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グラビアから女優まで、“威圧系”を貫いた小池栄子の存在感
同業者たちが絶賛する小池栄子の“天賦の才”
一方でバラエティへの出演も多い。『爆笑問題の検索ちゃん』(テレビ朝日系)で初MCを太田光と務め、太田の暴走トークを巧みに受けたりいなしたりしながら、番組としての面白さを引き立てた。『カンブリア宮殿』(テレビ東京系)では、村上龍と共に企業の経営者をゲストに迎え、ときに難しい経済の話題を一般視聴者目線でほぐす役回りを担っている。『ワンナイR&R』(フジテレビ系)ではコントに取り組み、共演した雨上がり決死隊の宮迫博之は「彼女は天才。前に出るときはしっかり出て、引くときは引く。そのタイミングは天性のもの」と絶賛する。
現在はグラビアを卒業しているが、オンエア中の資生堂『専科』の「あとから篇」CMでは豊かなボディラインを見せるなど、セクシーさも健在だ。これだけ幅広く活躍中の小池だが、ドラマでは女優、バラエティではタレントが本業に見えて、どこでもしっかり根を張った佇まいがある。この存在感はどう生まれたのか? 現在はオールマイティだけに、彼女を紹介する際に“グラビアアイドルとして活躍した後”などと軽く触れられる若手時代に、やはり原点があるように思う。
“癒し系”の時代に“威圧系”を貫き存在感を提示
女優としての素質が業界で知られるようになったのも、グラビアをやっていた頃。2003年公開の映画『恋愛寫眞』がきっかけだった。主演ではないが、キーパーソンとなる役で、回想シーンでの狂気じみた演技のインパクトが強すぎたため、作品自体の評価が割れる要因にまでなった。その頃も小池は「グラビアはただの通過点ではない。プライドを持ってやっている」と発言していた。今の歌うアイドル戦国時代の中で、グループを卒業して女優へ転身するのがひとつの道筋となっているように、当時はグラビアで名前を売って女優などに“ステップアップ”しようとする流れがあった。だが結果的に、他の仕事が増えてもグラビアをないがしろにせず、最後までやり切った小池栄子が、女優としても最も成功している。何の仕事でも彼女が強い存在感を発しているのは、グラビアで“威圧系”として磨きをかけてきたことが活きている。ジャンルはどうあれ、1つひとつの仕事をとことんやり切る姿勢も含めて。
“癒し系”の時代に“威圧系”で攻めたように、自分にしかない個性を貫くことも演技やバラエティでも変わらない。『マッサン』のハナのハツラツとした姿や、俊夫との口ゲンカでときに手が出るほどの勢いには、彼女らしさがストレートに現れていた。だから、小池栄子の代わりになる人材は思い浮かばない。グラビアの仕事はともすれば「胸が大きければ誰でもできる」と軽んじられる。しかし、小池栄子はそこで表現の基盤をガッチリ固めて、唯一無二の存在へと進化していった。
(文:斉藤貴志)