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(更新: ORICON NEWS

“塩顔男子”台頭の背景 若手俳優に強烈な“個性”はいらない?

 ここ最近、山崎賢人や坂口健太郎などの若手俳優の活躍が目立っている。現在21歳の山崎賢人は、先日終了したNHK連続テレビ小説『まれ』でヒロインの夫役を演じ、知名度的にもこの世代ではトップ級。坂口健太郎もこの10月から放送される『コウノドリ』(TBS系)で連ドラ初出演を果たす。両者とも「一重か奥二重まぶた」で「色素や顔の作りが薄い感じ」のいわゆる“塩顔男子”に分類される人気イケメン。今の若手俳優たちの特徴は、ルックス同様、どうも印象も“薄く”感じるようだ。「最近の若い俳優はみんな同じ顔に見える」などと言うと、決まり文句のように“歳を取った証拠”だと反論されるが、本当にそれだけなのか? 実際に俳優たちの存在感が希薄になってはいないだろうか。

多くの役を演じるには、“色”がつきすぎない役の方が良い

 山崎、坂口に限らず、ドラマ『南くんの恋人』(フジテレビ系)に主演する中川大志や、石原さとみ主演『5→9〜私に恋したお坊さん〜』(同系)の古川雄輝など、20代前半までの若手俳優たちは、総じて印象が薄いという“印象”がある。むしろ、新しい若い俳優に偏った“色”がつきすぎないように、所属事務所側が戦略として、個性の強い役柄や演技を避けるように配慮しているのではないかと思えるほどだ。

 強烈な“ハマリ役”に出会うことは、役者としては幸運なことだと思われるが、確かにその役の“印象”に引きずられ、縛られることにもなる。『男はつらいよ』でおなじみの故・渥美清さんは、“寅さん”のイメージを壊さないために、長年にわたって寅さん以外の役は演じなかったと言われる。寅さんの例は極端にしても、一般的にまだまだ先がある若手俳優のことを考えれば、事務所としてもできるだけ多くの役をやらせたいだろうし、本人も挑戦したいだろう。とは言え、早い段階で“濃い”色に染まるのも避けたい。そうしたジレンマが、それほど強烈ではない役柄を薄く演じることに繋がり、結果として視聴者からの印象が薄くなるのかもしれない。

 一方、若手俳優の印象が薄いのは当たり前で、歳を取りながら役者としての経験を積むうちに、だんだんと印象も濃くなっていく、という考えもある。山崎や坂口より先輩格の、佐藤健、三浦春馬、岡田将生、福士蒼汰、東出昌大といった錚々たるイケメン俳優たちも、デビュー当時から俳優として個性を発揮していたとは言い難い。それぞれが、様々な努力をすることで名を成してきた。

若手俳優は、“消費され続ける”作品に幅広く出演するほうが得策

 考えてみれば、古くはオダギリジョーから水嶋ヒロ、綾野剛、佐藤健、菅田将暉、福士蒼汰といった名だたるイケメンたちが、若手俳優の登竜門とされる『仮面ライダーシリーズ』(テレビ朝日系)出身というのも興味深い。仮面ライダーというあまりにも非現実的で個性的な存在のおかげで、逆に色がつくこともなく、その後の役者としてのステップアップにも影響なく繋がっていったのだと思われる。

 こうして見ると、現在の若手俳優たちの印象が薄く、皆同じに見えてしまうのは当然なのかもしれない。かつては、役者はできるだけ早く“当たり役”“ハマリ役”を得て、自分のポジションを確立しようとした。しかし今の映画やテレビドラマは、長期シリーズ化するような国民的作品はほとんどなく、消費されるスピードも極めて早くなっている。若手の役者にしても、ひとつの役柄のイメージに染まるより、消費され続ける作品に幅広く出演し、少しずつ役者として自分を成長させながら、各自オリジナルのキャラクターを確立させていくほうが得策なのだ。

(文:五目舎)

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