話したりしますね。剛くん主演の『ヒメアノ〜ル』もいまから楽しみにしていて、剛くんからも「一緒に見ようぜ」って誘われているんです。「ひとりで見させてくれ」って思っていますけどね(笑)。
(文:加藤恵)

エヴェレスト 神々の山嶺

 1993年ネパール、カトマンドゥ。2人の犠牲者を出して失敗に終わった日本のエヴェレスト遠征隊。カメラマンとして参加した深町誠(岡田准一)は、喧騒の街を独りさまよっていた。ふと立ち寄った骨董屋で古いカメラを発見、それが1924年にエヴェレスト頂上を目指しながら行方不明になったジョージ・マロリーのものである可能性に気付く。
 しかし、深町の前にビサル・サルパ(毒蛇)と呼ばれる大男があらわれ、そのカメラは自分たちから盗まれたものだと持っていってしまう。眼光鋭いビサルに、深町は見覚えがあった。彼こそが数年前に消息を絶った孤高の天才クライマー・羽生丈二(阿部寛)であった。帰国した深町は羽生の過去を調べ始めるが……。

監督:平山秀幸
出演:岡田准一 阿部寛 尾野真千子 ピエール瀧 甲本雅裕
2016年3月12日(土)公開
(C)2016「エヴェレスト 神々の山嶺」製作委員会
【公式サイト】(外部サイト)

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