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吉田羊インタビュー『女優という仕事を選ぶきっかけになった高校時代の原体験』

意図した通りに受け取られるとは限らない

――女優という仕事のなかで、言葉の力を意識することもありますか?
吉田いろいろな役をやらせていただくなかには、私だったら言わないようなセリフもあります。でもそれは私の思考であって、その役の思考ではない。こういうセリフを吐く人なんだというところから、言葉が役を立ち上げる糸口になったり、そこから役を見つけていくという作業をします。女優って言葉を扱う仕事なので、言葉の重みを感じることはよくありますね。
――バラエティなどでの冴えたトークは?
吉田私自身は、バラエティに出ている吉田羊を演じているつもりではいますけど、観る方には吉田羊の言葉として受け取られるじゃないですか? 自分の意図した通りに受け取られるとは限らない。そういう言葉の危険性も含めて、気をつけて扱わなくてはいけないと思っています。

――どのように気をつけているのですか?
吉田例えばブログで、全てを投げ出してしまいたい! というようなネガティブな言葉を吐き出したくなるときでも、そうしたところで誰も得をしないし、いい気持ちもしないじゃないですか。なので、それをポジティブな言葉に変換して、発信するようにしています。そうすることで、自分自身もポジティブな方向に引っ張られるし、いま自分に起きているネガティブな事柄には、実はこういう効果があったんじゃないか!? と認識し直すことができる。そういう意味では、演じているのかもしれませんね(笑)。

自分がいちばんと勘違いしていた人間だった

――ところで吉田さんは、どんな高校生でしたか? その頃からすでに、ハンサムウーマンだったのでしょうか。
吉田至って普通の高校生でした(笑)。ただ高校3年の体育祭で、応援団長をやりました。この映画のなかの順たちのように、仲間と衣装デザインを考えて、衣装を縫って、放課後みんなで集まって、ダンスの振り付けを考えて、練習して……。そのゼロから自分たちで作り上げること、目標に向かって一致団結すること、それぞれに役割を全うすること、その一つひとつが、あのときの私たちをひと回り大きくしてくれたと思うんです。あの経験があったからこそ、今がある。何かに向かってがんばることに対して“あのときもやれたじゃないか!”って背中を押してくれる経験だったと思います。

――そのなかでも、応援団長として先頭に立っていたのですね?
吉田当時の私は、自信のない目立ちたがり屋という、非常にめんどくさい性格で(笑)、自分から「応援団長やりたい!」って言えなかったんですよね。でもたぶん、顔に書いてあったんでしょうね。周りが「吉田でいいんじゃない?」って神輿に上げてくれて、無事に応援団長をやれたんです(笑)。私の高校時代の思い出はそれだけと言っても過言ではないくらい、印象的な出来事でした。女優という仕事を選ぶ原体験にもなりました。

――応援団長から女優へ、ですか!?
吉田応援団長をやって、ファンクラブができたんですね。「先輩、カッコいい!」って(笑)。肉親ではない人間が、私のパフォーマンスを評価し、喜んでくれたという体験は、女優という仕事に通じるものがあって。いま思えば、あれが初めて、人前で何かをしたい、やることが気持ちいい! と感じた原体験だったと思います。

――高校生の頃といまとでは、何が変わったと思いますか?
吉田根本的には変わってないですね、私という人間は。いまだに自信ないですし(苦笑)。でも人は、自分だけで生きているわけじゃないんだなっていうのは、いまこの世界でいろいろなご縁をいただくなかで実感しています。昔は……とくにお芝居を始めて、小劇場でやっていたころは、自分こそがいちばん芝居がうまいと勘違いしていた人間でしたから。そこから次第に、お芝居っていうのは、相手がいてこそですし、お互いに心を震わせて、初めて成立する世界だということを痛感するようになりました。うまい方とやればやるほど、自分の下手さ加減を実感して、自分がいちばんだなんて思ったら終わりだなというようなことを感じるようにもなり……。昔に比べたら、勘違いできなくなったっていうのは、変わったところかなって思いますね(笑)。
(文:石村加奈/写真:鈴木一なり)

心が叫びたがってるんだ。

 幼少時に、言葉で人を傷つけてしまった罰として“玉子の妖精”に、言葉を封印されされてしまった成瀬順。その日をきっかけに、心を閉ざしてしまった順だが、高校で、担任から「地域ふれあい交流会」の実行委員に任命され、ミュージカルをやることに……。

監督:長井龍雪
声の出演:水瀬いのり 内山昂輝 雨宮天 細谷佳正 藤原啓治 吉田羊
2015年9月19日(土)全国公開
(C)KOKOSAKE PROJECT
【公式サイト】(外部サイト)

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