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(更新: ORICON NEWS

ロッチ・中岡創一、上島や出川に次ぐ“リアクション芸”正統後継者として注目

 この年末・年始は、ダチョウ倶楽部の上島竜平や出川哲郎が様々なバラエティ特番で重宝された。両者は言わずと知れた“リアクション芸”の二大巨頭。彼らを超えるリアクション芸人は長年にわたり現れていなかったが、近年お笑いコンビ・ロッチの中岡創一が正統な後継者と目されピンとしても飛躍。天然パーマの長髪でメガネという素朴な印象の中岡だが、上島や出川らの跡を継ぐリアクション芸人として頭角を現している。

『イッテQ!』で飛躍、大仰なリアクション芸とは一線を画す“リアル”さ開拓

  • ロッチ・中岡創一

    ロッチ・中岡創一

 お笑いコンビ・ロッチは、ボケの中岡とツッコミのコカドケンタロウによって2005年に結成され、『キングオブコント』(TBS系)で過去3回ファイナリストになるなどの実力派。しかしコンビとしては、どこか停滞気味であったことも否めない。ところが、中岡が高視聴率番組『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)に出演しだすと事情が変わる。外国のYouTube職人が投稿した動画を、中岡が彼らに交じって再現する(凍ったトランポリンに背中からダイブして割る映像をスローで撮るなど)というコーナー「Qtube」に、準レギュラーとして出演すると、大人気となった。中岡のリアクションは、出川の「ヤバいよ!」や上島の「殺す気か!」的な決め台詞があるわけではないし、また大声を出して大げさなリアクションをとるわけでもない。仕込まれた想定外の出来事に、思わず素に戻ってしまっているナチュラルな表情や、突然すぎてリアクションがとれないという“リアル”なリアクションが、実に面白いのである。

 こんな“静かな”リアクション芸をウリにした芸人は、過去にはいなかっただろう。古くは怪談トークをする前の稲川淳二の「猛獣レポート」(猛獣のいる檻からレポートする)や、『お笑いウルトラクイズ』(日本テレビ系)でたけし軍団(およびそれに絡む出川、ダチョウ倶楽部)たちが見せてきた、お決まりの大仰なリアクション芸とは一線を画するもので、ある意味「リアクション芸に新境地を切り拓いた」と言ってもいいかもしれない。

危険なリアクション芸は敬遠される時代だからこそ、“安心・安全”さが求められる

 この『世界の果てまでイッテQ!』は、制作陣にかつての『お笑いウルトラクイズ』や『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』、『進め!電波少年』(同系)などの制作で育ったスタッフも入っているようで、古きよきリアクション芸を見ることのできる数少ないバラエティ番組のひとつだ。現在はBPO(放送倫理・番組向上機構)などの規制もあり、危険なリアクション芸は敬遠される時代になりつつある。だからこそ制作側や視聴者側にとっては、“安心・安全”に見られる上島や出川などのベテランによるリアクション芸は貴重であり、その後継者である中岡の存在感も増していると言える。

 実際、出川は中岡を後継者として育てているという節もあり、2015年8月に出川が『おしゃれイズム』(同系)に出演した際、「1万メートル上空からのスカイダイビング」「熊とのディープキス」「首の骨以外の骨は全部骨折してきた」等の過激な話に続けて、中岡とふたりで沖縄旅行に行ったときのエピソードを披露している。ふたりがオープンカーでドライブしていると、すれ違うドライバーたちがみんな笑うので、中岡が「オープンカーは恥ずかしいっすよ」と訴えた。すると出川は、「こんなに出会う人が笑いかけ、『頑張って』と手を振ってくれる職業はなかなかない」と中岡を一喝。「俺たちはなんてすばらしい仕事をしているんだ。胸を張れ!」とふたりで号泣したというのだ。

 こうなるとリアクション芸そのものの奥深さまで感じられるようだが、中岡もここにきて自分の芸や芸人としての自覚を持ち始めたようだ。先日、放送された『うわっ!ダマされた大賞【今年もドッキリ風物詩!50人に超ド級ワナ】』(同系)では、“キング中岡”としてリアクション芸人界のトップ格扱いで登場し、クイーン格の鈴木奈々とリアクション対決を繰り広げた。ちなみに鈴木は、「リアクションがわざとらしい」などのバッシングを受けたりもしたが、ひるまずにどんなシチュエーションでも出川ばりにうるさいリアクションをこなし、今では数少ない“安心・安全”なリアクション芸を楽しめるとして、女性枠のトップクラスに入っている。バラエティ番組に欠かせないリアクション芸、今“安心・安全”な芸として上島や出川に次ぐ中岡が、今一番コストパフォーマンスの高い芸人と言えるかもしれない。

(文:五目舎)

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