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アイドル界に乱立する“ポスト橋本環奈”に辟易?

 ファンがネットに上げた1枚の写真から「1000年に1人の逸材」「天使すぎる美少女」と瞬く間に人気を全国に広げた橋本環奈。福岡のアイドルグループ・Rev.from DVLに所属しつつ、ソロでも多数のCMやバラエティ番組に出演するなど大活躍している。そんななかで、“第二の橋本環奈”と呼ばれる武田舞彩やマーシュ彩、“北の橋本環奈”こと吉田凛音など、“ポスト橋本環奈”の名前が相次ぎ上がっている。アイドル界に乱立する“ポスト橋本環奈”とはいったいどんな女の子たちなのだろうか。

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“1000年に1人”は“1年に何人”も出てこない

  • Rev.from DVLの橋本環奈(撮影:片山よしお)

    Rev.from DVLの橋本環奈(撮影:片山よしお)

 橋本環奈が“1000年に1人”のはずなのに、1年に何人もライバルが出てくるのかとツッコミも入りつつ。もちろん“1000年に1人”は誇張表現だ。橋本環奈が数多のアイドルのなかでもトップレベルの逸材なのは間違いないが、同年代に同レベルの美少女はいなくもない。ドラマ『学校のカイダン』(日本テレビ系)や『JR SKI SKI』、『ゼクシィ』のCMで売り出し中の広瀬すず、AKB48の大和田南那、乃木坂46の齋藤飛鳥……。ヴィジュアルだけなら、橋本環奈は“特Aランクの1人”というところだろう。だが、彼女は現時点で他の美少女以上のブレイクを果たしている。

 ひとつには「奇跡の1枚」当時、中央ではほぼ無名だった彼女が、ネットでいきなり“発掘”された衝撃が大きかった。まさか福岡のローカルグループにこんな美少女が!? という。その衝撃が“1000年に1人”の枕言葉に乗って自然発生で拡散した。この「奇跡の1枚」の少し前に東京でのアイドルイベントにRev.from DVLをブッキングしたあるイベンターは「そのときはファンが特に多くもなく、集客にあまり結びつかなかった」と話す。写真1枚と言葉ひとつで、いかに急速に火がついたかを物語る。

 さらに、テレビなどメディアに橋本環奈本人が出ると、彼女が“使える”ことがわかった。外見は清楚な美少女だが、話すと声は意外に低くてハスキー。あっけらかんとしたキャラクターで、よくしゃべる。「好きな食べ物は梅干し。あっ、イチゴにしておいてください」など、美少女ぶりとのギャップでおかしく感じる。ブログにRev.メンバーの似顔絵を上げると、どう見ても似てないヘタさでファンの失笑を買い「一生懸命描いたのに」と嘆いたり。

 そうしたギャップが持ち味なのに加え、人気が出てからもまったく態度が変わらない。カメラが回ってないところでも偉ぶった様子は見せず、人懐っこく自分から話し掛けて来る、“1000年に1人”とは裏腹の親近感もブレイクの要因。美少女だけなら他にもいるが、ストーリー性やキャラクターが絶妙に結びついてのものだった。

“第二の○○”は、ネット発での有効なキャッチフレーズ

 それにしても、「第二の橋本環奈は?」と名前が上がるのは随分早かった。こうした「第二の○○」的な話題自体は常に出るもので、上戸彩や石原さとみが“平成の山口百恵”などと言われたこともある(ショートカットや唇のふっくらした若手女優はこう言われがちだった)。しかし、橋本環奈はブレイクしたとはいえ、「奇跡の1枚」から1年とちょっとで、まだトップに立ったわけではない。なのに、もう後継が取り沙汰されるとは。

 これはネットニュースのスタンスが影響している。今や世の話題はネットが発信源になることが多く、配信側はクリックして読んでもらうために、ヘッドラインで興味を引くことが重要。「注目の美少女アイドル」だけでは弱く、「第二の橋本環奈」と打ち出した方が遥かに有効だ。時にフライング気味だとしても……。“ポスト橋本環奈”として名前が上がっている面々は、それぞれ可能性を秘めたアイドルだけに、実際は橋本環奈と並べて語るのが必ずしも的確とは言えない。

 武田舞彩はエイベックスのアイドル専門レーベル「iDOL Street」に所属するGEMのメンバーで16歳。SUPER☆GiRLS、Cheeky Paradeに続き、昨年元日にメジャーデビューしたが、予備軍のストリート生としては2011年から活動していて、東京のアイドルファンには橋本環奈より先に知られていた。以前は元フジテレビの中野美奈子アナ似と言われていたが、目がパッチリしてキラキラした美少女感は、確かに橋本環奈と通じるところもある。福井県出身で、より素朴さを感じる。GEMは歌やダンスのスキルが高いメンバーを集めて“デキるアイドル”の異名を持つ。その中で武田はセンターでパフォーマンス力は高い。5位を獲得した最新シングル「Star Shine Story」のミュージックビデオでは、ドラマパートの主人公を1人2役で演じていたりも。それでいて周囲には「まぬけ」と言われるキャラだそうだ。話すと「仕事に行くときに忘れ物に気づいて取りに帰ったら、最初は持って出た衣裳の靴を置いてきてしまった」といったエピソードが次々に出てくる。橋本環奈はヴィジュアルとキャラクターにギャップがあるが、武田舞彩はおっとりしたキャラクターは見た目そのままで、それがステージでのハツラツとしたパフォーマンスと良いギャップになっている。

 マーシュ彩はアイドルグループWhite Laceのメンバーで、アメリカ人の父親を持つハーフの14歳。昨年夏に講談社主催のアイドル発掘オーディション「ミスiD」でファイナリストとなって注目された。キラキラ感のある美少女という大括りでは、やはり橋本環奈に通じる。一般には無名状態からネットで話題が広がったのも似ているが、ヴィジュアル先行で本人がどんなキャラクターなのかはまだ浸透していない。そのぶん、未知なる興味を引かれる。

 それに対して吉田凛音は、橋本環奈と本質は違うタイプだ。北海道の芸能スクール所属の14歳。小学生の頃から地元のアイドルグループのメンバーになり、卒業してソロで活動。昨年2月には『関ジャニの仕分け∞』(テレビ朝日系)のカラオケ対決に“歌うまキッズ”として出演。ファイナルステージでMay J.に敗れたものの、抜群の歌唱力で注目された。11月には西寺郷太(ノーナ・リーヴス)のプロデュースでメジャーデビューしている。ソロということもあり、美少女感より早熟の歌が本来の売り。ただ、福岡出身の橋本に対して北海道出身ということで、キャッチフレーズとして“北の橋本環奈”がハマった。

 “第二の橋本環奈”とは、実質的に“期待の新人アイドル”をネット仕様で変換したぐらいの意味でしかない。知られる取っ掛かりにはなっても、橋本環奈に続いてブレイクするには“第二の橋本環奈”でいては逆に難しい。美少女なのはわかったうえで、橋本環奈がそうであったように、独自の物語と個性を発揮してくれることに期待したい。

(文:斉藤貴志)

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