(更新:)
ORICON NEWS
実は大泉洋よりも“売れっ子俳優” ナックスの切り札・音尾琢真とは
失敗と成功を第三者目線で見つめる頭脳派
しかし、末っ子のまま、ただぼんやりと周囲に甘えているばかりではない。末っ子だからこそ、兄たちの失敗と成功例を第三者目線で見つめ、主張すべき点や静観するところを瞬時に察知できる、チームいちの頭脳派という見方もできる。リーダー・森崎は、雑誌のインタビューで「大事なことを、音尾に相談することもある」と明かし、同じく大泉も「もうナックスの末っ子キャラは音尾じゃない」と語っている。
ここ数年、音尾のピンでの映像出演は目覚ましく、NHK大河ドラマ『龍馬伝』(2010年)では龍馬の幼馴染・望月亀弥太を務め、『世にも奇妙な物語’14秋の特別編』(フジテレビ系)では、仲村トオルとのタッグで準主役に。そして今年は、『花燃ゆ』(NHK総合)で2度目の大河出演を果たし、松下村塾生の品川弥二郎を演じている。
舞台で最大限に発揮される瞬発力と器用さ
主な作品は、岸谷五朗と寺脇康文の『地球ゴージャス VOL.10「星の大地に降る涙」』(2009年)に始まり、翌2010年には関西演劇の重鎮・後藤ひろひとの舞台『THREE BELLS〜聖夜に起こった3つのふしぎな事件〜』。そして、2012年には主演・明石家さんま、脚本&出演・生瀬勝久、演出・水田伸生の舞台『PRESS』に招かれ、現役スター気どりの売れない役者をユーモアたっぷりに好演。さんま&生瀬コンビに負けず劣らず、劇場を沸かせた。
昨年はラーメンズ・小林賢太郎のソロプロジェクト『ノケモノノケモノ』で主演。この大抜擢について小林は、自身のホームページで「その表現力に惚れ込みました」と明かし、上演前にして「僕の脚本で音尾琢真が演じれば絶対おもしろい」と断言。事実、同舞台での音尾は、スピード感を保ちながらも繊細なパフォーマンスで観客を引き込み、それまで存在感では誰にも主役の座を譲らなかった演者・小林賢太郎を、見事に上回った。
大御所演出家たちから求愛される実力派
同作は、1995年の阪神・淡路大震災が起きたあの日、目の前の光景に打ちひしがれながらも人命救助を続けた消防士たちの群像劇。家族を失った被災者から「なんで助けてくれへんの? 人殺し!!」と、行き場のない苦しみと怒りを投げつけられた、彼らの葛藤、挫折、日々の苦悩を浮き彫りにした秀作だ。同作での音尾は、末っ子キャラを封印。少し短気ながらも頼りがいがあり、情に深く男気溢れる消防士を熱演している。
大昔の記憶を紐解けば、ラジオ『大泉洋のサンサンサンデー!』(北海道放送)での“ナックスで一番不細工なのは?”というテーマにおいて、大泉の対抗馬として大熱戦を繰り広げた音尾だが、今や無精ひげの似合う寡黙な渋メンに。一見地味だが、実は大御所の演出家たちから求愛されるという実力派となった。そんな売れてる感ゼロの実力派・売れっ子俳優・音尾は、いまもっともチケットの取れない劇団「TEAM NACS」の“切り札”なのだ