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THE ALFEE、バンド継続の秘訣とあのヒット曲を語る

 昨年、デビュー40周年を迎えたTHE ALFEEが待望のニューアルバム『三位一体』をリリースした。もはやレジェンドと呼べる立ち位置にいながら、常に現役を貫き進化し続ける彼らにその秘訣とこれまでの振り返りをインタビュー。ゆるく軽妙に話す中から漂ってくるTHE ALFEEの“凄み”が感じ取れる。

目指すのは古希! 3人合わせて210歳までがんばる

――『三位一体』は5年9ヶ月ぶりのオリジナルアルバム。前作から間が空きましたね?
高見沢 でもその間にセルフカバーのアルバムを2枚出しているし、シングルも毎年出しているので、休んでいたわけじゃないんですよ。本当はデビュー40周年だった去年、リリースすればよかったんだろうけど、40年を越えてから出したいなって気持ちもあって。そういうところでちょっと時間が空いてしまったんです。

――7月には高見沢さんのソロリリースもありましたが。ここでやっていた“ネオGS”サウンドが今作でも反映されていたのが印象的でした。
高見沢 ここにきたか! っていうね。僕ら3人は同世代なので一緒にやると、ソロでやるよりさらにGS感が高まるんです。まさに“グループサウンド”ですから。僕ひとりだとソロサウンド(SS)になっちゃうけど、THE ALFEEならよりGSちっくになる。でも古い音を使うんじゃなくて、今でもGSが続いていたらこうなるみたいな、そういうことは考えました。

――ソロシングルで使っていた“ジンジン”などの擬態語も炸裂で(笑)。
桜井 高見沢サン、吹っ切っていますよね。〈キュンキュンキュン〉ですから(笑)。
坂崎 でも、僕らも違和感はまったくなかったですよ。
桜井 いろんな曲を歌ってきたからね。
坂崎 ただ、今回は3人のボーカルがスイッチしている曲もあって。AメロBメロで入れ替わって歌っているんだけど、これは誰がどこを歌うかひととおり試して決めたんですよ。
高見沢 まさにタイトルどおり、3人でひとつの「三位一体」です。もちろんいつもの三声のコーラスもふんだんに使っていますけど、3人のボーカルで1曲を表現するのも面白いかなと思いまして。
坂崎 いま、(3人のボーカルって)いないよねぇ。
高見沢 キャンディーズ以来?
坂崎 バンドではいないでしょ。ビートルズだって3人で歌っている曲はない。あ、でもシブガキ隊は?

――そこもアイドルですから(笑)。
桜井 僕らも80年代はアイドルだったんですよ。
高見沢 今でもアイドルだよ。トウが立ってるけど(笑)。

――(笑)。今回は今まで以上に“3人”を意識したということですね。
高見沢 そうだね。3人とも還暦過ぎて、節目を越えましたから。デビューのときは3人合わせて59歳だったのが今や182歳で、これはもう182歳の音なんですよ。ここまできたらもう目指すのは古希。3人合わせて210歳までがんばらないと。

3人だと無限じゃないけどより強力なTHE ALFEEになって

――“182歳の音”ってところは、最後の曲「GLORIOUS」の円熟味で昇華されていると思いました。
高見沢 他は意外とファンタジックな曲が多いんだけど、この曲は地上に下りて来た感じ。エピソードとして実話も入っていますし、ここから未来へと繋げていく曲でもあって。そういったちょっとリアルな光の曲を作りたいなと思ったんですよね。

――“光”を歌っても、根底に切なさや哀感を感じさせるのもTHE ALFEEらしいと思いました。
高見沢 そこらへんは意識的にやっているわけじゃないんだけど、メロディアスにするとそういう方向性にいくんでしょうね。センチメンタリズムというか。それは僕らも好きだし、自然にそうなっているところはある。
桜井 ま、そこは聴く人それぞれだと思いますけど。

――でも、桜井さんのボーカルは特に哀感や切なさを感じますよ。
坂崎 確かに切ないねぇ。
桜井 人生が切ないから。聞くも涙、語るも涙。
坂崎 海苔弁当を頼んだら、コイツだけ海苔が入ってないんですよ。蓋の裏にも付いてない。
高見沢 あと昔、初めて行ったホテルで、最上階の部屋をそれぞれひと部屋ずつ借りたことがあったんですよ。そしたらフロントから電話がきて、「大変です!桜井さんのお部屋の窓に鳥の糞がっ」って(笑)。
坂崎 切な過ぎる……。
高見沢 20何階だよ? 普通、鳥の糞が付く?
桜井 絶対、悪意があるよ、鳥に。

――ある意味で“持って”ますよね。
高見沢 持ってるよ〜。鳥すら、そこに印をつけていく。俺、聞いたとき笑い転げたからね(笑)。

――話は戻りますが、今回、レコーディングはどんな雰囲気でした?
高見沢 ツアーの合間にやっていましたけど、いつもどおりですよ。相も変わらず淡々と粛々と、冗談も交えつつ、でも真剣勝負っていう。

