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劇団ひとりインタビュー『自分がまだやっていないことは何だろう』

芸人、俳優、作家、映画監督とマルチに活躍する劇団ひとり。初の映画脚本を手がけることも話題になったばかりのひとりが、多彩なクリエイティブワークと本業のお笑いとの関わりを語ってくれた。映画版でゲスト声優を務める『ちびまる子ちゃん』の、長年にわたるアニメヒットの要因もひとり節で分析する。

もし映画『ちびまる子ちゃん』を撮ることになったら…

――先ほどの写真撮影中、ずっと「カッコつけてもねえ……」とつぶやいていましたが(笑)。
ひとりだって、映画監督としてとかじゃなくて、『映画ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年』のゲスト声優としての取材ですからね。声を演じたキャラクターも「インド人もびっくり!」とか言っていて、カッコつけた写真を撮ってもらうと、逆に恥ずかしくなるというか(笑)。制作陣の方々をカッコよく撮るのはいいと思うんですけど……。

――今回の映画の物語にはどんな感想を持たれましたか?
ひとりシンプルでわかりやすいですね。今まで僕らが観ていた『ちびまる子ちゃん』の世界観が変わることなく、劇場版だからといって「やってやるぜ」というような気負いもなくて。そのぶれなさは、『男はつらいよ』の域に達したんじゃないかなと思います。『男はつらいよ』も続くに連れて話がエスカレートするわけではなく、日常を描きますよね。それが一番の魅力。もしも話が派手になったら、あんなに長く愛される作品にはなっていなかったわけで。『ちびまる子ちゃん』『男はつらいよ』『サザエさん』しかり、なんでもない日常をおもしろく魅力的に描いていて、そこにお客さんがついてくるというのは、もう名人芸の域だと思います。

――もしひとりさんが『ちびまる子ちゃん』の映画を作るとなったら、どうなると思われますか?
ひとりバラエティをやっている人間だと、『ちびまる子ちゃん』がヒットしたら、次は何をやろうかと考えて、話を大きくしてしまうのではないかと思うんですよ。例えば、学校に不良がきたり、次は宇宙人がきたり、最後にはロボットに乗せてみよう……ってなったり。そうやってバラエティは破たんしていく。日常の細かい部分にこだわって、クオリティを保って、スケールを大きくしていかないというのは、作る側からすると不安だと思うんです。シリーズものの映画も、どんどん派手になって破たんするパターンが多いけど、『ちびまる子ちゃん』『男はつらいよ』『サザエさん』って、それをしない。それで勝つと、もう負けることはないんです。でも、それで勝つことがすごく難しいんですよね

バラエティでコントロールはきかない

――バラエティで続いている番組は、過激にいかないコントロールができているんでしょうか。
ひとりバラエティでコントロールはきかないと思います。どんどん苦しくなっている状態ですね。僕もどちらかというと、ハードルを作って超えていく、超えられなくなったら終わりと思う方だし、性格的にも同じことを繰り返すことができなくて、違うことをしていきたいタイプです。

――ひとりさんというと、お笑い以外にも映像を作ったり、小説も書いていますよね。そんななかで、声優もされています。声優とは、どういう位置づけですか?
ひとり声優はこれまでにもけっこうやっています。年に1、2回はやっているんじゃないかな。声の仕事っておもしろいですよ。セリフは普段やっているお芝居と近いんですけど、声の出し方とか、声にならない音、例えばはっとしたり、息切れしたり、そういうのを言葉にするっていうことは新鮮です。実写でやるとわざとらしいけれど、アニメだと言葉にして言わないといけない。息がきれたときに、実写では息で表現するけど、アニメだと文字で「はあはあ」と言う。でも、実際に出来上がった映像を観ると、口に出して言ったほうがよかったりして、なるほどなあと思いますね。

――今、本当にいろいろな仕事をされていますけど、新しいことをするのはお好きなんですか?
ひとり何かをやるときに、自分がまだやっていないことは何だろうということから考えるタイプですね。だからこそ、楽しんでできると思うんです。それも、中身と外側があったら、外側から変えていきたい。もちろん、中身を変えるということもすごく大変だと思うんですよ。幕の内弁当の味付けを変えていくようなもので。でも、僕は飽き性だから、幕の内弁当を作ったら次はパスタを作ろうとしてしまう。そうじゃないと、新鮮な気持ちを保てないので。これからも、そのスタンスは変わらないと思います。

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