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染谷将太『自分もそうしてみよう――とはならないけど 演じるのはおもしろい』
やったことのないような作風だった
【染谷】 やったことのないような作風というかジャンルというか、役だったので、素直に嬉しかったです。ただ、先入観を持たれたら恐いな、というのはありましたね。
──先入観というと?
【染谷】 これまでの作品が、殺したり殺されたりというのが多かったので、(これもそういう作品なんじゃないか?という)先入観を持たれないようにしたいけれど、それは難しくて……。というのは、昨年『ヒミズ』と『ALWAYS 三丁目の夕日‘64』が同時期に公開だったんですが、『ヒミズ』を観た友だちが、その直後に『ALWAYS 三丁目の夕日‘64』を観に行ったらしくて、「コイツ、また何かやらかすんじゃないか?」と思って観ていたらしいんです。何かやらかす役回りが多いので、裏があるとか、それを期待する人もいるみたいで(笑)。でもまあ、今回の『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』は、そういうことは気にせずに演じました。
──(笑)でも、それだけ印象づけているということですから、役者としては嬉しいですよね。
【染谷】 そうですね。そういう(何かやらかすんじゃないか、と期待される)役は、やっていておもしろいですから。だからこそ、今回の千葉というキャラクターは、それらとは真逆でおもしろかったです。
──たしかに、これまでに見たことのない染谷さんでした。千葉の強引じゃない感じとか、すーちゃんの鈍感さとか、ふたりの関係性も微笑ましかったんですが……。
【染谷】 僕、すーちゃんは千葉の気持ちに(気づかないふりをしているけれど)気づいているんじゃないかって思うんですよね。すーちゃんは天然っぽい感じではないし、しっかりしているし、ちゃんと物事を考えている女性ですから。だから、千葉へのモノローグをつけるとしたら「コイツ、私のこと好きなんだろうな」とかでしょうね。知らないふりして、ほっとかれている気がします(笑)。
自分もそうしてみようとはならない
【染谷】 あまり変わらないですね。できることとできないことがあるので……。
──というのは?
【染谷】 恋愛が得意なわけではないので、まあ適当に……以前と変わらず、ですね。千葉のように、自分からすーちゃんにアプローチするのは僕にはないことなので、演じるのはおもしろかったです。でも、自分もそうしてみよう、とかにはならない。僕の性格じゃそうならないんですよね(苦笑)。
──(笑)では、千葉として、彼はすーちゃんのどこに惹かれたんだと思いますか?
【染谷】 年上の女性への「憧れ」だと思うんですよね。基本、あの職場(カフェ)は年上の女性が多いし、とくにすーちゃんは店長という立場で周りを仕切っていますから。そういうところが格好良く見えたというか、憧れのような気持ちを抱いたんじゃないかなと。
──そのなかでも、演じていて「楽しい!」と思える瞬間はあった?
【染谷】 チャーミングな動きが多いというか──最初、監督からバスター・キートンの写真を見せてもらって、キートン的な軽やかさを表現してほしいといわれたんです。たとえば、すーちゃんと誰かが芝居をしているその奥で千葉がテーブルを拭いているとして、そういうときも軽やかさを意識するというか。監督と自分のなかで共通した軽やかさを持てていた気がするので、最後の方は「千葉らしい“何か”をしてください」っていわれていました(笑)。すーちゃんを誘うときに鏡を見て髪形を直したり、帽子をいじったり、柱の周りをくねくねしたり、そういう動きをしてみたら、監督に「千葉らしい」っていってもらえたのは嬉しかったですね。
(文:新谷里映/撮り下ろし写真:片山よしお)
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映画情報
すーちゃん まいちゃん さわ子さん
すーちゃん、まいちゃん、さわ子さんは、かつてのバイト仲間。それから十数年、今でも友情は続いている。料理好きでカフェ勤務歴十数年のすーちゃんの、最近の関心事はもっぱら職場の中田マネージャー)。OA機器メーカー勤務のまいちゃんは、現在不毛な恋愛中。そして、WEBデザイナーとして働くさわ子さんは、母と二人で祖母の介護の日々。仕事、年齢、貯金、結婚、妊娠、介護……それぞれの道を歩いてきた彼女たちの悩みはつきない。ふと、立ち止まり、よぎる不安―《あたしが選んできたことは、ぜんぶ間違っていたの?》それでも彼女たちは“ちょこっと”の幸せを見つけて、今を生きていく―。
監督:御法川修
出演:柴咲コウ 真木よう子 寺島しのぶ 染谷将太 井浦新
【映画予告編】 【OFFICIAL SITE】
2013年3月2日(土)全国ロードショー
(C)2012 映画『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』製作委員会
関連リンク
・映画公式サイト