――今でも例えば3人のコーラスがなかなか決まらないとか、あるんですか?
高見沢 ありますよ。その度にパターンを変えたりして。でもそのときに決まらなかったら、また次の日に録ればいい。そこで悩むことはないですね。
桜井 僕ら、基本的にいろんなパターンを録れるだけ録っておくんですよ。で、後からそれを削っていく。そのほうが効率がいいんです。
高見沢 3人で長いことやってきたので、引き出しだけはありますから。例えば1人でやっていたら限界があるけど、3人だと無限じゃないけどより強力なTHE ALFEEになっていく。そこが面白いんです。コーラスも入れてみたら、思っていたより良くなっちゃったとか、今でもありますから。
桜井 そういう点では楽曲を作っている高見沢は楽しいと思うよ、全体像を把握してやっているから。でもこっちは何も見えないまま歌っていて、出来上がってから初めて「こんな風になるんだ」って、そういうことも多い。
坂崎 逆もありますけどね。高見沢が作詞中でレコーディングの入りが遅くなったときは、僕と桜井でこんな感じだろうって先にコーラスを録っておいて、それを高見沢が聴いてバッチリだったとか。いろんなパターンがあります。

――作業的には“熟練の職人技”に近い感じですね。
坂崎 いいねぇ、職人の仕事は好きですよ。
高見沢 やっぱりお互いに自分にしかできない作業ってあるんですよ。例えば2曲目の「碧空の記憶」って曲は坂崎のアコギが入っているんだけど、68年のマーティンD45っていう、ものすごく希少なギターを使っていて。20年前ならとても手に入らなかったんだけど、今なら坂アはポケットマネーでポンと買っちゃえますからね。
坂崎 いやいやいや、“ポンと”じゃないから(笑)。
高見沢 だからこの曲は68年のマーティンの音を聴けるってだけでもすごいです。
坂崎 そういう意味では今だからできた曲だよね。

俺らは全員が“どうぞ、どうぞ”ってダチョウ倶楽部精神(笑)

――ちなみに前回、高見沢さんのソロインタビューでは、それぞれが前に出たがらない“次男坊気質”で、だからこそTHE ALFEEは40年以上続いたと言っていましたが。坂崎さんと桜井さんはどう思います?
坂崎 もう、そのとおり。というか、続いた秘訣とかよく聞かれるけど、考えたことないんですよ。聞かれてからいろいろこじつけるんだけど、平たく言うとこの3人だからかな? 音楽性だけでバンドが結びつくのは奇跡っていうか。だから最終的には人として繋がらないと、長く続けるのは無理ですよね。
高見沢 その点、俺らは全員が“どうぞ、どうぞ”ってダチョウ倶楽部精神だから(笑)。
坂崎 バンドをやるヤツはだいたい“俺が、俺が”って感じだし、そうじゃないとバンドなんてやれないんだけど、僕らは最初からそこがなかったんです。

――それで成り立って来たことがすごいですよね。
桜井 だから最初は売れなかったんだよ(笑)。バンドって普通、名前まで知られるのってフロントマンだけでしょ。でも3人とも歌っていたから、逆に知ってもらうのに時間がかかったんです。
坂崎 僕らは最初から1人で目立つより、みんなでハモったり音楽やることの楽しさを目指していたから。1人でいくのはちょっとこっぱずかしいぞと。
桜井 そういう人間が3人集まっちゃった。
高見沢 みんなメインボーカルを取るより、ハモる方が好きだもんね。

――41年間の中で一瞬でも「オレ、目立ちたい」と思ったことは?
高見沢 (即答で)ないね。だって3人でやるほうがラクじゃん。なのに何で1人で目立とうとするのか逆に不思議。
桜井 僕らはデビューして一発目で失敗して、そこからいろんな人のバックバンドをやったり、いろんなバンドを散々見てきたのね。で、そこで“ああはなりたくない”って思ったから、今があるんですよ。

――お互いに不満を持ったことは?
坂崎 “あのときの髪型が嫌だった”とか? “何であのときお前、頭をモジャモジャのアフロにしたんだよ”って? そういうのはあったのかもしれない(笑)。

――(爆笑)。
高見沢 昔、対バンをやると、他のバンドはステージが終わって楽屋に帰ってくると、殴り合いのケンカをしているんですよ。「お前、あそこで間違えだろ」、ボーン!って。でも俺らはその横でトランプやっていました。
坂崎 “大貧民ゲーム”ね。
高見沢 それで、困ったなあ、モメちゃってるよ、でもああいう風にはなりくないよねって思っていたわけですよ。だってミスして一番悲しいのは自分で、わかっているのも自分だから、人に言われたくないでしょ。だからうちはミスしても一切言わない。まあコントを間違えたら言いますけど。

――そこは言うんですか(笑)。
坂崎 「何であそこでハズしたんだ! もっと笑いが取れただろ!」ってね。
高見沢 でも音楽に関してはそれぞれパートがあって責任を持ってやっているから、いちいち言いませんよ。せいぜい言うのは大貧民で「俺が勝つまで勝負させてもらう」っていうぐらい?(笑)。
桜井 高見沢が大貧民で俺が大富豪ってところで、自分たちの(ステージの)出番がきたのに、「もう1回だけやろ! 早くやればできるから」って。その結果、俺が負けて大貧民になってステージに出たっていう。
高見沢 だって、大貧民のまま演奏したくないですもん。
桜井 俺だってやだよ!
坂崎 桜井にはその切なさも出ているんでしょうねぇ、鳥の糞と大貧民と……。
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